正しくコストをかけて賃料アップ&空室解消を実現!賃貸リノベーション成功事例集
- リフォーム・リノベーション
空室解消や賃料アップの切り札となるリノベーション。予算をかけるからには、効果を期待したいですよね。一般的なアパートから空き家化が進んでいた戸建て賃貸まで、工夫が光るリノベプランで新たな価値を創り出して空室を解消し、人気の物件へと再生した成功事例をご紹介します。
- 将来を見据えたリノベーションで競争力の高い人気の物件に
- 【成功事例1】床暖房標準装備で競合と差別化。若い単身者を想定したリノベで成約(20㎡/アパート)
- 【成功事例2】圧迫感のある吊り収納を撤去して広く使えるおしゃれなワンルームに(13㎡/アパート)
- 【成功事例3】風呂なし・和式トイレの1Kをシャワーブース付きのモダン洋室に(16㎡/アパート)
- 【成功事例4】トイレと独立洗面台を新設し、2Kを明るく開放的な印象の1Kに(24㎡/マンション)
- 【成功事例5】老朽化していた2Kの天井を抜いて梁を現し、開放感と広がりのある無垢床のワンルームに(34㎡/アパート)
- 【成功事例6】3点ユニットバスの和室2DKをデザイン性の高いリノベで賃料大幅増(33㎡/マンション)
- 【成功事例7】在宅ワーク用書斎を設け、内窓でリビングと繫いで広がりを(45㎡/マンション)
- コロナの影響でリノベーションに変化はあった?
- 【成功事例8】範囲を絞った省コストの施工で空き家を再生して資産運用に成功(68㎡/戸建て)
将来を見据えたリノベーションで競争力の高い人気の物件に
賃貸物件があふれる現在、原状回復だけでは差別化が図れず、借り手が見つからないケースが増えています。特に築古物件や人気のない間取りの場合、時代に合っていない間取りや設備のままにしていては、長期の空室になりかねません。
かといって、賃料を下げると収益率も下がり、経営が悪化してしまいます。空室にお悩みのオーナーは物件を長く活かすためにも、今の入居者ニーズに合った間取りや設備にリノベーションすることを選択肢のひとつとしておすすめします。
費用も期間もかかりますが、大切なのはかける費用の大小ではなく、得られる効果を見極めること。かけた費用以上の家賃収入が見込めるか、初期投資分を回収した上で、プラスの収益が得られるかが見極めのポイントです。
判断指標に明確な答えはなく、例えば、「リノベ後の家賃2~3年分が予算の目安」という見方もあれば、「これから10年間賃貸経営をするなら、半分の5年以内に回収を目指す」という発想もあります。
今後どのように運用していきたいのか、どんな人を入居者ターゲットとするのかなど、状況・考え方によって判断は分かれてくるので、きちんと今後の見通しを立てて、かける費用やリノベプランを計画することが大切です。
以下からは、入居者ターゲットを明確にしたリノベーションを行ったことで、実際に空室を解消した事例をご紹介していきます。
【成功事例1】床暖房標準装備で競合と差別化。若い単身者を想定したリノベで成約(20㎡/アパート)
賃料50,000円▶75,000円
●入居状態/賃料2.5万円アップも、施工中に早くも成約
●リノベ総費用/約350万円(床暖房装備、防音強化等含む)
1階がオーナー宅、2階が6 戸の木造アパート。6畳和室+ 4.5 畳のDKを、若い単身者のライフスタイルを想定し、「友達が呼べる自慢の部屋」となるプランでワンルームにリノベーション。ウォークインクローゼットを設け、3点ユニットバスはシャワールームに変更して省スペース化し、洗面・トイレは独立させました。
キッチンはオリジナルの造作でL 型カウンターの対面スタイルにし、居室側にはカウンターテーブルを設置。カウンターキッチンにしたことで友達が来たときにも会話しながら料理を楽しめるようにサイドに折り畳み式のテーブルも付けて、在宅ワークをする際にも便利な仕様になりました。
内装にもこだわって、マグネット壁やアクセントクロスで個性を演出し、床暖房も標準装備。専有面積を変えることはできませんが、オリジナリティのある設計デザインで、借り手が内見の段階でワクワクする物件に変身しました。2. 5 万円アップの賃料設定にもかかわらず、施工中に早くも20 代女性の入居が決まったそうです。
(物件概要)
物件所在地/東京都中野区 築年数/45年
構造・階建て/木造・2階建て 総戸数/ 6 戸
間取り/ 1DK →ワンルーム 専有面積/ 20㎡
施工会社/ BE UNITED 株式会社
【成功事例2】圧迫感のある吊り収納を撤去して広く使えるおしゃれなワンルームに(13㎡/アパート)
賃料43,000円▶ 50,000 円
●入居状態/ 2 年間空室だった1Rがリノベ後1 カ月で入居が決定。
●リノベ総費用/40 万円
駅近の好立地でしたが、募集しても反響がないためリノベを実施。ただでさえ狭いワンルームに吊り収納が出っ張り、空間を圧迫していたので撤去し、かわりに天井にハンガーラックを設置して部屋を広く使えるようにしました。照明器具も、おしゃれで位置を動かせるレールライトに変更。賃料7,000 円アップと強気の設定ながら、募集開始後1 カ月で成約しました。
(物件概要)
物件所在地/東京都杉並区 築年数/ 35 年
構造・階建て/鉄骨造・4 階建て
総戸数/ 18戸 専有面積/ 13.41㎡
間取り/ワンルーム
施工会社/株式会社ジェクトワン
【成功事例3】風呂なし・和式トイレの1Kをシャワーブース付きのモダン洋室に(16㎡/アパート)
賃料45,000円▶ 53,000 円
●入居状態/施工後1カ月で入居が決まり、約3 年半続いた空室を解消
●リノベ総費用/330 万円
和室・風呂なし・和式トイレで、室内劣化も激しかった築古アパート。専有面積が狭いためユニットバスの設置は難しく、池袋駅に近い好立地でシャワーのみでも入居が見込めるため、シャワーブースと手洗台を新設しました。和室は白いフローリングで明るい雰囲気の洋室に変え、和式トイレも洋式に改修したところ、募集後約1カ月で成約に至りました。
物件所在地/東京都豊島区
築年数/48年 構造・階建て/木造・2階建て
総戸数/ 10 戸 専有面積/ 16.00㎡
施工会社/ナミキリフォームサービス株式会社
【成功事例4】トイレと独立洗面台を新設し、2Kを明るく開放的な印象の1Kに(24㎡/マンション)
賃料65,000円▶72,000 円
●入居状態/使い勝手の良い1K に改修後、2週間で入居が決まった
●リノベ総費用/325 万円
2Kの和室2間は、以前フローリングに改修されていたものの、浴室内に便器があり、風呂はバランス釜タイプ。洗面台はなく、キッチンの流し台が洗面を兼ねており、長期空室が続いていました。そこで、浴室をユニットバスに変え、洗面台、トイレが独立した1Kにリフォーム。使い勝手の良い現代的な設備と間取りにアップデートしたところ、改修して2 週間で入居が決まりました。
物件所在地/東京都豊島区 築年数/49年
構造・階建て/RC造・3 階建て 総戸数/ 9 戸
間取り/ 2K → 1K 専有面積/ 24.20㎡
施工会社/ナミキリフォームサービス株式会社
【成功事例5】老朽化していた2Kの天井を抜いて梁を現し、開放感と広がりのある無垢床のワンルームに(34㎡/アパート)
賃料50,000円▶75,000円
●入居状態/ 5年間空室だったが、賃料2.5 万円アップで完成前に成約
●リノベ総費用/580 万円
東武東上線「志木」駅徒歩5分の2K。老朽化し、雨漏りが発生していたため貸し出せず、5年間空室でした。オーナーは、立地を考えると中途半端な改装では入居が見込めないと判断し、単身社会人をターゲットにフルリノベーション。床、壁、天井を撤去し、雨漏りを補修。断熱材も入れて居住性能をアップしました。天井をすべて抜いて梁を現し、高さを出して開放感と広がりのあるワンルームに変更したことがポイントです。
床は全面オーク無垢材を張り、収納スペースにはあえて建具を付けず、オー
プンスタイルにして部屋を広く見せています。
キッチンや洗面台はオリジナルで造作し、壁にレトロな味わいのタイルを張っておしゃれなスタイルに演出。バス・トイレ・洗面もリニューアルし、それぞれ独立させました。築古アパートながら賃料2. 5 万円アップで募集、工事完了前に成約に至りました。
物件所在地/埼玉県新座市
築年数/47 年 構造・階建て/木造・2階建て
総戸数/4 戸+店舗 間取り/ 2K →ワンルーム
専有面積/ 33.65㎡
施工会社/エイムズ株式会社
【成功事例6】3点ユニットバスの和室2DKをデザイン性の高いリノベで賃料大幅増(33㎡/マンション)
賃料80,000円▶115,000 円
●入居状態/賃料3万5,000 円アップも、完成前に申し込み
●リノベ総費用/400 万円
駅徒歩1 分の好立地だが、3 点ユニットバスに和室の間取りで、内装は竣工時のままでした。相続したオーナーがリノベを決意。浴室とトイレを別にして、独立洗面台を新設し、キッチンを変え、居室は無垢床、天井はコンクリート躯体を現しにしてデザイン性の高い物件に再生。3 万5000 円という大幅賃料アップながら、完成前に複数の入居申し込みを得ました。
物件所在地/東京都文京区
築年数/43 年 構造・階建て/ RC 造・9 階建て
総戸数/ 52 戸 専有面積/ 32.76㎡
施工会社/エイムズ株式会社
【成功事例7】在宅ワーク用書斎を設け、内窓でリビングと繫いで広がりを(45㎡/マンション)
賃料116,000円▶136,000 円
●入居状態/ with コロナ時代のニーズにマッチし、完成前に成約
●リノベ総費用/436 万
1LDK で人気の間取りでも、コロナ禍で入居付けに苦戦していたため、浸透しつつあるリモートワーク需要を見据えたプランを提案。寝室から離れた位置に書斎を設け、寝室と書斎でのダブルリモートワークが可能な間取りに変更しました。また、窓がない閉塞感を解消するため、書斎にはリビングに面した内窓を設けて視線を通し、明かりを取り入れたことで、狭さを感じさせない空間となりました。
物件所在地/東京都足立区
築年数/ 30年 構造・階建て/RC造・6 階建て
総戸数/ 30 戸 専有面積/45.00㎡
施工会社/エイムズ株式会社
コロナの影響でリノベーションに変化はあった?
テレワークが普及し、リビングや個室の一角にワークスペースを設置する物件が急増しました。防音対策や空調設備を向上させることもポイントです。在宅時間が長いと光熱費が上がるので、省エネ性の高いエアコンの導入や居室の断熱リフォームにも注目が集まっています。
【成功事例8】範囲を絞った省コストの施工で空き家を再生して資産運用に成功(68㎡/戸建て)
入居付けができず家賃未設定▶ 59,000 円
●入居状態/長期の空き家が施工後すぐに子育て世帯の入居が決定
●リノベ総費用/160 万円
借り手が付かないまま、6 年間空き家だった築古戸建て。高齢だったオーナーは改修費用の捻出に悩み、サブリース賃料で改修費用がまかなえる空き家活用サービスを利用しました。水まわり設備の交換と床、畳、襖替えなど、改修範囲を絞ってコストをおさえながら、現在のライフスタイルに合う住宅に再生。すぐに子育て世帯の入居が決まり、近隣からも防犯面で安心だと喜ばれています。
物件所在地/神奈川県愛甲郡
築年数/ 31年 構造/木造2階建て
面積/ 1 階:40.56㎡、2 階:28.16㎡
施工会社/株式会社ジェクトワン
8つの事例、いかがだったでしょうか?
ターゲット層を明確にしたリノベーションで物件に新たな価値を創り出せば、借り手へのアピール力が高まり、空室リスクが激減します。プランによっては新築にはない個性と魅力が生まれ、賃料アップにつながる可能性も高まるので、満室の将来を見据えるなら、ぜひ検討してみてください。
※この記事内のデータ、数値などに関する情報は2021年6月2日時点のものです。
取材・文/藤谷 スミカ
ライタープロフィール
藤谷 スミカ(ふじたに・すみか)
同志社大学文学部英文学科卒。広告制作プロダクション、情報誌出版社を経て、フリーランスのコピーライターとして30余年。ハウスメーカーの実例取材記事、注文住宅、リフォーム、土地活用に関する情報誌の記事、企業PR誌の著名人インタビュー記事、対談記事、企業単行本の執筆等を手がける。