放っておくと大変なことに!屋上防水の工法や費用の相場、失敗しないための注意点とは?
建物は、きちんと修繕対応すれば、寿命が伸びて、長く収益を生み続けてくれます。今回は「屋上防水」について解説。塩ビシートやウレタン防水などの工法や費用の相場、良い会社選びのポイントなど、ぜひ参考にしてください。
1989年、株式会社マツミを設立し、代表取締役に就任。関西圏でマンションの外壁修繕、橋梁やトンネルの修繕工事などを手掛ける。
雨漏りしてからでは遅い!年1回は屋上の状況確認をしよう
建物の耐久性を高め、資産価値を守るために定期的な屋上防水工事は不可欠です。メンテナンスを怠って長年放置し、雨漏りが発生すると、修繕が大ごとになるだけではなく、入居者のパソコンや高級ブランド品などに被害が及び、高額な損害賠償を負う事態にもなりかねません。
築10年を超えたら年1回は屋上の状態をチェックしておきたいところです。自分で屋上に行けない場合は、業者に点検だけを依頼する手もあります。
ここで確認するポイントは、防水材と排水の状況です。防水材の表面にかすれや破れがある、シーリング材が浮いているといった症状が見られたら黄信号。排水の不備による水たまりも防水性能の劣化を招くので、早めの対処が必要です。
「特に自然が多い環境にある物件は気をつけてください。屋上に草が生い茂ると、その処理にも手間と費用がかかりますし、鳥がついばんで防水シートに穴を開けていることもあります」と実松さんは話します。
防水工事には塗って固める工法もありますが、現在は塩化ビニール樹脂の防水シートを上から貼り付ける工法が一般的です。工事期間は10日〜1カ月。一般的な費用は下地処理も含めて平米当たり1万〜1万3000円が目安となります。
屋上防水の基礎知識①ウレタン?塩ビシート?主な工法と費用相場
工法 | 耐用年数 | 価格(㎡) |
ウレタン防水 | 8~10年 | 5,000~8,000円/㎡ |
塩ビシート防水 | 10~15年 | 4,000~8,000円/㎡ |
アスファルト防水 | 15~25年 | 5,500~8,500円/㎡ |
FRP防水 | 10~12年 | 6,500~10,000円/㎡ |
◎塩ビシート防水は一般的に多い工法で、既製品を貼付するので仕上がりに安定感がある。凹凸のある部分には施工できない。
◎ウレタン防水は液状の防水材を塗る工法。職人の技術力に仕上がりが左右される。塩ビシートと併用して凹凸をカバーすることも。
◎アスファルト防水はアスファルトを浸透させたシートを貼り重ねる工法。人や車が通る箇所におすすめ。
◎FRP防水は繊維強化プラスチックシートを貼り、防水材を塗る工法。コストが高く、特殊な建物に使われるケースが多い。
屋上防水の基礎知識②良い施工会社の見極めポイント
◎長年の経験があり、屋上防水の施工実績が多い。
◎営業担当者の知識量が豊富で、工法、材料の性能、メンテナンスの方法などを理解できるまで丁寧に説明してくれる。
◎見積もり書に工程が細かく記載されていて、項目ごとに納得のいく説明をしてくれる。
◎官公庁関係や公共施設の防水工事など、厳しい審査を通過して認められた施工実績があるとより安心。
屋上防水をするタイミングは?施工時期のチェックポイント
築10年を経て、表面の色褪せ、ひび割れ、シーリング材の浮きや防水シートの剥がれなどの劣化症状(左写真)が出てきたら早めのメンテナンスをしましょう。
鳥が伸縮目地をエサと間違えてついばみ、防水シートにダメージを与える「鳥害」(左写真)も多いので注意が必要です。
「建物の耐久性に影響を及ぼす工事だけに、長年の経験と実績のある会社への依頼をおすすめします」と実松さん。まずは専門会社に点検を依頼してみてはいかがでしょうか。
※この記事の情報は2021年12月4日時点のものです。
取材・文/藤谷 スミカ
ライタープロフィール
藤谷 スミカ(ふじたに・すみか)
同志社大学文学部英文学科卒。広告制作プロダクション、情報誌出版社を経て、フリーランスのコピーライターとして30余年。ハウスメーカーの実例取材記事、注文住宅、リフォーム、土地活用に関する情報誌の記事、企業PR誌の著名人インタビュー記事、対談記事、企業単行本の執筆等を手がける。