2023年以降、首都圏の賃貸住宅市場に追い風?「賃貸住宅市場調査」から読み取れる3つの要因とは

建てる/融資
管理/空室対策
この記事が気になる

【この記事が気になるとは】
会員様限定のサービスです。 会員の方は、「ログインする」そうでない方は、
会員登録して再度アクセスしてください。

ログインする ⁄  会員登録する
閉じる
公開日:2023年4月12日
更新日:2024年3月8日
2023年以降、首都圏の賃貸住宅市場に追い風?「賃貸住宅市場調査」から読み取れる3つの要因とは1

三菱UFJ信託銀行(株)が、2022年秋に「賃貸住宅市場調査」を実施しました。今回は同調査をもとにしたレポート「なぜ首都圏の賃貸住宅には追い風が吹いているのか」の内容を中心に賃貸市場の展望ご紹介します。不動産関係の市場調査はたくさん発表されていますが、こちらの調査対象(回答者)は資産運用会社や不動産管理会社、金融機関。業界からみた展望はどのようなものなのでしょうか。

【登録はすべて無料】オーナーズ・スタイルでは様々なメディアで情報を発信中!

お役立ち情報を
週2回無料で配信中!
約100pの情報誌を
年4回無料でお届け!
オーナーズ・スタイル
お役立ちメルマガ

メルマガ登録はこちら
賃貸経営情報誌
オーナーズ・スタイル

情報誌の読者登録はこちら

 

ネガティブ傾向だった23区のシングルタイプのニーズも回復

「賃貸住宅市場調査」では、「稼働率」「テナント入替時の賃料」「ダウンタイム(前テナントの契約終了から新テナントの契約開始までの空室期間)」、「広告費・フリーレント」について「ネガティブ」「ニュートラル」「ポジティブ」の3つの回答選択肢を設定し、「2022年秋と1年前の比較」と、「半年後の予想」を質問。「(ポジティブな回答の割合-ネガティブな回答の割合)×100」をリーシングDI※と定義して数値化しています。

※DI =Diffusion Index(ディフュージョン・インデックス)の略で、景況感や業況判断の方向感を測るための指標

2023年以降、首都圏の賃貸住宅市場に追い風?「賃貸住宅市場調査」から読み取れる3つの要因とは2

その結果、たとえば「2022年秋と1年前の比較」は、ファミリーの「稼働率」では東京23区41.0、その他首都圏が35.0と大幅にポジティブな回答が多くなっています。「半年後の予想」も東京23区30.1、その他首都圏が25.0と明るい見通し。「テナント入替時の賃料」についても同様でした。

シングルの「稼働率」について、「2022年秋と1年前の比較」は、東京23区7.9、その他首都圏が5.3と、ファミリーほどではないものの、「半年後の予想」は東京23区20.8と上昇。2021年までは賃料にネガティブな変化が指摘されていましたが、回復傾向にあるようです。

その要因として、同レポートでは3つの動向を指摘しています。

追い風の要因①|東京都への転入超過回帰

2023年以降、首都圏の賃貸住宅市場に追い風?「賃貸住宅市場調査」から読み取れる3つの要因とは2

まずひとつは東京都への人口流入。総務省の住民基本台帳人口移動報告では、東京都・東京23区ともに2019年から下降していた転入超過者が2021年にV字回復しています。

東京都の有効求人倍率も同様に2021年に底を打ったのち同じラインを描いており、就業環境と人口流入の相関関係が見られます。

2022 年12月の東京都の有効求人倍率は 1.35 倍(前年同月比+0.45 倍)と回復トレンドは継続中。「今春の引っ越しシーズンにも追い風に期待ができそう」としています。

追い風の要因②|ハイブリッドな働き方の定着

2023年以降、首都圏の賃貸住宅市場に追い風?「賃貸住宅市場調査」から読み取れる3つの要因とは2

続いては、ハイブリッドな働き方の定着を指摘。(a)出社前提の住宅選び、(b)テレワークにも適した間取りへのニーズという2つの視点からその影響を分析しています。

コロナ禍の直後は、テレワークの普及による出社頻度の低下から、居住地を重視しなくなる傾向が。出社前提でない住宅選びによって、若年層の東京都への転入減少等が起こり、東京都心のシングルタイプ賃貸住宅の需要減少が指摘されていました。

しかし、同社が2022年8月時点で行ったアンケート調査によると、今後従業員に週2日以上(出社率40%以上)の出勤を求める企業の割合は 79%に。出社前提の住宅選びに徐々に戻っていく公算が高いのでは、としています。

出社もテレワークも両方、というハイブリッドな働き方が定着することによって、テレワークに適した広い間取りのニーズも高まり、首都圏全体でファミリータイプの賃貸住宅に追い風が吹くのでは、と考えられます。

実際に不動産アセットマネージャーへのヒアリングより、次のようなコメントが抜粋されています。

・「シングルタイプよりもファミリータイプのほうが、賃料のアップサイドを取れるケースが多くなっている」
・「(シングルタイプについても)以前と比べると面積が大きい物件の賃料が強含みしやすい」

 

追い風の要因③|住宅価格の高騰

2023年以降、首都圏の賃貸住宅市場に追い風?「賃貸住宅市場調査」から読み取れる3つの要因とは2

首都圏では住宅価格の高騰が継続中です。特に23区では2022年・2017年比で、新築マンションで+16.2%、新築戸建で+28.7%も販売価格が上昇しています。

これらにより、住宅取得のハードルが高くなり、賃貸住宅に住み続けることを選択する人が増えているのでは、と指摘。国土工交通省の「住宅市場動向調査」でも、「賃貸住宅」から「賃貸住宅」に住み替える人の割合が2017年から増加しています。

賃貸市場は「今後も改善傾向が続く」との見通し

「今後1年間のリーシングマーケット全体に与える影響が大きいと考える項目」についての質問では、「個人の就業環境や収入の増減」という回答が最多で、「テレワーク等の働き方の変化」、「新型コロナウイルス等の感染拡大の状況」が続きます。

物価高、住宅価格の高騰、新型コロナウイルスなど、市場には様々な要素が存在します。

しかし今回の改善傾向は「一過性ではない要因に支えられていると考えられる」ことから「不動産投資家にとってより安心感を持って投資できる環境になった」と同レポートではまとめられています。

※この記事内の情報は2023年4月11日時点のものです。

取材・文/石垣 光子

出典元の調査データを詳しく見る

【登録はすべて無料】オーナーズ・スタイルでは様々なメディアで情報を発信中!

お役立ち情報を
週2回無料で配信中!
約100pの情報誌を
年4回無料でお届け!
オーナーズ・スタイル
お役立ちメルマガ

メルマガ登録はこちら
賃貸経営情報誌
オーナーズ・スタイル

情報誌の読者登録はこちら

 

この記事をシェアする

関連する企業レポート

関連するセミナー・イベント

関連する記事