2022年以降の賃貸市場を展望。専門家に聞く~アパート経営をしても大丈夫?[建築の基礎知識#1]
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これからアパート・マンション経営を始めようと検討している人にとっては、気になる今後の賃貸市況。現在賃貸住宅が置かれている状況、今後予想される動向について不動産コンサルタントの長谷川高さんに伺いました。
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顧客の立場で不動産と不動産投資に関するコンサルティング、投資顧問業務を行う。各種講演や執筆活動を通じて、不動産市況、不動産の購入術、経営術、投資術等をわかりやすく解説しており、著書「はじめての不動産投資」など他多数。
住宅系の賃貸事業は強い。大都市圏と地方では状況が違う
――初めに直近の市況について伺います。
不動産全体の市況について突き詰めて言えば、良い情報は見つかりません。たとえば、不動産の動向を見るときの指標の1つ、リート(不動産投資信託)は、新型コロナウイルスのパンデミックが最初に広がったときにガクンと下がりました。
特にホテル系、次いで商業施設系、オフィス系が厳しい。ただ、あまり下がらなかったのがレジデンス系(賃貸住宅関連)です。
――新型コロナ禍の影響が小さかったわけですね。
レジデンス系はこれだけの大惨事が起きても強かったわけです。ある程度は下がりましたが、戻りも早かった。
住宅は衣食と同じように生きていくうえで大事な要素なので、賃貸住宅経営はビジネスとしては堅い事業と証明されたと思います。
――なるほど、短期的に見ても他の分野に比べてリスクが低いと。賃貸経営は30年単位の長いスパンで考える必要がありますが、家賃推移を見ると、長期低落傾向にあります(図1参照)。賃貸住宅経営を中長期的に見るといかがですか?
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1990年代半ばまで上昇した後、失われた30年と言われるデフレの中、家賃も長期低落傾向。この3~4年、東京23区の民営家賃はやや上向いている
マクロ的にいえば、少子高齢化が進んでいる日本では、全体としての住宅市場が縮小するのは避けられません。
ただし、東京、名古屋、大阪、福岡などの大都市圏と地方圏では状況は異なります。これらの大都市圏は、世界的にみても人口集中地区で人口や世帯の集積が続いているため、日本全体で人口減少社会になっても急激に衰退する可能性は低いでしょう(図2参照)。大都市圏と地方圏を分けて考えるのが現実的です。
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東京(1都3県を含む東京圏)は、この50年間、世界一の人口集中都市。2030年にインドのデリーに抜かれるものの、トップクラスを維持する。50年前の1970年にトップ10にいた先進国、アメリカのニューヨーク、フランスのパリ、イギリスのロンドンはいずれもその後にランク外になっている。ちなみに、2018年の名古屋は35位、2030年の大阪は15位、名古屋は49位
――やはり地方圏の賃貸市況は厳しいですね。
このコロナ禍で厳しさが加速しました。ただし、賃貸市場が壊滅しているわけではありません。
実は私自身、熊本県天草市で民泊を運営しているんですが、インバウンドが途絶えた一方で県内や九州の他県など、近場からの客が増えています。インバウンド目当ての大型ホテルは軒並み苦戦していますが、温泉旅館は満室だったりする。
賃貸住宅も同じように、厳しい厳しいといわれる地方でも、工夫次第で堅調な経営をしているところはあります。
――例えば、どんな工夫をしているんですか?
同じ熊本県内で印象的だったのは、入居者募集の広告で「1日1食付き」と謳っている賃貸マンションがありました。
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※写真はイメージです
オーナーが経営している隣接のレストランで、1日1回、食事が付くサービスです。全国を回っていると、東北でも似たようなサービスを提供している例があります。
レストラン経営を兼業しているオーナーは少ないと思いますが、近くの御弁当屋さんや飲食店と提携してサービス券を付けるとか、女性向けならネイルサロンの基本料金分を提供するなど、様々な応用策が考えられます。
――東京を始めとする大都市圏では、そこまでのサービスをつけなくても満室を維持している例は少なくありませんね。
今のところ、競争力のある立地であれば心配はいりません。ただし、今回のコロナ禍では、東京23区内でも単身者向け物件の空室率が悪化しました。
飲食店の従業員や学生が部屋を引き払って実家に戻ったり、外国人留学生が入国できなくなったりしたからです。都心でも安穏としていられません。
将来的に想定される厳しい状況が前倒しで訪れたとも言えるでしょう。大都市圏でも部屋を埋めるには、それなりの努力が必要です。
プラン作りは逆張りの発想。運営は安全・清潔+ホスピタリティを
――では、これから賃貸アパート・マンションを建築するとき、プランづくりなどでアドバイスはありますか?
地域マーケットを踏まえたプランが重要です。ただ、マーケットで得られた情報をどう生かすかによって成否が分かれます。みんなと同じことをやっていても競争力は保てません。
――具体的には、どのような戦略が必要ですか。
逆張り的な発想が大切。例えば、周辺に単身向けのワンルームが多いならファミリータイプを作る、同じワンルームでも、20㎡前後が主流の場合は27~30㎡の広めのタイプを作る、などのアプローチです。
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※写真はイメージです
以前、近くの大学生向けワンルームの多い埼玉県の郊外エリアで、あえてファミリータイプを提案したケースがありました。しかも、容積率いっぱいに建てず、全世帯に1~2台分の十分な駐車スペースを設けた。
そこは10数年も満室経営が続き、ハウスメーカーの新人営業担当者が大家さんに「なぜこのプランにしたのですか?」と聞いてきたそうです。
――マーケットを把握したうえで、ターゲットをどう見極めるかが重要ですね。建築会社や不動産会社からの提案では出てこない発想かもしれません。
未だに「部屋は小さく、建物は大きく」と提案する企業が多いようです。確かに、小さなワンルームを多数作ったほうが当初の収益性は良くなります。賃貸事業としては、最近のキーワードで言えば“持続可能”です。
――建築後に安定経営をする秘訣はなんですか。
賃貸住宅経営、つまり大家業は、不動産業とも建築業とも違います。どちらかといえばサービス業に近く、旅館業に似ているかもしれません。
顧客を迎え入れる環境を整備するという観点では、安全で清潔なのは当たり前。加えて、なるべく長く住んでもらえるようなサービスやホスピタリティが求められます。
――ホスピタリティというのは?
大都市中心部でも空室の埋まらないアパート・マンションは、ゴミ置き場が散乱している、自転車駐輪が乱雑、集合ポストがボロボロ、夜エントランスが暗いなど、基本的な管理ができていないところがほとんど。これを改善するだけで空室は結構埋まります。
その上で長く住み続けてもらうには、他に移りたくなくなるようなプラスアルファの心遣いが欲しいですね。たとえば、クリスマスの時期はエントランスにリースを飾るとか、お正月に門松を据えるとか、ちょっとした演出を施す。
あるいは、更新時に季節の果物や地元の産物などのおすそ分けをするなど、大したお金はかかりませんが、オーナーが入居者を大切にしている気持ちが伝わります。
アパート・マンション経営は、顧客に対するサービス面を見直せば、まだまだ伸びしろがある事業です。旅館の女将同様に努力と工夫次第でまだまだ伸びしろのある分野と言えるでしょう。
※この記事の内容は、2021年12月7日に行った取材を基に制作しています。
文/木村 元紀
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