なぜ増えている?賃貸アパート・マンション経営が選ばれる3大メリットとは[建築の基礎知識#2]
不動産オーナーから会社員まで、初めて賃貸アパート経営を始める人が増えています。なぜ、アパート経営に注目したのでしょうか。どんなメリットがあり、何のために始めるのかを解説します。
賃貸アパート経営3つのメリット~節税・収入・資産~
賃貸アパート経営というと、部屋が10戸前後で2階建ての小規模な賃貸住宅をイメージする人が多いのではないでしょうか。
実は、明確な定義はありません。英語の「アパートメント(apartment)」は、どちらかといえば、サービス付きの高級賃貸マンションを指すようです。
この記事では、規模や構造を問わず、「部屋を入居者に貸して家賃収入を得る賃貸住宅経営」に共通するメリットや目的について取り上げます。
アパート経営には、大きく分けて(1)税金が安くなる、(2)安定収入が得られる、(3)資産形成ができる、という3つのメリットがあります。それぞれについて説明しましょう。
(1)税金が安くなる
賃貸アパート経営による節税効果は、3つの税金が関係します。(a)相続税、(b)固定資産税等、(c)所得税等です。
まず(a)相続税の節税は、「不動産の価値は、現金や株に比べて税法上は低く評価される」というルールを活用した方法です。一例を挙げましょう(図1参照)。
1億円の土地に8000万円でアパートを建築したとします。時価1億8000万円です。
しかし、相続税評価額では、土地と建物を合わせて1億2000万円。もとの時価から33%も低い水準になりました。
建物が貸家、つまり賃貸住宅の場合は、さらに評価額が20%以上ダウンして9000万円強。つまり、最初の時価の半額です。
相続税の税率は課税対象の遺産が多いほど高くなる累進税率です。相続税の計算方法は複雑なため、ここでは詳細は省きますが、評価額が下がるほど税率も下がり、相続税額はそれ以上に大きく低減します。これがアパート経営の相続税の節税効果です。
次は(b)固定資産税等です。不動産を所有していると、毎年、固定資産税と都市計画税がかかります。アパート経営をすると、これらの税金が大幅に安くなるのです。
具体的には、何も建っていない更地、駐車場や資材置き場などの非住宅用地にアパートを建てると、住宅1戸につき200m2までが「小規模住宅用地」という扱いになり、固定資産税の評価額が1/6(都市計画税は1/3)になります。
最後は(c)所得税等です。アパート経営に関わる経費うち重要な項目として「減価償却費」があります。現金の支出は実際にはないものの、家賃収入から数百万円単位で経費として差し引けるため、税務上の不動産所得がマイナスになるケースが少なくありません。
この赤字と、給与所得などその他の所得の黒字とを合算することによって、所得全体が圧縮され、所得税と住民税が安くなります。
(2)長期安定収入が期待できる
賃貸アパート経営の本来のメリットといえるのが、長期に渡って定期的に収入を得られることが期待できる点です。
つまり、入居者がいる限り毎月家賃を得られ、経費を差引いた残りが手取り収入となります。もちろん、空室や家賃下落など各種のリスクがあり、家賃収入が保証されているわけではありません。
さらに、賃貸アパート経営では「少ない元手で大きなリターンが得られる」というメリットもあります。これが「レバレッジ効果」です。
図2をご覧ください。手元に1000万円と駐車場にしている土地があったとしましょう。現金を銀行の定期預金に預けても、今やメガバンクで0.002%、地方銀行やネットバンクでも0.2%程度です。利息は年間2万円にもなりません。駐車場収入も固定資産税や管理経費を払ったら、数十万円も残りません。
現金1000万円を頭金に、7000万円のアパートローンを組んでアパートを建築すると、なんと家賃収入の手取りは360万円以上。
駐車場の10倍以上、定期預金の100倍以上の収入です。ローンという「てこ=レバレッジ」を効かせることで、同じ手元資金で何十倍のリターンを得られるといえます。
(3)資産形成ができる
アパート経営を投資と考えれば、資産形成につながることがわかるでしょう。
アパートローンで賃貸住宅を建てた場合、その返済はオーナーの出費ではなく、入居者から得られる家賃で行います。
オーナー自身の持ち出しはなく、返済が終われば、収益物件という資産が手に入るわけです。借入能力があれば、さらに2棟、3棟と増やしていくこともできます。
賃貸アパート経営の目的は4つ。何を目指すのか
実際にアパート経営を始める際には、事前に目的を明確にしておくことが大切です。
アパート経営の目的とは、ここまでに説明したアパート経営のメリットのうち「何を目指すのか」と言い換えられます。3つのメリットの中から1つを選ぶというよりも、どこに重点を置くか、どれを優先するか、そのバランスを考えましょう。
たとえば、土地や一定の資産をすでに持っている不動産オーナーや富裕層なら節税対策を重視するケースが多いかもしれません。
どの税金をターゲットにするかも分かれてきます。現金収入の少ない不動産オーナーなら相続税対策や固定資産税対策、金融資産の多い富裕層なら所得税対策といった具合です。資産を持たない会社員などの場合は、将来のために収入確保と資産づくりが目的になるでしょう。
また、メリットだけしか見ないのも危険です。実は、節税対策に偏ると別のリスクが発生すると言われます。
たとえば、相続対策では、遺産分割や納税も併せて考えなければなりません。節税を先行してやりすぎると、分割しにくい資産になるおそれがあるからです。
同じ賃貸住宅経営でも、アパートやマンションを1棟建てるのではなく、戸建て賃貸を複数棟立てるほうが有効なケースもあります。そういう意味では、目的を考える場合、相続対策は独立した項目として検討したほうがいいでしょう。
文/木村 元紀
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