不動産仲介とは?仕組みや手数料、会社選びのポイント、管理会社との違いを解説

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公開日:2024年1月25日
更新日:2024年3月8日
不動産仲介とは?仕組みや手数料、会社選びのポイント、管理会社との違いを解説1

賃貸経営に関わりの深い会社に「不動産仲介会社」と「不動産管理会社」があります。一言で「不動産会社」と表現されていても、それぞれ会社形態や担う業務が違います。今回は不動産仲介を中心に、その役割や管理会社との違い、費用などについて解説します。

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「不動産仲介」とは

不動産仲介とは?仕組みや手数料、会社選びのポイント、管理会社との違いを解説2

「不動産仲介」とは、不動産を売買したり、貸し借りしたりする際に、売主と買主もしくは貸主と借主の間に立って契約を成立させることです。

不動産の契約は法律に則った複雑な手続きが必要なため、「宅地建物取引士」の有資格者が仲介を行うことが定められています。さらに不動産会社は「宅地建物取引業」の免許を取得していなければ仲介はできません。

不動産仲介業のビジネスの仕組み

仲介に対して不動産会社が受け取る報酬が「仲介手数料」です。通常、売買では売主・買主の両方が、賃貸ではオーナーと借主のどちらか、もしくは折半して手数料を支払います。

賃貸においては、部屋探しをしている人と物件(賃貸オーナー)を結びつけ、賃貸借契約を決めた成功報酬として、1件ごとに仲介手数料を得るのがビジネスモデルとなります。

「仲介」は広く一般的に使われる言葉ですが、宅地建物取引業法(宅建業法)上で仲介することを「媒介」といいます。不動産の現場においては「仲介」も「媒介」もほぼ同じニュアンスで使われます。

売買における不動産仲介とその流れ

売買における不動産仲介の流れは以下のように進みます。

1.不動産査定の依頼
2.売主と媒介契約を締結
3.売却活動(広告やポータルサイトへの掲載など)
4.売買契約を締結
5.決済・物件引き渡し

売買における不動産仲介契約の種類

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一般媒介契約

同時に複数の不動産会社に仲介を依頼できる契約です。契約期間の制限はなく、不動産の情報共有システムであるレインズへの登録も任意となっています。売主は、自分で見つけた買主とも直接取引が可能です。

専任媒介契約

一般媒介と同様に自分で見つけた買主と直接取引が可能ですが、契約する不動産会社は1社のみとなります。契約期間は最長3カ月で、レインズへの登録は媒介契約を結んだ翌日から7営業日以内と決められています。

専属専任媒介契約

1社の不動産会社へのみ媒介を依頼できる契約です。自分で買主を探すことはできても取引には不動産会社を通さなければならず、必ず仲介手数料が発生します。契約期間は専任媒介と同じ最長3カ月ですが、レインズへの登録は5営業日以内となっています。

賃貸借における不動産仲介とその流れ

賃貸借契約についてはどうでしょうか。賃貸仲介会社の業務フローは以下のようになっています。

1.貸主(オーナーや管理会社)から仲介を依頼される
2.入居希望者募集や物件紹介
3.入居希望者の審査
4.賃貸借契約を締結
5.物件の引き渡し

賃貸借における不動産仲介契約の種類

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宅建業法によると、専任媒介の取り決めがあるのは売買・交換のみで、賃貸借では媒介契約書の作成義務はありません。

媒介契約

媒介契約書の作成義務はないものの、仲介における条件等を示した書類を交わすことは変わりません。対応は不動産会社によって異なりますが、複数の不動産会社に入居者募集を依頼できる一般媒介、1社限定の専任媒介の区別はあります。

代理契約

別の取引形態で「代理」というものがあります。これは、入居審査や賃貸借契約の締結も、不動産会社に代理でもらう方法で、専任媒介と同じく1社のみとの契約となります。賃貸オーナーは何もしなくても入居者を決めることができます。

さらに、物件の管理もすべて委託する「代理および管理委託契約」という形態もあります。

賃貸借でかかる不動産仲介会社の手数料

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賃貸借の仲介手数料は、宅地建物取引業法で「家賃の1カ月分+消費税が上限」と定められています。これは貸主・借主どちらが払うべきという決まりはありません。

上限以内であれば、賃貸オーナーと入居者がそれぞれ0.5カ月分ずつ折半することもできます。慣例として、

媒介契約の場合は借主の承諾を得て借主が、代理の場合はオーナー側が負担するケースが多いようです。

賃貸の仲介手数料の計算方法

前項でお伝えした通り、賃貸の仲介手数料は『家賃の1カ月分+消費税』が上限です。消費税は2024年時点で10%なので、家賃別では以下となります。

家賃5万円 50,000円+(50,000×10%)=  5万5,000円
家賃7万円 70,000円+(70,000×10%)=  7万7,000円
家賃10万円 100,000円+(100,000×10%)=11万円

 

ただし、上記はあくまで上限であるため、「家賃の50%+消費税」と設定している不動産会社もあります。相場として『家賃の0.5カ月~1カ月分+消費税』と覚えておくと良いでしょう。

「仲介手数料なし」の理由は?

物件サイトでたまに見かける「仲介手数料なし」には、いくつか理由があります。ひとつはその物件の所有者=不動産会社自身である場合が挙げられます。その場合は自社の物件であるため、仲介手数料は発生しません。また、賃貸オーナーから物件を借り上げて転貸借するサブリースの場合も同様です。

他には、空室対策として賃貸オーナーが仲介手数料を全額負担するパターンです。初期費用を抑えられて入居希望者にはメリットとなり、賃貸オーナーにとっては家賃を下げるよりもリスクが低い方法といえます。

不動産を賃貸借する際に不動産仲介会社に依頼するメリット&デメリット

「仲介手数料がかかるなら、自分でできないだろうか?」と思う賃貸オーナーもいるかもしれません。賃貸借において、不動産仲介会社と契約するメリット・デメリットには次のようなものがあります。

不動産仲介会社に依頼するメリット

◎家賃相場などが把握しやすい
◎広く入居者を募集することができる
◎契約書などの書類を作成してもらえる
◎トラブルがあっても対処してもらえる

不動産仲介会社に依頼するデメリット

▲仲介手数料がかかる
▲不動産会社の実力や熱意に左右されてしまう

不動産賃貸借での「仲介会社」と「管理会社」の違い

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賃貸オーナーにかかわりの深い不動産会社に、「仲介会社」と「管理会社」があります。

仲介会社:入居者と賃貸オーナーを結びつける

部屋探しをしている人と大家さんとの間に立って、賃貸借契約を媒介するのが仲介会社です。仲介会社には「元付け会社」と「客付け仲介会社」があります。賃貸オーナーから集客を依頼されるのが「元付け会社」、部屋探しをしている人(入居者)側で部屋探しをサポートするのが「客付け仲介会社」です。

管理会社:建物から入居者まで、賃貸経営の管理をサポート

賃貸管理には、入居者管理(集金代行、契約更新、契約終了事務など)と建物管理(設備のメンテナンスなど)があります。これらの業務を賃貸オーナーに代わって担うのが管理会社です。賃貸オーナー自身でおこなう場合は「自主管理」といいます。

仲介・管理会社:入居募集から管理までまとめてサポート

仲介と管理の両方をおこなう会社で、賃貸オーナーにとっては窓口や支払先がまとめられるというメリットがあります。

仲介・管理会社には2つのタイプがあり、1つは、もともと仲介業務を中心に行っていた会社が、仲介物件を確保するために無償サービスとして管理業務も行うようになったタイプ。業歴の長い駅前不動産会社などに多いパターンです。

もう1つは、管理を専業としていた会社が、空室を埋めるために仲介業務も担うようになったタイプです。同じ会社内で仲介と管理の部署をもつケースや、グループ企業として分社化しているケースがあります。

不動産の売却・購入における不動産仲介会社の主な業務と手数料

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賃貸物件を売却・もしくは購入するときのために、売買についてもおさえておきましょう。売却においては、前述の通り「一般媒介契約」「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」のどれかの契約を不動産会社と締結することになります。

不動産の売却・購入時の不動産仲介会社の業務内容

不動産の売買における不動産仲介会社の業務は、物件の適正価格を算出することからスタートします。適正価格とは、その土地・建物がおおよそ3カ月程度で売却できる価格の目安です。

集客については賃貸と同じく、チラシや資料を作成しての募集や、インターネットを通しての募集となります。また、内見の立ち合いや物件の説明などもしてくれます。

買いたいという人が現れたら、売主と買主の間に立って売買金額や引き渡しの時期、支払い方法などの条件を調整します。その後、重要事項の説明と契約書への双方の署名・捺印によって売買が成立します。買主側はローンの審査・申し込みも行います。

契約が成立したら、登記を移動して、物件の引き渡しとなります。

不動産売却・購入時にかかる仲介手数料の計算方法

手数料は、売買される不動産の価格によって上限が変わります。具体的には以下の通りです。

成約価格(税別)200万円超400万円以下の場合
(成約価格×4%+2万円)+消費税
成約価格(税別)400万円超の場合
(成約価格×3%+6万円)+消費税

 

例えば成約価格4,000万円の物件の場合、このような計算になります。

4,000万円 × 0.03 + 6万円 = 126万円
さらに消費税10%がプラスされるため
126万円 × 1.1 = 138万6,000円 が不動産仲介会社に払う手数料です。

仲介手数料を支払うタイミングは、売買契約の成立後です。具体的には契約時や引き渡し時に全額、もしくは2回に分けて支払うなど、不動産会社によって違います。現金で支払うのが一般的ですので、あらかじめ準備をしておきましょう。

売買の場合は、不動産仲介手数料は売主・買主の双方が支払います。

不動産の売却や購入をする際に不動産仲介会社に依頼するメリット&デメリット

不動産仲介会社に依頼するメリットとデメリットは、基本的には賃貸借の場合と同様です。不動産仲介会社を介することで適正価格が把握できる、書類や契約に関する複雑な事務作業をしなくてすむことなどがメリットとなります。

依頼するデメリットはやはり仲介手数料で、賃貸借と比べて金額も大きくなります。さらに、もし悪徳な不動産会社に依頼してしまった場合、法外な手数料や成功報酬以外の報酬を要求されるリスクがあるため要注意です。

失敗しない不動産仲介会社の選び方

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悪徳な不動産会社に出会うリスクについて触れましたが、賃貸経営の成否には、信頼できる不動産仲介会社の存在が大きく関わってきます。不動産仲介会社を選ぶときには、以下のポイントを確認しましょう。

1.連絡のとりやすさ

何度もやり取りすることになるため、営業時間が長い、定休日が少ない、店舗が近いなどといった要素は意外と大切です。あまりに遠い、連絡が付きづらい、対応時間が短い会社は避けた方が良いでしょう。

2.実績や得意分野

ホームページなどで確認することができます。不動産会社によって得意・不得意分野がありますので、自分の希望に合うかどうかも見極めましょう。

3.宅建免許の更新回数

ホームページなどで「東京都知事(2)第〇〇〇〇号」のように記載されている宅建業免許番号は、5年に一度更新されます。( )内の数字が更新回数であるため、その会社がどれくらい長く不動産取引を行ってきたかが分かります。歴史があるから良いとは言いきれませんが、目安のひとつになるでしょう。

4.過去の行政処分歴

国土交通省が運営している「ネガティブ情報等検索サイト」で過去の行政処分歴を調べることができます。行政処分=今でも悪徳、とは限りませんが、対応に疑問を感じたときなどの参考にすることはできます。

5.営業担当の対応

メールの返信の早さや質問に的確に丁寧に答えてくれるかどうか、身だしなみや言葉づかいがきちんとしているかを確認しましょう。客付けも依頼する場合は、担当者の対応が物件の印象に影響するため、かなり重要な項目です。

6.口コミや評判など

検索サイトで評判をチェックしたり、地元の地主や身近な賃貸オーナーに実際にどんな会社か聞いてみたりするのも良いでしょう。インターネット上の情報は匿名で真偽が分からないため、参考程度にしておくことをおすすめします。

まとめ

不動産仲介会社は、賃貸オーナーにとって大切なパートナーです。賃貸オーナー自身の仕事の進め方や目指したい方向性を理解し、協力してくれる仲介会社はきっと心強い味方になるはずです。

もし、現在契約している仲介会社の対応や手数料に疑問を感じたら、他の会社を検討してみることも有効です。依頼する会社によって経営が改善されることもあるため、仲介会社の対応には常に意識を向けておきましょう。

※この記事内のデータ、数値などに関して本記事は、2024年1月22日時点の情報をもとに制作しています。

文/石垣 光子

ライタープロフィール
石垣 光子(いしがき・みつこ)
情報誌制作会社に10年勤務。学校、住宅、結婚分野の広告ディレクターを経てフリーランスに。ハウスメーカー、リフォーム会社の実例取材・執筆のほか、リノベーションやインテリアに関するコラム、商店街など街おこし関連のパンフレットの編集・執筆を手がけている。

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