2043年には空き家率が25%に⁉国交省が不動産会社に対して進める対策とは?

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公開日:2024年7月9日
更新日:2024年7月9日
2043年には空き家率が25%に⁉国交省が不動産会社に対して進める対策とは?1

人口が減少し続けている日本で、喫緊の課題となりつつある空き家問題。2023年には改正空き家法が施行されるなど法令の見直しも進むなか、この6月に国交省が「不動産業による空き家対策推進プログラム」を策定しました。空き家活用の一翼を担う不動産会社に向けたもので、空き家に係る媒介報酬などの見直しも含まれています。同ブログラムの内容を含め、最新の空き家事情を解説します。

空き家の現状|2023年は約900戸で空き家率13.8%に

まずは空き家の現状から振り返ってみましょう。2023年の総務省「令和5年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計(速報集計)」によると、空き家の数は約900戸で、空き家率は13.8%。1978年から一貫して増加し続けています。

このうち、賃貸や売却のために一時的に空き家になっているものや別荘などを除いた「賃貸・売却用及び二次的住宅を除く空き家数」は2023(令和5)年の時点で385万戸。総住宅(6,502万戸)の5.9%を占めています。

図表1:空き家数及び空き家率の全国推移
2043年には空き家率が25%に⁉国交省が不動産会社に対して進める対策とは?2

出典:総務省「令和5年住宅・土地統計調査住宅数概数集計(速報集計)」結果(令和6年4月)

これら使用目的のない空き家の3/4超が昭和55年以前(新耐震基準以前)に建築されており、昭和25年以前の建築も22%を占めています。このうち「腐朽・破損あり」は約23%にあたる89.7万戸。空家対策特措法が施行された2015年を境に減少には転じたものの、さらなる対策が必要であることは明らかです。

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空き家数予測|NRIの予測によると、20年で2倍以上に

2043年には空き家率が25%に⁉国交省が不動産会社に対して進める対策とは?2

増加し続けている空き家数ですが、将来はどのように予測できるのでしょうか。それについては、(株)野村総合研究所(NRI)が「2028~2043年の空き家数と空き家率」をリリースしています。

日本では、人口減少が進む一方で1~2人の少人数暮らしを中心に世帯数は増加傾向にあります。この世帯数増加も踏まえて、公表されたばかりの「住宅・土地統計調査」をもとに予測したところ、2043年には空き家率が25.3%に上昇する見込みとなりました。

住宅の建て方別では、長屋建て(テラスハウス含む)+共同住宅では空き家率が減少している一方で、一戸建ては上昇。これも増加している世帯の多くが単独世帯・少人数世帯であることが影響していると思われます。

一戸建ての空き家は腐朽・破損ありの割合が比較的高い傾向にあることから、NRIの予測では、2043年の一戸建の腐朽・破損あり空き家数は165万戸と予測。これは、2023年(82万戸)の2倍以上にもなります。

空き家所有者の現状|過半数が相続で約3割が遠方に居住

空き家の現状に話を戻して、空き家ができた経緯やその所有者についてのデータをご紹介します。令和元(2019)年の「空き家所有者実態調査」(国土交通省)によると、取得経緯は「相続」が最も多く、54.6%です。

所有者の居住地は空き家から「徒歩圏内」が35.6%である一方、「車や電車で1時間超」は約3割で、12.5%は3時間を超えています。

2043年には空き家率が25%に⁉国交省が不動産会社に対して進める対策とは?2

出典:国土交通省「空き家所有者実態調査」(令和元年)

空き家の管理面での心配ごとは、「住宅の腐朽・破損の進行」が最も多く58.0%、「樹木・雑草の繁茂」41.9%が続きます。「心配事はない」と答えた人は20.5%に留まっていました。

また、「空き家所有世帯の家計を支える者」の6割超が65歳以上と、空き家の所有者の高齢化が進んでいることがわかります。

また、東京大学連携研究機構 不動産イノベーション研究センター(CREI)による検証実験で、50m範囲内に長期空き家数が1軒増えるごとに周辺の住宅の取引価格が約3%低下することが明らかになっています。

不動産業の課題|空き家の取り扱いは収益性が低い?

2043年には空き家率が25%に⁉国交省が不動産会社に対して進める対策とは?2

今回の「不動産業による空き家対策推進プログラム」は、不動産業者が空き家流通や利活用に関するノウハウを発揮できるように策定されたもの。公表資料では、不動産業の現状についても紹介されています。

それによると、全国の宅建業者数はここ10年で増加していますが、都道府県別に見ると22府県で減少。全国の14%の自治体が、宅建業者が0店舗という現状です。空き家の数自体は都市圏で多いものの、宅建業者1件あたりの空き家数は、島根県・鳥取県・岩手県等地方部で多くなっています。

空き家を取り扱う際に課題と感じることについては、「業務の負担に対して、収益性が低いこと」が61.7%と最も高く、次いで、「建物の劣化や不具合等、物件を取り扱うリスクが重いこと」が34.6%、「通常の仲介よりも現地調査等の手間・時間がかかること」が32.0%で続きます。具体的には、以下のようなコメントが挙がっていました(抜粋)。

管理の状況・情報が少ない場合が多く、取引額に対して「契約不適合責任」のリスクが高すぎる
売主の相場観がなく、金額の設定を理解してもらえない。解体費等の必要経費についても理解をしていないように思われる。
相続人の探索調査が大変。所有者と相続人が死亡されていたため、相続関係を調べるのにかなり手間取った。
古い建物で10年以上放置されていたため、現状を把握している関係者がいない。未登記で図面等が全くなかった。近隣住民も高齢で成年後見人等との連絡に苦慮した。
いわゆるゴミ屋敷、残置物多大。残置物で足の踏み場もない状況の中、許可を得て、権利証、公共料金等探すのが大変、仏壇や神棚の処分は気を遣うし、費用も発生する。

 

空き家対策①|流通に適した空き家等の掘り起こしとは?

空き家にまつわる様々な問題を解消するために、「不動産業による空き家対策推進プログラム」は2本柱で構成されています。

ひとつは「流通に適した空き家等の掘り起こし」で、①所有者への相談体制の強化、②不動産業における空き家対策の担い手育成、③地方公共団体との連携による不動産業の活動拡大、④官民一体となった情報発信の強化が主な内容です。

具体的な取り組みのひとつとして、空き家専門家の育成に係る業界研修の充実や、「空家等管理活用支援法人」に不動産業関係団体を指定しやすい環境づくりを行います。また、空き家所有者に向けては、できる限り早い段階で対応することや、相談先や必要手続等を伝え、啓発していくとしています。

空き家対策②|ビジネス化支援として媒体報酬規制の見直しも

もう一つの柱「空き家流通のビジネス化支援」は、①空き家等に係る媒介報酬規制の見直し、②「空き家管理受託のガイドライン」の策定・普及、③媒介業務に含まれないコンサルティング業務の促進、④不動産DXによる業務の効率化と担い手の確保が主な内容。

不動産業界のアンケートにもあった「業務の負担に対して収益性が低い」という現状を解消するために、物件価格800万円の低廉な空き家等については、媒介に要する費用を勘案して、原則による上限を超えて報酬を受領できるとしました。(30万円の1.1倍が上限)。

賃貸借取引においても、長期の空家等については、貸主である依頼者から原則による上限を超えて報酬を受領できるよう定めています。(1カ月分の2.2倍が上限)。

売買取引に係る報酬額

【原則】
依頼者の一方から受けることのできる報酬額は、物件価格に応じて一定の料率を乗じて得た金額を合計した金額以内

低廉な空家等の媒介の特例
低廉な空家等(物件価格が800万円以下の宅地建物)については、当該媒介に要する費用を勘案して、原則による上限を超えて報酬を受領できる30万円の1.1倍が上限)。

 

2043年には空き家率が25%に⁉国交省が不動産会社に対して進める対策とは?2

出典元:「空き家等に係る媒介報酬規制の見直し」|国土交通省資料

賃貸借取引に係る報酬額

【原則】
依頼者の双方から受けることのできる報酬の額の合計額は、1カ月分の借賃に1.1を乗じた金額以内
※居住用建物の場合、依頼者の一方から、1ヶ月分の借賃に0.55を乗じた金額以内(媒介の依頼を受けるに当たって依頼者の承諾を得ている場合を除く)

長期の空家等の媒介の特例
長期の空家等(現に長期間使用されておらず、又は将来にわたり使用の見込みがない宅地建物)については、当該媒介に要する費用を勘案して貸主である依頼者から、原則による上限を超えて報酬を受領できる(1カ月分の2.2倍が上限)。

 

2043年には空き家率が25%に⁉国交省が不動産会社に対して進める対策とは?2

出典元:「空き家等に係る媒介報酬規制の見直し」|国土交通省資料

これらは媒介業者が業務に応じて正当な報酬を受け取るための施策ですが、報酬額については依頼者にあらかじめ説明し、合意を得る必要があるとしています。

また、不動産業が一括して所有者をサポートできるよう、空き家等に係る不動産コンサルティングサービスの認知度向上を図るとともに、媒介報酬とは別に報酬を受け取れることが明確化されます。

空き家コンサルティングが可能な「不動産コンサルティングマスター」を課題別・地域別に検索できるシステムや、2025年春に向けて、テーマごとに検索可能な事例紹介を含む「課題解決支援ツール」等も作成される予定です。

さらに、不動産業者の維持・確保のためオンライン取引等のDX化、テレワーク等を活用し、業務の効率化を推進。今後は不動産取引に伴う各種手続をワンストップ化し、できる限り業務の負担が減らせるよう働きかけます。

まとめ

2043年には空き家率が25%に⁉国交省が不動産会社に対して進める対策とは?2

様々な面からアプローチし、不動産会社が空き家を取り扱いやすい環境づくりに取り組む今回のプログラム。空き家についてはケースバイケースということも多くマニュアル化するのは難しいものの、報酬の見直しなどで前向きなムードが生まれる可能性はあります。

また、体制が古いといわれがちな不動産業界でDX化やリモートワークが進み、業務が効率化するのは賃貸オーナーとしても喜ばしいことと言えるのではないでしょうか。

空き家問題は誰もがかかわる可能性がありますが、賃貸経営をするうえではさらに関連の深いトピック。将来の相続も視野に入れた長期経営計画において、定期的にチェックしておきたいものです。

※この記事は2024年7月8日時点の情報をもとに作成しています

記事・文/石垣 光子

ライタープロフィール
石垣 光子(いしがき・みつこ)
情報誌制作会社に10年勤務。学校、住宅、結婚分野の広告ディレクターを経てフリーランスに。ハウスメーカー、リフォーム会社の実例取材・執筆のほか、リノベーションやインテリアに関するコラム、商店街など街おこし関連のパンフレットの編集・執筆を手がけている。

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