物件情報における写真の重要度が年々減少傾向に。「住宅居住白書2024」からわかる住まいへの意識の変化

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公開日:2024年10月16日
更新日:2024年10月16日
物件情報における写真の重要度が年々減少傾向に。「住宅居住白書2024」からわかる住まいへの意識の変化1

9月23日「不動産の日」に(公社)全国宅地建物取引業協会連合会(全宅連)が『住宅居住白書2024』を発表しました。これは、20歳〜65歳の全国の男女5003名を対象に「住まいに関する定点/意識調査」を実施し、その結果をまとめたものです。今年は省エネ性能表示や空き家問題についても調査しています。

不動産「買い時だと思う」が増えても持ち家派は減少継続

最初は不動産の買い時に関する質問です。今回「不動産は買い時だと思う」と回答した方は19.2%。2023年調査時の15.8%より3.4ポイント増加しました。

買い時だと思う理由は「今後、住宅ローンの金利が上昇しそうなので(今の金利が低いので)」(49.8%)がトップに。2位に「住宅ローン減税など住宅取得の為の支援制度が充実しているから」(28.6%)が続きます。

「買い時だと思わない」は2023年調査時37.0%→今回35.0%、「わからない」も同47.2%→45.8%と減少。その理由は「不動産価格が下落しそうだから」(26.5%)、「自分の収入が不安定または減少しているから」(20.8%)、「地震や水害などの天災が心配だから」(18.0%)が上位でした。

「持ち家派」「賃貸派」のどちらかを現在の住まいに関係なく選んでもらったところ、持ち家派がマンション・一戸建て合わせて63.3%という結果で、対する賃貸派は20.1%に。

しかし過去の調査との比較では、持ち家派は2016年の85.3%をピークに減少傾向で、賃貸派は昨年の17.4%から2.7ポイント増えました。賃貸派を選んだ理由には、住宅ローンや維持管理コストを挙げる人が多く、住宅所有への経済的不安が表れています。

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天災に対し3人に1人が「築年数や構造を考えるようになった」

物件情報における写真の重要度が年々減少傾向に。「住宅居住白書2024」からわかる住まいへの意識の変化2

元旦の能登半島地震から始まった2024年、人々の天災についての意識はどのように変わったのでしょうか。天災に対する住まいの意識について当てはまるものを3つまで選んでもらったところ、住宅購入や生活環境に関して「築年数や構造(免震・耐震)を考えるようになった」という人が35.3%で最も高くなりました。

次いで「緊急避難場所や防災マップを意識するようになった」(35.2%)、「地盤の状況を意識するようになった」(29.0%)が続きます。

ハザードマップの認知度は80.4%で、実際に住んでいる地域のハザードマップを見たことがある人は54.8%と、全体で過半数となりました。年代が上がるほどハザードマップを見たことのある人の割合は多くなり、50代では6割、60代以上では7割を越えます。

年代別での2023年との比較では、30代でハザードマップを見た人が26.9%→49.1%と大きく増えています。昨今の災害の増加に加えて、子育て世代であることも関連するのかもしれません。

物件についてのほしい情報1位「物件写真」は数年間徐々に減少

物件情報における写真の重要度が年々減少傾向に。「住宅居住白書2024」からわかる住まいへの意識の変化2

住まい探しに関する調査で、購入・賃貸かかわらず、物件の情報収集に「あると便利」な情報を聞いたところ、「物件の写真」(54.6%)や「周辺物件の相場」(35.8%)が上位でした。

しかし、過去数年間にわたって見てみると「物件の写真」は徐々に減少している一方で、「物件の品質情報(省エネ・耐震等)」(34.2%)や「防災情報」(27.3%)への関心が高まっています。また、物件紹介の動画や医療機関の情報も一定の需要があることがわかりました。

今後の求める住まい方についての調査では、年代別に結果が異なっています。20〜30代では「職場の近くで住まう職住近接」など働きやすさを重視する一方で、50〜60代は「介護が必要になっても年金の範囲内で安心して暮らし続けられる住まいの整備」が支持されています。

現在の居住形態については、持ち家(マンション・集合住宅)17.1%、持ち家(一戸建て)46.3%、賃貸(マンション・集合住宅)29.6%、賃貸(一戸建て)3.7%、その他3.3%という結果でした。現在の住まいを探した方法については、持ち家は不動産会社が、賃貸は物件情報ポータルサイトが最も高くなっています。

2022年5月に解禁された不動産取引における電子契約については、「利用したい」という人が34.1%→40.5%と2023年より6.4ポイント増加しました。ただし、年齢が上がるにつれて電子契約のニーズは低下しています。

「すでに空き家」「将来空き家の可能性」が合わせて37.6%に

物件情報における写真の重要度が年々減少傾向に。「住宅居住白書2024」からわかる住まいへの意識の変化2

深刻化する「空き家問題」についても2023年に引き続き調査しています。「ご自身またはご家族(ご両親等)の家で、将来空き家になる、または既に空き家になっている状況がありますか」という質問では、「既に空き家になっている」(10.0%)、「将来空き家になる可能性がある」(27.6%)という結果に。

地域別では、特に北海道で「すでに空き家」の割合が前年の3.2%→6.6%に増加。四国地方でも空家の割合が多く、関東地方や九州地方でも増加の傾向にあります。

すでに空き家になっている、将来空き家になる可能性がある人に対策を聞いたところ「話し合いの必要を感じつつもまだ行えていない」(35.2%)が最も多く、「放置・何も考えていない」(22.5%)が続きます。

「過去に検討を行ったがどうにもならなかった」人が4.4%、「相続土地国庫帰属制度」を検討している人も4.4%いました。「相続土地国庫帰属制度」は、所有者不明土地ができることを防ぐために2023年から始まった制度で、一定の要件を満たせば土地を手放して国に帰属させることができます。ただし、家を解体して更地にする必要があり、負担金も土地1筆あたり20万円かかります。

2024年からの省エネ性能表示制度、「知っている」人はわずか16.2%

2024年4月から、建築物の省エネ表示制度が開始されました。これによって建物の省エネ性能を客観的な数値で比較・検討できるようになりましたが、それについて「知っている」と答えた人は16.2%でした。

「よく知らないが、今後、住まい選びの参考にしたい」(29.1%)、「名前は聞いたことがある」(17.8%)であることからも、あまり認知が進んでいないことがわかります。

家の売買や部屋の賃貸をするときに、不動産会社を選ぶポイントとして重視することは「優秀な担当者」が最も多く23.6%でした。担当者に対して期待するのは「わかりやすい説明」(24.1%)が1位で、「メリットだけではなく、全て隠さず情報を伝えてくれること」(19.6%)が続きます。不動産会社には情報の透明性や担当者の信頼性が求められていることが明らかになりました。

インフレ経済の中で心がけるのは「節電」「節約」「貯金」

物件情報における写真の重要度が年々減少傾向に。「住宅居住白書2024」からわかる住まいへの意識の変化2

それでは、長く続いたデフレ経済からインフレ経済に移行する中で、消費者はどのような住まい方や資産形成をしているのでしょうか。住まい方で心がけていることは「節電を徹底する」(35.6%)、「食費を節約する」(33.2%)、「大きな買い物を控える」(31.0%)が上位3位となっています。

資産形成について実際に運用している、またはこれから始めたいものを複数回答で聞いたところ「預貯金」(35.4%)という回答が最多に。次いで「株式投資」(29.4%)、「投資信託・ETF」(23.9%)、「iDeCo」(13.7%)が続きます。

多くの人が生活費の見直しに取り組んでいるようですが、まだ投資に踏み切れない人も多いようです。

まとめ

今回の調査結果から、環境や災害リスクへの消費者の関心が高まる一方で、経済的な不安や住まいに対する慎重な姿勢が明らかになりました。

調査では「今後、不動産市場では、こうした消費者の多様なニーズに的確に対応するため、環境性能や安全性、経済的メリットを兼ね備えた商品やサービスの提供がより一層重要となる」としています。

住まい選びにおいて、性能面でも経済面でもよりシビアな目で判断する消費者がこれから増えていくことが予想されます。賃貸経営においても、それらに的確に応えられる住まいづくりを考え続けていく必要がありそうです。

※この記事内のデータ、数値などに関する情報は2024年10月15日時点のものです。

取材・文/石垣 光子

ライタープロフィール
石垣 光子(いしがき・みつこ)
情報誌制作会社に10年勤務。学校、住宅、結婚分野の広告ディレクターを経てフリーランスに。ハウスメーカー、リフォーム会社の実例取材・執筆のほか、リノベーションやインテリアに関するコラム、商店街など街おこし関連のパンフレットの編集・執筆を手がけている。

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