団塊世代が75歳以上となる2025年は大相続時代の幕開け⁉「家じまいに関する意識調査」から見える社会課題

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公開日:2024年10月15日
更新日:2024年10月18日
団塊世代が75歳以上となる2025年は大相続時代の幕開け⁉「家じまいに関する意識調査」から見える社会課題1

総人口に占める65歳以上人口の割合が29.1%※にものぼる日本。金融資産の6割以上を、世帯主が60歳以上の世帯が保有しており、団塊世代がすべて後期高齢者(75歳以上)となる2025年には「大相続時代」が始まるとされています。それとあわせて、相続財産の選別の一環としての「家じまい」の検討者も増える見込みです。(株) オープンハウスグループと(株)LIFULLが共同で行った「家じまいに関する意識調査」から、不動産の継承と課題について考えます。

※令和6年版高齢社会白書|内閣府

家じまい検討のきっかけは「使う見込みがない」が最多

団塊世代が75歳以上となる2025年は大相続時代の幕開け⁉「家じまいに関する意識調査」から見える社会課題2

資産の中でも、引き継ぐことで税金や修繕費などの余計なコストがかかり「負の遺産」にもなりやすい不動産。実家や生家の売却を経験した、もしくは検討している人にそのきっかけを聞いたところ、次のような結果になりました。

売却を検討し始めたきっかけ 経験者 検討者
使う見込みがなく、家の維持・修繕が大変になった 34.3% 29.1%
家族や親族の死別 20.6% 17.4%
家族や親族の高齢化 12.3% 21.7%

 

「使う見込みがなく、家の維持・修繕が大変になった」が最多であることは経験者・検討者ともに変わりませんが、2位が入れ替わっています。特に「家族や親族の高齢化」は、経験者と検討者では9.4ポイントも差がつきました。

オープンハウス・ディベロップメントでは、家の売却をされたお客様のうち4割が相続に関連した売却、内7割がその時点で空き家であることから、「空き家予備軍」の存在を指摘。今後は「老後の介護やくらしに関わる資金として、自ら住宅の売却を計画する人も増えることが見込まれる」としています。

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親の平均年齢は80歳で検討者の親の年齢は77〜78歳

団塊世代が75歳以上となる2025年は大相続時代の幕開け⁉「家じまいに関する意識調査」から見える社会課題2

家じまいの経験者に、家じまいをした(売却当時の)親の年齢を聞いたところ、父親・母親ともに平均年齢が80歳でした。家じまい検討者の現在の親の平均年齢は父親77歳、母親78歳。2〜3年前から家じまいを検討し始める人が多いようです。

家じまいの実施には2度のピークがあり、1度目は80歳ですが、2度目は親が85歳・86歳のタイミング。平均寿命と照らし合わせると、2019(令和元)年の平均寿命は男性81.41歳、女性87.45歳で、健康寿命は男性72.7歳、女性75.4歳となっています。

死別後の相続の他、体調の変化や介護施設への入居をきっかけにした家じまいであることが伺えます。家じまい検討のきっかけでは、「施設の入居に頭金が必要なため」は経験者・検討者とも1%台でしたが、老人ホームや介護施設の入居費用も値上がりの傾向にあります。施設入居の資金調達のための家じまい(売却)というパターンはこれから増えていきそうです。今後、家じまいは早期化するかもしれません。

実際の売却にかかった期間は「3ヵ月~6ヵ月未満」(31.1%)が最多ですが、検討者は「3年以上」(22.9%)が最多に。じっくり時間をかけて売却したいと検討する人が多い一方で、現実はそうならなかったケースが多いことがわかります。

経験者の売却期間が短いのは、相続税の支払いや管理・維持コストが関係しているのではないかと同調査では分析されています。納税や維持費のために急いで売却することになり、結果として納得いく売却にならなかったというケースもありそうです。

「思うような価格で売れなかった」が後悔ポイントの1位

実際に経験者に「売却で苦労したことや後悔したこと」を聞いたところ、トップ3は次のような結果になりました。

売却した際に苦労したことや後悔したこと(経験者)
1位 思うような価格で売れなかった 39.1%
2位 信頼する不動産会社を複数しっかり比較しなかった 26.7%
3位 家の中にある残置物で売れそうなものがあったが、手間と時間で売ることができなかった 20.8%

 

1位の「思うような価格で売れなかった」という回答には、買い手が見つからないケースや、査定よりも価格を下げることになってしまったケースが含まれます。2位、3位についても前項の通り、時間のなさが要因として考えられる結果になっています。

不動産の売却には家の取り壊しや残置物の処理など、思わぬ手間やお金がかかることを見越し、あらかじめ計画を立てておく必要がありそうです。

実際の売却方法については、「不動産会社の仲介」72.3%という回答が大多数で、2位が「不動産会社の買い取り」17.4%でした。エリアによっては残置物などもそのまま買い取ってくれる会社もありますが、仲介より売却金額は低くなります。それでも手放すことにメリットを感じる方が一定数いるのでしょう。

売却に至っていない理由は面倒さや時間のなさが上位に

家じまいと密接に関連する社会問題に「空き家問題」がありますが、その原因につながる「売却に至っていない理由」についても質問しています。上位の結果は次の通りです。

実際に経験者に「売却で苦労したことや後悔したこと」を聞いたところ、トップ3は次のような結果になりました。

売却に至っていない理由(検討者)
1位 特に理由はない(面倒だ、など) 21.1%
2位 どんな不動産会社を選べば良いかが分からない 19.4%
3位 情報は集めているが、検討をする時間的な余裕がない 18.3%
4位 家の扱いについて家族の意見が決まっていない 17.4%
5位 家の片づけが終わらない 16.3%

 

団塊世代が75歳以上となる2025年は大相続時代の幕開け⁉「家じまいに関する意識調査」から見える社会課題2

1位は「特に理由はない」という回答で、つまりなんとなく面倒で先延ばしになっている、動けていないということになります。その他には時間的余裕のなさを理由としている回答が多く、不動産会社の検討や家族との話し合い、家財の片づけなどがハードルとなっています。

経験者が「売却した際に苦労したことや後悔したこと」の3位であった「家の中にある残置物で売れそうなものがあったが、手間と時間で売ることができなかった」とも関連する結果となりました。家財の片付けや分別、売却は家じまいの大きな課題であることが分かります。

会社選びは「査定価格or信頼」で検討者と経験者に違い

最後に、不動産売却の会社選びにおいて重視するポイントについて質問しています。これについては検討者と経験者で重視するポイントが違うという興味深い結果が出ました。

売却の会社選びの重視ポイント 経験者 検討者
納得できる査定価格 34.3% 29.1%
会社が信頼できる 20.6% 17.4%
友人家族などの紹介 12.3% 21.7%
担当者の説明が丁寧 11.1% 4.9%

 

検討者は「査定価格」を、経験者は「会社の信頼」を最も重視しています。他にも経験者は「担当者の説明が丁寧」や「友人家族などの紹介」といった、信頼できる相手かどうかを重視する傾向があります。

経験したからこそ、知識や時間も乏しいなかで大きな金額の取引をおまかせする相手への信頼が大切、ということなのでしょう。

まとめ

団塊世代が75歳以上となる2025年は大相続時代の幕開け⁉「家じまいに関する意識調査」から見える社会課題2

長年住んだ実家には多くのものや思い出があり、機械的にお金や時間をかければ処分できるものではありません。しかし、いざ直面するとお金や時間のことで悩む人が多いのも現実。誰も住む人がいないまま放置してしまうと固定資産税などの税金や維持管理コストも発生します。

さらに、空き家の期間が長くなるほど、雑草や害虫などによる近隣への被害や放火・犯罪のリスクが大きくなります。

LIFULL HOME’S総研チーフアナリスト 中山登志朗氏は今回の調査結果を「家じまいは他人事ではなく自分事として考えておく必要がある」とまとめています。2024年4月から相続登記が義務化されたこともあり、家じまいはより身近な問題になっていくでしょう。

家じまいにおいては、できる限り早めに家をどうするかを家族内で話し合い、元気なうちに持ち物を整理しておくことが重要です。「終活」という言葉が定着しつつあるように、お盆やお正月の家族が集まる1日を実家の片付けに割くご家族も増えているようです。すぐに売却という話ではなくても、家について考えるいいきっかけになります。

※この記事内のデータ、数値などに関する情報は2024年10月15日時点のものです。

取材・文/石垣 光子

ライタープロフィール
石垣 光子(いしがき・みつこ)
情報誌制作会社に10年勤務。学校、住宅、結婚分野の広告ディレクターを経てフリーランスに。ハウスメーカー、リフォーム会社の実例取材・執筆のほか、リノベーションやインテリアに関するコラム、商店街など街おこし関連のパンフレットの編集・執筆を手がけている。

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