税理士が解説!2025年 確定申告は定額減税と電子申告がポイント

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公開日:2024年11月20日
更新日:2024年11月20日
税理士が解説!2025年 確定申告は定額減税と電子申告がポイント1

2024年分の確定申告期間は2025年2月17日から3月17日まで。今回実施される「定額減税」やおさえておきたい経費計上のポイント、電子申告のメリットなどを税理士の野上さんに解説いただきました。

解説していただきました
税理士が解説!2025年 確定申告は定額減税と電子申告がポイント2

税理士法人アンサーズ会計事務所 代表社員 税理士
野上 浩二郎

複数の税理士法人で相続・不動産譲渡・事業承継に関わる案件を多数手掛たのち、2012年に税理士法人アンサーズ会計事務所を設立。不動産オーナーなどの多くが潜在的に抱える相続・事業承継の悩みを掘り起こし、解決するために全力を尽くしている。国家資格取得のための専門学校の講師を務めているほか、「専門家のための事業承継の実務」など著書も多数。

定額減税が実施。所得税の控除は要申告

税理士が解説!2025年 確定申告は定額減税と電子申告がポイント2

2024年分の所得税の確定申告に関して、基本的に例年と変わりはありませんが、忘れずに行いたいのが、本年の6月から実施されている「定額減税」です。確定申告で申告した所得税額から定額減税分を控除できます。

対象となるのは納税者本人とその配偶者や扶養親族で、1人につき所得税3万円、住民税1万円の合計4万円が控除されます。

例えば、納税者本人、同一生計配偶者、子ども(扶養親族)1人の3人家族の場合には、所得税から減税される額は合計9万円です。所得税に関しては自身で控除した額を申告することになりますので忘れずに記入してください。

なお住民税については2024年第1期分の税額から直接控除されているので、申請は不要です。

個人事業主の定額減税は所得税から3万円×人数分を差し引いて申告

定額減税額 所得税
本人分 3万円
同一生計配偶者又は扶養家族 1人につき3万円

※事業専従者は減税対象者に含まれません

1人あたり所得税3万円、住民税1万円、合計4万円が減税されます。納税者と同一生計配偶者や扶養親族についても1人につき同額の減税を実施します。扶養家族がいる方は、その分も含めて申請しましょう。

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税理士が解説!2025年 確定申告は定額減税と電子申告がポイント2

事業に関わる経費は説明できる根拠を残す

税理士が解説!2025年 確定申告は定額減税と電子申告がポイント2

次に不動産賃貸業に関わる経費について説明します。

基本的な項目としては、固定資産税や火災保険料、建物・設備などの減価償却費などがあげられます。その他の項目も、仕事で利用したものは経費として計上できます。ただし税務署から問い合わせがあった場合は、根拠を示して合理的に説明できる準備が必要です。

例えば、自宅の一部を事務所として使用している場合、床面積の割合に応じた家賃や光熱費を按分して計上できるように、間取り図などを用意しておくと良いでしょう。

管理会社との情報交換のための飲食代は、領収書とともに、いつ、誰と行ったか記録を残しておいてください。自家用車のローンやガソリン代、スマホの通話料などは、仕事と私用の区別を示す証拠を残しにくいですが、実際に使用した分のみとなりますので、しっかり記録を残すことが重要です。

税理士が解説!2025年 確定申告は定額減税と電子申告がポイント2

※取得価額とは、修理・改良の対象物を購入した際の価額のことで、取得に付帯する引き取り運賃、荷役費、運送保険料、購入手数料、据付費などを含める

また、申告時に迷いがちになるのが、リフォーム工事などが発生した場合です。傷みや故障を直して元の状態に回復する支出は「修繕費」となり、支出額が20万円未満の修繕費は全額経費にできます。

リノベーションのように、物件の価値や性能、耐久性が高まる場合は「資本的支出」となり、減価償却費として数年に分けて計上しなければなりません。修繕費か資本的支出か、見極めが難しい場合には以下の判定用フローチャートを参考にしてください。

青色申告はメリットが多い電子申告で

税理士が解説!2025年 確定申告は定額減税と電子申告がポイント2

確定申告には、青色申告と白色申告の2種類がありますが、私は断然青色申告をおすすめします。

青色申告のメリットは、取得価額が30万円未満のものであれば、パソコンなどの固定資産を一括で損金算入できる「少額減価償却資産の特例」を利用できるなど様々ですが、一番のメリットは、青色申告特別控除によって、最大55万円の控除を受けられることです。さらに、電子申告なら10万円増えて最大65万円の控除が活用可能になります。(※)

現在、国税庁では電子申告を推進していて、2025年1月からは収受印押捺が廃止となります。

収受印とは、税務署がその申告書類を受け付けた時にいつ受け付けたかを示すために押す日付印のことです。申告書の控えに押され、金融機関で融資を受ける際などに提出を求められることがあります。

確定申告を電子申告(e–Tax)で行えば、提出日時がデータとして残るので、仮に金融機関等から控えの提出を求められても、そのデータを証明書類として利用することができるのです。まだ青色申告で申告をしたことがない方や電子申告を行っていないオーナーは、この機会に検討してみてはいかがでしょうか。

※不動産賃貸業では、事業的規模(5棟10室以上)と認められる場合に控除の対象となります

消費税の申告・納付も忘れずに!

消費税の申告・納税も同時期に実施されます。

インボイス制度を機に、免税事業者から課税事業者になったオーナーは、経過措置期間の2026年までは、仕入額に関わらず、売上に係る消費税を8割控除できる「2割特例」が利用可能です。忘れずに行いましょう。

2割特例の適用条件
●インボイス発行事業者の登録を受けている
●2023年9月30日以前に課税事業者となっていない
●基準期間(2022年)の課税売上が1,000万円以下
●「消費税課税期間特例選択届出書」の提出により課税期間を短縮していない

申告・納付期間2025年3月31日(月)

※この記事内のデータ、数値などに関する情報は2024年11月1日時点のものです。

取材・文/本多 智裕 イラスト/福々 ちえ

ライタープロフィール
本多 智裕(ほんだ・としひろ)
京都大学文学部史学科卒。(株)リクルート勤務を経て、フリーランスのコピーライター、ディレクターとして独立。建築・不動産情報誌、土地有効活用雑誌等の広告・記事の執筆のほか、ハウスメーカーや賃貸管理会社、生命保険会社等の会社案内、分譲住宅・マンションのパンフレット制作にも多数携わる。

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