事故物件でも選ばれる条件とは?入居者500人の意識調査から意外な本音が明らかに

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公開日:2025年10月29日
更新日:2025年10月29日
事故物件でも選ばれる条件とは?入居者500人の意識調査から意外な本音が明らかに1

家賃が安くても、やはり気になる“心理的瑕疵”。しかし、実は多くの人が「条件次第で住んでもいい」と考えているようです。株式会社AlbaLinkが全国の男女500人を対象に実施した「住んでみたい事故物件に関する意識調査」をもとに、所有する物件が事故物件となってしまった場合の、オーナーの対応などについて見ていきます。

金銭や立地面でのメリットが心理的瑕疵を相殺

「これなら住んでみたい」と思える事故物件の1位はやはり「家賃が安い(54.2%)」でした。心理的な抵抗感よりも生活コストが低く抑えられる事実に魅力を感じる人は多いようです。

住んでみたい事故物件
1位 家賃が安い 54.2%
2位 事件性がない 34.6%
3位 内外装がきれいになっている 18.2%
4位 立地がいい 9.8%
5位 発見までの期間が短い 5.8%
6位 人が亡くなっていない 5.6%
7位 心霊現象が起きない 3.2%

 

絶対に住みたくない事故物件
1位 殺人事件があった 55.0%
2位 住人が自殺した 21.4%
3位 火災があった 9.2%
4位 事件事故の痕跡が残っている 9.0%
5位 理由問わず人が亡くなった 8.4%
6位 心霊現象が起こる 7.8%
7位 発見まで時間がかかった 4.0%

n=500(複数回答)上位7位

「タワーマンションのような『通常価格だと住めないような物件』が破格的に安ければ、住んでみたい(30代・女性)」といったような、むしろ積極的に検討したいと考える人もいました。4位の「立地がいい(9.8%)」の回答と合わせても、不安よりも実際のメリットを優先したいと思う人が一定数以上いることは明らかです。

自然死の場合は室内がキレイになっているならOK

さらに、3位の「内外装がきれいになっている(18.2%)」、5位の「発見までの期間が短い(5.8%)」など、見た目さえキレイなら問題なし、と考える方も少なくありません。

「死後早く発見された物件なら、家族に看取られながら病死したのと変わらない。それならお得なほうがいい(30代・女性)」といった、単なる見た目のこと以上に、亡くなった方の尊厳にも思いをはせた、「なるほど」と思える声もありました。

“事件性がある”事故物件はほとんどの人が敬遠

事故物件でも選ばれる条件とは?入居者500人の意識調査から意外な本音が明らかに2

“住んでみたい事故物件”の2位に選ばれた「事件性がない(34.6%)」は、“絶対に住みたくない事故物件”のワンツーとなった「殺人事件があった(55.0%)」、「住人が自殺した(21.4%)」と表裏をなすもの。

「殺人があった物件。霊現象も怖いが、リセールする際にも影響してくると思う。ネットで調べれば出てくるような事件が起きた物件は避けたい(30代・女性)」や、「怨念が感じられそうで、さすがに嫌(40代・男性)」など、人を恨む気持ちや無念さを感じさせる事件・事故があった物件には、さすがに抵抗感があるようです。

一方、「殺人などの凶悪犯罪が行われた物件ではなく高齢者や病気による孤独死なら、日本社会が招いた問題なので、納得できる(40代・男性)」との声が示すように、昨今の少子高齢化の影響によるものならば、精神的に特に抵抗はないと考える現実的な見方をする人も多いという結果となりました。

火災による事故物件は構造や設備の劣化を危惧

人が亡くなったケース以外に「住みたくない」という回答に「火災があった(9.2%)」がありました。

「火事で焼けた部分と焼けていない場所がチグハグで違和感があり、雨漏れや床に悪影響を与えていると思うから(20代・男性)」、 「火事物件はいくらリノベーションをしていても、部屋そのものの耐久性が低くなっていそうで、不安がある(40代・男性)」といったコメントのように、表面上はキレイにリフォームしていても、構造や設備の面で劣化があるのでは、といったように、心理的な嫌悪よりも、構造などの目に見えない箇所への不安を感じる人もいました。

事故物件でも8割以上の人は「条件次第で検討」

「事故物件に住むか住まないか」との質問をしたところ、最多の回答となったのは「できれば避けたいが場合による(55.8%)」でした。さらに見ていくと「条件次第で住む(24.4%)」や、少数派ではあるものの「こだわらない(1.8%)」という人も。

事故物件に住む?住まない?
こだわらない 1.6%
条件次第で住む 24.4%
できれば避けたいが場合による 55.8%
絶対に住まない 18.2%

n=500(複数回答)

一方で、「絶対に住まない(18.2%)」との回答は2割以下であり、裏を返せば8割以上の人が「少しひっかかる」「できれば避けたいけど…」という気持ちを抱きつつも、事故物件への入居の可能性は残しています。実際にアンケートでは「嫌だけど、安いなら譲歩できる」「事故物件は嫌だが、リアルな金銭事情には代えられない」という声も挙がっていました。

事故物件にはエリアや広さの面で、相場よりも家賃が安くなりやすいという側面もあるため、実際に得られるメリットが心理的な抵抗感を上回る場合には、入居を検討する人も数多くいることがわかります。

まとめ

事故物件でも選ばれる条件とは?入居者500人の意識調査から意外な本音が明らかに2

8割以上もの人が、事故物件であっても入居の検討の余地があるという結果には驚きを感じます。しかし、その詳細を見ていくと、たとえ人が亡くなっていても「悲劇的」ではないなど、表面上な事実だけではなく、亡くなった状況によって心理的な瑕疵は少なくなると考える人が多いのだという事実に、どこか安心感を覚えました。

もちろん「家賃の安さ」「部屋や建物の見た目のきれいさ」「立地などの条件がいい」といった実利に対して魅力を感じる人も多く、心理的な抵抗感と経済面や利便性、安全性のバランスが、事故物件に入居するかの大きな判断材料になっていることが読み取れます。

事故物件であっても、適切な情報開示と魅力的な条件設定によって、入居希望者の選択肢に入る可能性は十分にあります。オーナーとしても、柔軟な視点で物件の価値を見直してみてはいかがでしょうか。

※この記事内のデータ、数値などに関する情報は2025年10月27日時点のものです。

取材・文/御坂 真琴

ライタープロフィール
御坂 真琴(みさか・まこと)
情報誌制作会社に25年勤務。新築、土地活用、リフォームなど、住宅分野に関わるプリプレス工程の制作進行から誌面制作のディレクター・ライターを経てフリーランスに。ハウスメーカーから地場の工務店、リフォーム会社の実例取材・執筆のほか、販売促進ツールなどの制作を手がける。

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