もし実家が空き家になったらどうする?相続を控える1000人に調査した結果わかったこと
今は親が住んでいる一戸建ての実家。でも自分もきょうだいも家を出ているし、もしかすると将来は空き家になってしまうかも…。このような、いつかは起こり得る事態について、相続を控えている人はどのように考えているのでしょうか?(株) クランピーリアルエステートが発表した調査結果をご紹介します。
実家が空き家になったらどうする?
調査は、実家が戸建てで将来空き家になる予定、または空き家を相続しそうな男女1000人が対象です。まず、実家が空き家になったらどうするのかを1,000人に聞いたところ、上位5位は次のような結果になりました。
Q.実家が空き家になったらどうする? | ||
1位 | まだ決めていない | 52.9% |
2位 | 売却して現金化する | 16.4% |
3位 | 自分や親族が住む | 11.7% |
4位 | 更地にする | 8% |
5位 | 賃貸にする | 3.9% |
半数以上が「実家をどうするか考えていない」という結果に。6位以下は「相続しない」「別荘として時々活用する」などが続き、中には「空き家のまま放置する」という人もいました。フリーコメントとしては次のようなものがありました。
・建て直しが不可の場所にある一軒家なので相続しても大した額で売れなさそうだし、空き家のままだと何か罰則などがありそうでどうしたものかと悩んでいます。
・何をどうしたらいいのかわからないので教えてほしい。
・空き家の管理は大変そうだが、売れるような土地でもないため困っている。
・親が具体的にどうするか話し合おうとしない。
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次点は「売却して現金化」。その理由は?
空き家をどうするかを考えている人で、最も多い方法が「売却して現金化する」でした。その主な理由としては「管理したくない」26.1%、「利用しない」24.2%、「固定資産税を払いたくない」23.2%というもの。フリーコメントは以下のようなものが挙がっていました。
・山奥の古い家です。使い道がないんです。
・かなり古く傷んできているし、私たちはそれぞれ別の場所で暮らしているので。
・九州在住のため、関東の実家に住むことはないので。
固定資産税と都市計画税は建物や土地を所有しているだけで毎年発生します。自身が離れた所に住んでおり、実家を使わないのにお金だけがかかるのであれば「売却したい」という人が多いこともうなずけます。売却方法としては、不動産会社に依頼する人が多く「販売委託」「買取」「数社に査定依頼」という声がありました。
また、更地にすると答えた人にその理由を聞いたところ「売却しやすい」「管理したくない」「倒壊などの恐れがあるため」がといった回答が上位でした。
空き家を賃貸にする理由は6割以上が「家賃収入を得たいから」
「実家が空き家になったら賃貸として活用する」と答えた人のうち約6割が、その理由として「家賃収入を得たいから」を挙げています。次点に「将来的に自分たちが住むかもしれない」17.9%、「将来的に倉庫にするなど何らかの形で利用するかもしれない」15.4%が続きます。
将来的に活用するかもしれないが、遊ばせておくのももったいないので賃貸として収益を得る、ということなのでしょう。中には「賃貸にするか売却するか悩んでいる」という人もいました。
一戸建て賃貸の需要が見込める場所であれば有効な手段ですが、管理や運用、入居者のためのクリーニングやリフォームの費用がかかることがネックになるかもしれません。
実家を相続する人・しない人はほぼ半々!それぞれの理由は?
そもそも実家を相続するのかどうかについて聞いてみたところ、全体の53.2%が「相続したくない」と回答。相続したい人、したくない人がほぼ半々ですが、理由として次のようなコメントがありました。
相続したくない理由 |
・相続の手続き、その後の家の管理が面倒だから ・建物が古いため、改修などにお金がかかりそうだから ・離れた場所で生活しているので、管理できない ・相続税が払えるのか?がまずは問題。規模が違うので ・今は少し離れた土地に住んでいるので相続しても扱いに困ってしまう |
相続したい理由 |
・自分が育った愛着のある家なので、できることなら相続したい ・売却や建て替えなどに有効活用したいから ・親がなくなった後、自分が実家に住みたいからです |
また、相続した場合に、管理やお金を誰が出すかについて危惧する声も。実際に祖父母の家が空き家になったときに、片付けを誰もやらずにトラブルになったというコメントもありました。
空き家放置で固定資産税6倍のリスクを知っているのは約2割
空き家のまま放置する人の多くは、その理由に「親族間でどうするか決めていない」、「解体するお金がない」を挙げています。一軒家を解体するには100万円〜数百万円以上かかるため、すぐには用意できないという人も多いかもしれません。
ところで、土地にかかる固定資産税が、その土地に建物が建っている場合は最大1/6になるという「住宅用地の特例」というものがあります。何も考えずに実家を取り壊して更地にしてしまうとこの特例が適用されなくなり、固定資産税が従来の額になってしまう、つまり6倍になってしまうリスクがあるのです。
たとえ建物が残っていても、誰も住まなくなった空き家が放置され「特定空家」に指定されると、この特例措置がなくなります。「特定空家」とは、このままでは倒壊などの危険があったり、雑草などによって近隣の景観を損ねたりしている状態の空き家のことです。
このことを知らない人は全体の77.3%にものぼりました。取り壊して更地にするとしても、建物を含めて利活用するとしても、どうするかを早めに決めておくと安心です。
空き家に関する悩み、様々な面での解決策を体験談から紹介
最後に、実家が空き家になることに対しての悩みや、その解決法として検討していることがフリーコメントで紹介されています。一部を抜粋してご紹介します。
実家が空き家になることに対しての悩み
・建物を壊して売りに出しても買い取り手があるかわからない田舎ですので、単に固定資産税だけ支払う形になるのです。何も壊さずならば税もそのままですが、壊すと固定資産税が上がってしまうのが辛い所です。
・軽量鉄骨のため、解体費用が高くつきそうで不安です。また、不仲な姉と揉めそうです。
・家の維持費を誰が持つか決まっていない。
・資産の分配やローンはどうなるのか。
・管理することが難しくなるので、庭に大量の雑草が生えたりして周囲に迷惑をかけるのではないかと心配です。
・実家は築50年以上の古い家で、耐震性に不安があります。また、田舎にあるので管理が大変そうです。
・空き家をどうするか、家族の間で意見が分かれている。
・親の相続について、親自身が実家の片付けや資産の整理などを全くしていないので、親の資産や負債がどれくらいあるのか全く不明。
空き家になる実家に関する悩みの解決策
・税金用の口座を作り貯蓄する(予定)。
・事前に解体にかかる分のお金を想定して貯金する。
・安い業者を探す、自分でこまめに手入れする。
・もしものときのため、離れた場所に暮らす兄弟姉妹となるべく連絡などをするようにしている。
・正月やお盆など、実家に帰ったタイミングで少しずつ部屋の片付けを行っている。
・体力のあるうちに、壁紙を貼るなどDIYで好みの家に作り替えている。住みやすくすると同時に、少々の修理は自分でできるようDIYスキルを上げている。
・セキュリティ会社に依頼して、定期的に見回りをしてもらうようにしました。また、近所の方にも時々様子を見てもらえるようお願いしました。
・現在、古い空き家を利用して雑貨屋やカフェ、コスプレ撮影所などの使い道があると知ったので、その辺で活かせないかと検討している。
まとめ
実家が将来空き家になる可能性については、親が健在なうちは話題にしづらいということもあるでしょう。特に相続が関連する問題はデリケートなもの。ここは当事者同士だけでなく、早めに第三者を入れてビジネスライクに話し合った方がスムーズに進む場合も多くあります。
空き家や不動産、相続に詳しい弁護士や、売却を視野に入れている場合は不動産会社に相談するのもひとつの方法です。
※この記事内のデータ、数値などに関する情報は2024年11月25日時点のものです。
取材・文/石垣 光子
ライタープロフィール
石垣 光子(いしがき・みつこ)
情報誌制作会社に10年勤務。学校、住宅、結婚分野の広告ディレクターを経てフリーランスに。ハウスメーカー、リフォーム会社の実例取材・執筆のほか、リノベーションやインテリアに関するコラム、商店街など街おこし関連のパンフレットの編集・執筆を手がけている。