貸主・借主が亡くなったら?賃貸不動産の相続トラブルQ&A

法律
  • 弁護士・司法書士
公開日:2018年9月1日
更新日:2019年11月18日
貸主・借主が亡くなったら?賃貸不動産の相続トラブルQ&A1

久保原弁護士による法律相談、賃貸不動産の相続時に起こりうるトラブルのQ&Aです。貸主・借主のどちらが亡くなった場合も、予想外のトラブルが発生する可能性があります。突発的事態に際してあわてないよう、事前に知識を得ておきましょう。

貸主・借主が亡くなったら?賃貸不動産の相続トラブルQ&A2

九帆堂法律事務所 弁護士 久保原 和也

2007年、京都大学大学院法学研究科修了。同年、司法試験合格。

2008 年、九帆堂法律事務所設立。

最高裁で勝訴した更新料裁判の大家さん側弁護団の首都圏担当。更新料裁判では、首都圏で唯一の弁護団所属弁護士としてさまざまな情報を発信。

Q1:一人暮らしの借主が死亡した場合、部屋の残置物はどのように処分すればよいですか?

A1:賃借権も残置動産類も相続されますから、まずは相続人を探すことが必要です。

借主が死亡した場合、借主の財産は相続人に全て相続されます。そこで、部屋の残置物は所有者となった相続人に処分してもらうことになります。貸主が勝手に処分することはできません。

なお、部屋を借りる権利(賃借権)自体も死亡によって終了するわけではなく相続されるので、賃貸借契約を続けるか否かを決めるためにも相続人を探すことが必須となります。問題は相続人がわからないケースです。この場合は弁護士等の専門家に相談して相続人を探すことになり、問題解決までに時間を要することになります。

賃貸経営上は、万が一の時の相続人を把握し、連絡をとって、日頃から相続人になるべき方々とともに借主を見守るということが重要となります。

Q2:高齢の借主が死亡した場合、賃借権を相続人に相続させることなく、物件を返してもらいたいのですが?

A2:一代限りの使用貸借契約に変更する方法があります。

賃貸アパートを壊して再開発をしたいけれど、賃借人がご高齢なので生存中は見合わせ、亡くなられた後にしようと考えるケースは珍しくありません。しかし、賃借人の死亡では賃貸借契約は終了せず、賃借権は相続されるので、相続人が希望すれば賃貸借契約は相続人との間で継続されます。そして、正当事由がない限り更新拒絶や解約をすることができず、明け渡しは容易には実現しません。

このようなケースでは、賃借人の生存中に、賃貸借契約から使用貸借契約に切り替えることが一つの方法です。使用貸借契約(無償での貸借)は相続されることなく、借主の死亡により終了します。賃料収入はなくなりますが、相続人との交渉費用や立退料を考えると検討の余地が出てくるのです。

Q3:公正証書遺言をしたはずの母が死亡しましたが、遺言が見つからない場合、どうすればいい?

A3:公証役場の遺言検索システムで調査をする方法があります。

法律では数種類の遺言方法が規定されていますが、遺言を確実に実行したい場合、公正証書遺言により作成するのがおすすめです。元裁判官や元検察官などの公証人が、遺言者の意思や判断能力などを判断して作成しますので、後から遺言自体の有効性が争われる危険性が低くなります。また、公正証書遺言は半永久的に公証役場に保存されるので、紛失や滅失、改ざんの心配もありません。

そして、公正証書遺言の有無は、遺言者の死後、相続人などの利害関係人が公証役場で検索調査をすることができます。全国どこの公証役場でも検索可能です。検索結果により、公正証書遺言があることが判明した場合、今度はその公証役場に対し、謄本の交付を申し込み、遺言内容が判明します。

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