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購入後に瑕疵発覚?事故物件だった?不動産売買トラブル

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購入後に瑕疵発覚?事故物件だった?不動産売買トラブル1

久保原弁護士による法律相談、不動産売買におけるトラブルのQ&Aです。賃貸アパート・マンションを売買する際、売主・買主間、仲介会社や管理会社との間で、さまざまなトラブルが起きる可能性があります。事例と対処法を確認しておきましょう。

購入後に瑕疵発覚?事故物件だった?不動産売買トラブル2

九帆堂法律事務所 弁護士 久保原 和也

2007年、京都大学大学院法学研究科修了。同年、司法試験合格。


2008 年、九帆堂法律事務所設立。


最高裁で勝訴した更新料裁判の大家さん側弁護団の首都圏担当。更新料裁判では、首都圏で唯一の弁護団所属弁護士としてさまざまな情報を発信。


Q1:一棟アパートを購入したが、購入後に建物の主要部分に瑕疵が発覚。売主に損害賠償請求できる?

A1:契約で瑕疵担保責任がどのように規定されているかを、まず確認してください。

購入した建物に隠れた瑕疵があった時は、買主は売主に対し、損害賠償請求や解除をすることができます。民法では、事実を知った時から1年以内に解除または損害賠償の請求をしなければならないとされていますが、この期間を短くしたり、瑕疵担保責任を負わない特約も原則として認められますので、契約書をチェックする必要があります。

なお、新築住宅(完成から1年を経過しておらず、かつ、人が住んだことのない住宅)の主要部分の瑕疵の場合は、住宅品質確保法により、最低でも10年間は瑕疵担保責任を負わなければならず、仮に、これを減免する特約をしたとしても無効となります。賃貸住宅であっても、居住用家屋にはこの適用があります。

Q2:購入したマンションの1室で自殺があったという説明を受けていなかった。損害賠償請求をしたい。

A2:説明義務違反や瑕疵担保責任として、損害賠償請求できると思います。

売主が、自殺があった物件であることを知っていたのに説明をしなかった場合、説明義務違反として損害賠償請求ができるほか、悪質な場合には不法行為として損害賠償請求が認められる場合もあります。売主が自殺の事実を知らなかったとしても、知らなかったことに過失が認められれば同様です。

また、自殺があったという心理的瑕疵についても瑕疵担保責任が認められます。瑕疵担保責任は無過失責任のため、売主が自殺の事実を過失なく知らなかったとしても、買主は損害賠償請求ができます。

問題は損害賠償額ですが、自殺による価値の減損が建物全体に及ぶか、自殺した1室に限られるのかが争点となります。事故の状況から、他の部屋に対する影響の程度を検討することになります。

Q3:ビル購入の手付解除期間に、売主から手付倍返しで解除通知が。でも実際に倍返しされていません。

A3:売主は、手付倍返しを現実に買主に提供しなければ、手付解除は認められません。

不動産売買の実務では、今日でも、手付金放棄・倍返しによって契約を解除できる旨を契約するのが一般的です。この場合、買主が手付を放棄して契約を解除するには、手付解除が可能な期間中に、解除のために手付金を放棄する旨の意思表示をすることで足ります。

これに対し、売主が手付金を倍返しして契約を解除する場合には、単に手付解除の意思表示をするだけでは足りず、期間中に現実に手付金の倍額の提供をする必要があるとされています。そこで、期間内に実際に倍返しがなされない場合は、解除は認められません。

余談ですが、手付解除が認められる時は、それとは別に損害賠償請求はできません。通常、手付金の放棄・倍返しによって、相手方の損害は補填されるからです。

Q4:買付証明書と売渡承諾書を交換したのに、売主が一方的に契約締結を拒否してきた。どうすべき?

A4:交換の時点で売買契約が成立したと言えなくても、損害賠償請求ができる場合があります。

買付証明書と売渡承諾書といっても、それを交換する理由や内容、時期はさまざまで、またその後に交渉を続けて売買契約の内容を詰めることも多く、一般の取引慣行や当事者の意思からすれば、原則としてそのような書面交換のみによって売買契約が成立したとは言えない場合が多いと考えられます。

しかし、売買契約が成立したとは言えなくても、契約締結準備段階で一方的に交渉を打ち切り、契約締結を拒否するようなことが起これば、相手方は不測の損害を被ることもあります。このような場合、契約締結前なので契約違反とは言えませんが、契約締結準備段階に入った当事者は、契約の成立に向けて誠実に努力するべき信義則上の義務を負うとして、損害賠償を認めた裁判例もあります。

Q5:手付を放棄して売買契約を解除したのですが、仲介会社から報酬請求されて驚いています。

A5:媒介報酬は売買契約が成立した時に発生しますので、仲介会社に報酬を支払わなければなりません。

仲介会社の媒介報酬請求権は、媒介により売買契約が成立した時に発生します。つまり、売買契約成立後に当事者が合意で解除したり、手付解除をした場合も、すでに報酬支払債務は生じているのです。したがって、報酬を支払わなければなりません。また売買契約が成立しなくても、調査費や日当を別途支払う業務委託契約を交わしているケースもあります。

これに対し、仲介会社の重要事項説明義務違反が原因で解除に至った場合は、報酬請求に応じる必要はありません。逆に損害賠償請求を検討できるケースもあります。なお、仲介会社によっては口頭の依頼で業務が始まることもあり、媒介契約の成立か否かで争いになることもあります。報酬を明確に記載した契約書を作りましょう。

Q6:管理会社の変更を条件に賃貸物件の買主が見つかりましたが、現管理会社が解約に応じません。

A6:管理委託契約で、解約がどのように定められているかを確認しましょう。

管理委託契約では一般に解約事項が定められています。円満解決のため契約にしたがった解約を検討しますが、解約できる場合が限定されていたり、高額な違約金が発生して交渉が難航し、売買契約に影響することもあります。

交渉時に参考となるのが民法です。「委任は、各当事者がいつでもその解除をすることができる」と規定され、管理委託契約は準委任契約としていつでも解除できると考えられます。損害賠償については「当事者の一方が相手方に不利な時期に委任の解除をしたときは」しなければならないと規定があります。

売買のために急に管理契約を解除することは将来十分想定できるので、管理会社選びの際は解除しやすく、違約金が少ないことが重要な確認ポイントです。

※この記事内のデータ、数値などに関しては2017年3月6日時点の情報です。

イラスト/黒崎 玄

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