【SUUMO入居者ニーズ】関西圏の賃貸市場動向と対策~オーナーズ・スタイル主催『賃貸経営+相続対策 大家さんフェスタ 』講演録~
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入居者から人気の間取り・設備・条件をチェック
入居者ニーズの高い間取りと設備を見てみましょう。よく内見される「人気の高い物件」だけでなく、問い合わせの多い「募集効果の高い物件」を併せて目指すのが、契約に繋がるポイントです。
単身者に人気がある間取りは、ワンルームより1Kであることが分かりました。注目したいのはバスとトイレ。部屋が狭くてもバストイレ別の人気が高く、バストイレが同じ物件より、シャワールーム+トイレの物件を選ぶ人が多いです。
では、募集効果の高い設備を見てみましょう(図表3)。
SUUMOに掲載された物件で、装着率が高いのはエアコンやバルコニー・室内洗濯機置き場など。これらは設置されていて当たり前の設備と言えるでしょう。
募集効果が高いのは、LGBT(※)フレンドリーやメゾネット、ルームシェア相談、シャワールームなどが挙げられます。LGBTフレンドリーとは、LGBTの入居拒否をしないと積極的に意思表示する物件のことをいいます。
すでに大阪市や宝塚市、東京都渋谷区、世田谷区、札幌市や福岡市などで、同性パートナーシップ制度が導入されており、今後ますます注目されそうです。検討してみてはいかがでしょうか。
続いてSUUMOで最も掲載が多い1Kのマンションを例に、装着率・募集効果、どちらも高い設備や条件をご紹介します(図表4)。
装着率も募集効果も高いのは、エアコンやフローリング、室内洗濯機置き場・バストイレ別などが挙げられます(検討1)。これらは未装着であれば、早急に導入を最優先で検討すべきでしょう。
そして、前述のLGBTフレンドリーを筆頭に、24時間ゴミ出し可能・防犯カメラなどの募集効果が高いことが分かりました。宅配ボックスの需要も増えており、導入の検討をする余地があります(検討2)。
お話した設備や条件は、アパートかマンションか、間取りなどによって異なります。例えば、アパートでクッションフロアの募集効果は高いですが、防音性能が高いマンションでは低いことが分かりました。また、単身者向けの狭い部屋に対面式キッチンがあっても、場所をとると感じる入居者もいるようです。
昨今の入居希望者は賃料を重視する傾向にあります。マンションよりも賃料が低いアパートを選ぶ人は、ネット使用料不要と謳っていても実際は賃料に上乗せさせられているのでは?と考える場合もあるので、ネット設備導入時の賃料設定に気を付けましょう。そして、周辺の相場(設備装着・条件)から検討1→2の優先順位で打ち手を検討してください。
以上のように、新規入居を獲得するには、データに基づく物件の見直しが必須です。買う人と借りる人では求めるレベルが異なり、借りる人は部屋探しをしながら、ほどよい妥協点を求めています。オーバースペックにならないよう、物件に合った条件を把握し、募集条件の最適化を行いましょう。
物件づくりのポイントまとめ
※LGBTとはLesbian(レズビアン・女性同性愛者)、Gay(ゲイ・男性同性愛者)、Bisexua(l バイセクシュアル・両性愛者)、Transgende(rトランスジェンダー・性別越境者・性同一性障がいを含む)の頭文字をとった単語で、セクシュアルマイノリティ(性的少数者)の総称のひとつ
※この記事内のデータ、数値などに関しては2019年10月16日時点の情報です。
取材・文/上江州 規子 撮影/ツジノ ワタル