【税理士監修】大家さんのための確定申告|経費計上のよくある間違い<2019年版>
- 税理士
駆け込みで間に合う!掛け金全額を経費化できる制度
期末が近くなってから課税所得が大きくなりそうだと気付き、経費を積み増したいと思った場合に有効なのが、掛け金を全額経費にできる積立制度。(1)個人型確定拠出年金(iDeCo)、(2)小規模企業共済、(3)経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済)が代表的です。
(1)と(2)は個人事業主向きで、積立金を退職金(一括)や年金(分割)として受け取れるうえに、所得税が安くなる控除制度を利用できます。
(3)の経営セーフティ共済は、控除額が最も大きいものの、メリットがあるのは法人のみ。戻った掛け金はそのまま課税所得となるため、法人税の節約には同額規模の経費を充てるなど対策が必要となるでしょう。
掛け金が全額経費になる制度
掛け金上限は年間81.6万円まで(第1号被保険者の場合)。加入資格は20歳以上60歳未満。60歳以降に一括か分割で受け取れる。
掛け金上限は年間84万円。20年以内に解約すると受け取り金額が支払額を下回る。
取引先の倒産に備えた積立制度。掛け金上限は、年間240万円(総額800万)。40カ月以上加入で解約でき、掛け金が100%戻る。
法人向けでは、掛け金の全額を経費計上できる“節約保険”と呼ばれる商品もありました。しかし2019年7月8日以降に契約した分から規制が強化されるため、従来のメリットはなくなりました。なお、2020年分の所得から青色申告特別控除(65万円)が10万円減りますが、e’tax申告か電子帳簿保存を行う場合は従来通り控除額は65万円です(10万円の青色申告特別控除は改正なし)。
2019年分の確定申告には関係ないものの、必要な手続きを確認し早めに準備しておきましょう。
※この記事内のデータ、数値などに関する情報は2019年11月11日時点のものです。
取材・文/木村 元紀 イラスト/福々ちえ