アパート建築で知っておきたい建築費と建築会社選び|賃貸経営ノウハウ

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アパート建築で知っておきたい建築費と建築会社選び|賃貸経営ノウハウ1

アパート建築で重要なのは建築費だけではありません。会社選びによって建築後のアパート経営は大きく左右されます。今回は、建築費の相場を紹介するとともに、アパート建築で大切になる会社の種類や選び方を紹介します。また、建築費に影響する工法や構造についても知っておきましょう。今後のアパート建築のための資料として使ってください。

アパートの建築費はどれくらいかかるのか?

アパート建築費用は本体工事費、付帯工事費に分けられます。他にもアパート建築に関する経費として各種税金や手数料、専門家への報酬なども必要です。ここでは、アパート建築費用はどれくらいかかるのか、建築費以外にどのような費用がかかるのか、それぞれの目安や相場などを紹介します。

アパート建築費用の内訳

本体工事費は、建物自体にかかる費用です。建物の基礎や内装、外装、トイレやキッチンなどの設備もここに含みます。構造や間取り、面積によって変わります。本体工事費の概算を出す際には坪単価×延べ面積で計算します。

付帯工事費は、電気やガス、給排水、地盤改良工事、外構工事などにかかる費用です。ガスや上下水道の引き込みは距離が長くなるほど金額が高くなります。建て替えの場合には、ここに解体費用も加算されます。

本体工事費、付帯工事費、諸費用の合計を総費用とした場合、本体工事費は70%、付帯工事費は20%、諸費用は10%が一般的な金額です。もし土地の取得から行う場合には、ここに土地取得費用もプラスする必要があります。

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建築費の相場を簡単に紹介

建築費の指標としてよく使われるのが坪単価です。坪単価は本体工事費を延べ床面積で割ったものです。国土交通省が行う建築着工統計調査(平成30年)によると、全国平均の坪単価は、木造は約56万円、鉄骨造は約76万円、鉄筋コンクリート造は約75万円になっています。

例えば、1階40坪、2階40坪、延べ床面積80坪のアパートを建築するのであれば
木造:約4480万円
鉄骨造:約6080万円
鉄筋コンクリート造:約6000万円
が一つの目安になります。

ただ、坪単価は一つの目安でしかありません。建築費は構造以外にも工法や設備、間取りなどによって変わります。建築費の大まかな想定をする程度に考えておくべきです。

参照:国土交通省 建築着工統計調査

収支シュミレーションをするには経費の把握を

建築費用以外にも、様々な手続き費用が必要です。アパートローンでは建築費を調達するため、手続きにかかる費用は手持ち資金で準備できるようにしましょう。また、アパート経営が始まると継続的にかかる費用もあります。アパート経営にはどんな費用がかかるのかを把握しておくことも大切です。

収支シュミレーションを作成するには、初期費用はいくら用意するのか、どのようにアパートローンを組むのかも重要になります。

アパート経営にかかる費用について詳しく知る

アパート建築は会社選びが重要

アパート建築で重要になるのが会社選びです。会社選びには3つのポイントがあります。他にもパートナーとなる会社の種類や工法による違いを知っておくことで会社選びがしやすくなります。

アパート建築会社の種類と特徴

アパート建築を行うのは、大きく「住宅メーカー」と「工務店・建設会社」の二つに分けられます。

住宅メーカーは、各社独自の「クローズド工法」の研究開発を行い、部材の工業化生産比率を高めた、いわゆる「プレハブ工法」がメインです。量産化によるコストダウンが可能な一方、間取りや規模を推奨プランの中から選ぶなど、制約が多くなる場合があります。

工務店・建設会社は、企業規模は様々で、木造アパート中心のところから鉄筋コンクリート造のビルを手がけるところまで取り扱い内容も様々です。在来工法による自由設計がほとんどのため、プランの柔軟性や狭小地や変形地にも対応できます。しかし、品質性能にバラツキがあることがネックです。地元の職人や設備会社とのつながりや実績などをチェックしながら慎重に選ぶ必要があります。

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建物の構造・工法の種類と特徴

建物の構造や工法の中でも主要なタイプを紹介します。

木造軸組工法は、木造アパートで最も普及している工法で、在来工法とも言われます。メリットは、建物形状や間取りの自由度が高く、狭小地や変形地でも柔軟に対応できることです。デメリットは、職人の技術力によって施工精度にバラツキが出ること、工期が長く、2階建てで4〜5カ月かかることが挙げられます。

2×4(ツーバイフォー)工法は、壁・床・天井を六面体の箱型に組んで建物を支える木造工法です。壁パネルのフレームに使われる主要な規格材の断面寸法が2インチ×4インチのためにこの名称になりました。メリットは、耐震性や耐火性、気密性に優れており、施工精度のバラツキが少ないことです。デメリットは、設計の自由度がやや落ちること、外壁を除去する増改築が困難なことが挙げられます。

プレハブ工法は、企画化された部材を工場で生産してモジュール化、現場で建ち上げる工法です。住宅メーカーによって、木造、鉄骨、コンクリート系に分かれます。メリットは、工場生産比率が高いため施工品質が安定していること、耐震・耐火・断熱などの基本性能が優れていることです。デメリットは、企画型のプラン中心のため設計の自由度があまりないことが挙げられます。

鉄骨造は、骨組みに鉄骨を使った構造です。メリットは、柱や壁で遮られない大空間のプランが可能で設計の自由度が高いこと、耐震性と強度に優れていることです。デメリットは、木造より火に弱いこと、組み立てにクレーンが必要なため狭い場所では不向きなことが挙げられます。

鉄筋コンクリート造は、圧縮力に強いコンクリートを、引っ張り力に強い鉄筋で補強した構造です。メリットは、耐震・耐久・耐火・気密・遮音性に優れていること、設計の自由度が高いこと、耐用年数が47年と住宅で一番長く、長期融資が組めることです。デメリットは、建築コストと解体費が高く工期が長いこと、生コン車が入れない道路の敷地には不向きなことが挙げられます。

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建築会社の選び方

建築会社を選ぶ際に重要なのが現場力です。施工実績の確認はもちろん、工事中の現場を見学させてもらい、職人の働きぶりや整理整頓の状況を確認しましょう。知名度の高さや企業規模の大きさが信頼度の高さとは言えません。

また、建築会社の倒産による工事の中断が問題になっていることから、財務状況も重要な部分です。その点、企業規模の大きい会社は安心感があります。しかし、会社を選ぶ基準として建築コストも気になる部分です。住宅メーカーと工務店を比べると、工務店の方が建築コストが安いことが一般的です。

施工会社の財務状態が健全かどうかを見るポイントの一つとして、「住宅完成保証制度」があります。工事の出来高よりも多い前払金を払った後に建築会社が倒産した場合、保険で一定金額をカバーしてくれる制度です。この制度に登録するには、過去の財務内容をチェックして健全だと判断される必要があるため、登録している工務店は財務状況がいいと推測できます。

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ここまでで絞込みを行ったら、3社程度に建築プランの提案を受けましょう。あまり数が多いとチェックしきれなくなります。ここで重要なのは提案の根拠、説得力です。アパート経営の目的や自身の希望がどれだけ盛り込まれているか、マーケティング調査をもとにどのような分析を行ったのかを確認しましょう。

ここまできたら、残るは見積りのチェックです。工事科目ごとに形状、寸法、数量、単価、金額が記載されているか確認しましょう。もし、〇〇工事一式などと総額だけが記載されている場合には、詳細の記載を依頼します。設備については、メーカー、上代(定価)、割引率まで記載してもらいましょう。

見た目の金額を安くするために、本来は本体工事費や付帯工事費に入っているようなものを入れていないケースもあるため、本体工事費や付帯工事費に何が含まれていて何が含まれていないかを確認しておくと後々のトラブルを防ぐことができます。

アパート建築では設備も重要! 人気の設備はターゲットによって違う!

会社選びの失敗談

会社選びを失敗すると大きな損失や後々のトラブル発生につながります。会社選びに失敗した大家さんたちは、契約後に対応が悪くなったり、アフターフォローがなかったりと、様々なトラブルに巻き込まれています。

どんなトラブルに発展する可能性があるのか知っておくことで、担当者との話し合いで確認すべきことがリアルに見えてくるはずです。
先輩大家さんの声から学ぶ! 契約前のチェックポイント

会社が決まったら完成までにすること

工事請負契約をしてプランの確定

施工会社が決まると、①基本合意、設計契約→②設計図書の作成→③本見積りの作成→④設計変更、再見積り→⑤本契約(工事請負契約)、と進みます。

①のタイミングで仮契約を求められることもありますが、法的に仮契約というものはなく正式な契約とみなされる可能性があるため、契約意思がなければ署名してはいけません。もしもの場合に備えて、支払い条件や引き渡し日、遅延損害金の設定など、細かい条件を確認します。

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工事請負契約のチェックポイント

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着工したら現場で施工精度や品質をチェック

工期遅れや手抜き工事が発生しては困ります。詳しいことがわからなくても、現場には足を運んで工事の進み具合や品質のチェックを行いましょう。特にチェックしておきたいのは、基礎、構造躯体、断熱材の3点です。オーナーがチェックに来るだけで職人は緊張感を持って仕事をしてくれます。

もし、プロの目線からチェックしてほしいという方は、インスペクター(調査員)に第三者検査を依頼することも可能です。調査費用はそれなりにかかりますが、厳しいチェックをしてくれます。依頼する場合、着工前に依頼をして基礎工事から見てもらうのがベストです。

建物の主なチェックポイント

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引き渡しまでの注意点

建築工事中には様々な検査が入ります。代表的なのは、建築確認の申請図面通りに施工されているかをチェックする役所検査です。基礎や躯体工事の段階でチェックする中間検査と、工事終了後に行う完了検査があります。中間検査が終わらなければ次の工程に進めないため、検査の合格遅れは工期遅れの原因です。また、完了検査済証の交付がなければ金融機関からの融資や将来の大規模修繕に悪影響を与えます。

工事が終わると施主検査です。ここで不具合を見つけた場合には補修をしてもらい、残金決済を行います。補修が完了する前に残金の支払いを急かしてくる施工会社もありますが、残金を支払った途端に対応が悪くなる会社もあります。必ず残金の支払いは、補修が完了してからです。

竣工後の内覧チェックの項目例

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アパート建築は会社選びと費用コントロールで決まる!

アパート建築では、建築費ばかりを気にせず、建築費をかける理由や費用対効果を把握することが重要です。自己資金やローンが組める資金の範囲内で、最適なプランをパートナー企業とともに詰めましょう。

そのためにも建築会社選びは最重要です。建築会社の特徴や工法の特徴から会社を絞り込み、現場力、財務の健全性、提案力の3点から会社を選びましょう。

アパート経営はアパートを立てて終わりではありません。常に健全な経営ができるように、こちらの記事も参考にしてみてください。

初心者のための賃貸経営ノウハウ事典