「賃貸管理」とは?不動産オーナーが知りたい最低限の業務を解説

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公開日:2020年3月4日
更新日:2023年8月3日
「賃貸管理」とは?不動産オーナーが知りたい最低限の業務を解説1

不動産オーナーにとって自主管理・委託管理を問わず必要な「賃貸管理」。しかし、中身をよく把握してない、なんとなく管理会社に払う手数料が高い、などの声も多い。そこで安定経営に必須の賃貸管理の意義と業務について日管協の鈴木相談員に伺った。

お話を伺った方
「賃貸管理」とは?不動産オーナーが知りたい最低限の業務を解説2

(公財)日本賃貸住宅管理協会 主任相談員 鈴木 一男 氏

(株)ハウスメイトパートナーズを経て、日管協総合研究所の研究所員・主任相談員を務める。顧客満足度向上のノウハウや、柔軟なクレーム対応に定評。

賃貸経営を円滑にして、収益を安定化させる「賃貸管理」

管理運営は管理会社にお任せで、家賃の振り込みを待つだけの不動産投資家もいれば、相続で古いアパートを引き継ぎ、何をどうしていいかわからない新米オーナーもいる。そんなオーナーでもわかるように、賃貸管理の目的や必要性について、鈴木さんに聞いた。

「賃貸管理を一言でいえば、賃貸経営を円滑にして、収益を安定化させるために必須の業務です」

安定した収益を生み出す源泉は賃貸住宅のお客さん=入居者の賃料。賃料支払い能力の確かな入居者を迎え入れ、彼・彼女らが満足してずっと住みたいと思える快適な住環境を保つことが必要だ。

「何も問題なく、黙っていても家賃が振り込まれるから、管理会社は何もやっていないんじゃないかと思う人もいますが、その状態を保つために多大な手間とコストがかかっていることを知りましょう」

入居率が安定しているということは、きちんと管理されていることの裏返しでもある。では、賃貸管理とは、実際には何をしているのだろうか。

賃貸管理は「入居者管理」と「建物管理」の二本立て

「賃貸管理は、入居者管理と建物管理という2つに分類できます。前者は、入居から退室までの一連の契約に関わる業務。後者は、清掃や建物設備の維持管理などです」

言い換えると、「入居者管理」は、お客さんとの“関係”を築き、良好に保つためのソフト面の業務のこと。入居者がいる間に発生する。

「建物管理」は、入居者が快適に暮せるように建物全体や共用部分の“状態”を良好に保つためのハード面の業務といえる。入居者の有無にかかわらず常に行う必要がある。それぞれの具体的な内容は以下の通り。これが必要最低限の管理業務だが、実に多岐にわたる。

「賃貸管理」とは?不動産オーナーが知りたい最低限の業務を解説2

賃貸管理は「自主管理」と「委託管理」の2形態

「賃貸管理」とは?不動産オーナーが知りたい最低限の業務を解説2
「賃貸管理」とは?不動産オーナーが知りたい最低限の業務を解説2

先述した必要な業務を、もともとは大家さんが自分でやっていた。これを「自主管理」という。一方、それらの業務を管理会社に代行してもらうのが「委託管理」だ。

入居者管理と建物管理を丸ごと一括して依頼するケースが多いが、特定の項目だけ
を部分的に委託するケースもある。委託管理の場合、法改正など最新情報の提供や専門家に相談できることも多い。

「管理手数料」の高い・低いは費用対効果で判断する

委託管理の場合の管理手数料は、「入居者管理と建物管理の両方を合わせて家賃収入の5%が一般的」とよくいわれる。現実には2~8%くらいのバラツキがある。

しかも、受託業務に含まれる項目や、各項目のサービス内容は、管理会社によって違う。クレーム対応ひとつにしても、24時間電話受付・一次対応までしてくれるところと、そうでないところでは入居者の満足度も変わる。「○%だから割安」という判断はできない。

「入居者管理は賃料の〇%、建物管理は別契約で定額料金というケースも増えています。空室の有無にかかわらず、実施する作業とコストが変わらない建物管理を分けたほうが実態に合うからです」

また、管理手数料の水準をチェックする場合は建物の条件も考慮する必要がある。小規模なアパートなら共用設備はほとんどないが、マンションの場合はエレベーター、受水槽などがある。掃除の範囲や種類も違うからだ。このように管理業務の内容と成果を踏まえ、費用対効果で考えることが賢明だ。

その上で、委託管理の効果に不満があれば、管理会社を替えるなり、自主管理に移行するなりすることも、経営判断の一つといえる。

現在の賃貸管理の状況を見直し、自分に合った形態に

「戸数が少なく、時間的な余裕があるオーナーなら自主管理も可能です。もともと自主管理のオーナーは、自身の労力を金銭に換算するか、自分で人を雇ったらいくらかかるかを計算してみるのも有効です。その結果『管理会社に任せたほうが、費用対効果は高い』という判断に傾く人もいるでしょう」

委託管理の方は、管理委託契約書を改めてチェックし、払っている手数料と業務内容が見合っているかを確認。自主管理の方は、必須業務をきちんとこなせているか見直すことが大切だ。その上で、自分に合う管理形態を模索しよう。

この記事のまとめ

「賃貸管理」とは?不動産オーナーが知りたい最低限の業務を解説2

●いま実施している管理で、必須項目がカバーできているか確認
●委託している内容と管理費が見合っているか、費用対効果を見る
●自主管理の場合、自分がかけた労力と時間を金銭換算してみよう
●所有物件や自分の経営スタイルに合った管理形態を選ぼう

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