あなたの物件に「稼がない設備」はいくつある?使われない設備が収益を下げる時代へ。未使用率68.3%が示す収益の盲点

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公開日:2026年4月15日
更新日:2026年4月15日
あなたの物件に「稼がない設備」はいくつある?使われない設備が収益を下げる時代へ。未使用率68.3%が示す収益の盲点1

集合住宅の設備は「多ければ価値が高い」と考えられがちですが、実態は必ずしもそうではありません。(株)AZWAYが実施した「集合住宅の設備に関するアンケート」では、設置されていても使われていない設備が多数存在し、特にバイク置き場は未使用率“68.3%”と、大きなギャップがあることが明らかになりました。その一方で、騒音や通信環境といった日常ストレスへの不満は根強いものの、管理費を上げてまでの設備追加には慎重な姿勢も見られます。今回は、この調査結果から見える「収益につながる設備」と「無駄になりやすい設備」の違いを読み解きます。

設備の「充実」と「利用」、危険なギャップ

あなたの物件に「稼がない設備」はいくつある?使われない設備が収益を下げる時代へ。未使用率68.3%が示す収益の盲点2

グラフ画像の引用元:「集合住宅の設備に関するアンケート」|(株)AZWAY

今回の調査では、住まいにある設備として「敷地内駐車場」が73.3%、「屋根付き駐輪場」が63.7%、「24時間ゴミ出し」が56.7%と、多くの物件で設備の充実が進んでいる実態が明らかになりました。

さらに1人あたり平均5.7項目を選択していることから、現代の集合住宅は多機能化が進んでいると言えます。しかし注目すべきは、この“充実”と“利用”が一致していない点です。

設備が増えるほど利便性は高まるはずですが、実際には使われていない設備も多く存在しています。これは、設備の数や種類だけでは入居者満足度は決まらないことを示しています。今後は「何を付けるか」ではなく、「誰が使うのか」を前提にした設備設計が求められます。設備投資の前提そのものが見直される局面に入っていると言えるでしょう。

さらに、同一物件内でも入居者属性によって利用状況は大きく異なり、画一的な設備構成では対応しきれない実態も浮かび上がります。

3人に2人以上が使わないバイク置き場──そのスペース、収益に変えられる

あなたの物件に「稼がない設備」はいくつある?使われない設備が収益を下げる時代へ。未使用率68.3%が示す収益の盲点2

出典元の調査データ:「集合住宅の設備に関するアンケート」|(株)AZWAY

使っていない設備として最も多かったのが「バイク置き場」で33.7%でした。

さらに、設置されている145人のうち68.3%が未利用という結果は極めて象徴的です。つまり、設置しても3人に2人以上が使っていない設備であり、典型的な需給ミスマッチでしょう。

背景には、そもそもバイク保有者が限られていることや、地域特性による需要差があります。にもかかわらず、一律に設置されているケースも多く、結果としてスペースの非効率利用につながっています。

このような設備は、転用や用途変更の余地が大きい領域です。例えば駐輪場拡張やトランクルーム化など、ニーズに合わせた再設計が求められます。使われない設備を放置すること自体が、収益機会の損失と言えるでしょう。

また、初期設計の段階で需要予測を誤ると、その影響が長期にわたって収益性を圧迫する点にも注意が必要です。

「必要ない」が6割──設備の価値は"ある・ない"より"誰に必要か"で決まる

あなたの物件に「稼がない設備」はいくつある?使われない設備が収益を下げる時代へ。未使用率68.3%が示す収益の盲点2

出典元の調査データ:「集合住宅の設備に関するアンケート」|(株)AZWAY

設備を使っていない理由として最も多かったのは「そもそも必要ない」で59.3%に達しました。使いにくい、使い方が分からないといった問題ではなく、根本的にニーズが存在していないことが最大の要因です。

例えば車を持たない人にとって駐車場は不要であり、自転車を使わない人にとって駐輪場も同様です。この結果は、設備の価値が「あるかどうか」ではなく「自分に必要かどうか」で判断されていることを示しています。

一方で「全部使っている」が6.3%存在する点も重要で、この層は設備とライフスタイルが一致していることが伺えます。つまり、設備の過不足ではなく“適合性”が満足度を左右しているのです。

ターゲット設定と設備構成の一致が、今後の賃貸経営における重要な視点となります。加えて、入居者層の変化に応じて設備の再評価を行う柔軟性も不可欠です。

本当に不満なのは騒音と通信速度──豪華設備より「毎日の快適さ」が退去を防ぐ

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出典元の調査データ:「集合住宅の設備に関するアンケート」|(株)AZWAY

改善してほしい設備では「騒音対策」が35.3%と突出しており、集合住宅における最大の不満が音問題であることが明確になりました。

また「インターネット回線速度」20.7%、「断熱性・気密性」20.3%と続きますが、これらはいずれも日常生活に直結する要素です。

さらに自由記述では騒音に関する不満が87人と最多で、駐車場や共用部管理といった問題も多く挙げられました。これらは豪華な設備とは対照的に、「毎日感じるストレス」に関する項目です。つまり入居者満足度を左右するのは、付加価値的な設備よりも基礎性能や生活快適性であることがわかります。

設備投資の優先順位は、見た目の充実ではなく“ストレスの除去”に置くべき段階に来ています。加えて、こうした不満は退去理由にも直結しやすく、長期的な稼働率にも影響を与える点は見逃せません。

「追加設備は不要」45.7%。オーナーが投資すべき設備の見極め方

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出典元の調査データ:「集合住宅の設備に関するアンケート」|(株)AZWAY

「管理費が上がっても追加してほしい設備」を聞いてみたところ、「ない」が45.7%と最多となりました。

この結果は、入居者が設備の充実よりもコスト負担を強く意識していることを示しています。つまり、多くの人は「不要な設備にお金を払いたくない」と考えているのです。

あなたの物件に「稼がない設備」はいくつある?使われない設備が収益を下げる時代へ。未使用率68.3%が示す収益の盲点2

一方で「宅配ボックス増設」が18.3%と上位に入っており、すでに設置されていても不足しているケースが多いことがわかります。ここから見えるのは、設備投資は“量”や“種類”ではなく“使われるかどうか”が評価基準になっているという点です。

費用対効果が明確な設備には一定の支払い意欲がある一方、そうでない設備は敬遠されます。“入居者が本当にお金を払っても欲しい設備か”の見極めが不可欠となり、オーナー側には、投資判断の精度がより強く求められています。また、賃料や管理費とのバランスをどう設計するかも、今後の重要な経営課題となるでしょう。

「何を足すか」より「何を削るか」──設備の選択が賃貸収益を決める新時代の経営術

あなたの物件に「稼がない設備」はいくつある?使われない設備が収益を下げる時代へ。未使用率68.3%が示す収益の盲点2

出典元の調査データ:「集合住宅の設備に関するアンケート」|(株)AZWAY

今回の調査結果は、設備の多さがそのまま収益や満足度につながる時代ではないことを示しています。むしろ、使われない設備は維持コストやスペースの無駄となり、収益性を下げる要因になりえます。特にバイク置き場のように未使用率が68.3%に達する設備は、見直しの優先度が高い領域です。

一方で騒音対策や通信環境の改善など、日常的な不満を解消する投資は、入居者満足度と定着率の向上につながります。つまり今後は「何を足すか」ではなく「何を減らし、何に集中するか」が重要になります。設備の取捨選択こそが、賃貸経営の収益を左右する新たな判断軸となるでしょう。

さらに、空間の再活用や用途変更を柔軟に行えるかどうかも、収益改善の重要なポイントとなっていきます。

まとめ

今回の調査で明らかになったのは、集合住宅における設備の価値が大きく変化しているという点です。

従来は設備の数や充実度が物件の魅力を高めると考えられてきましたが、実際には「使われているかどうか」がより重要な評価基準となっています。特にバイク置き場の未使用率68.3%という結果は、設備とニーズのズレが収益効率を下げる要因になり得ることを示しています。

一方で、騒音や通信環境といった日常的なストレスに対する不満は強く、これらの改善が満足度向上に直結することも明らかです。

さらに、管理費上昇を伴う設備追加に対しては45.7%が「不要」と回答しており、入居者のコスト意識の高さも無視できません。つまり今後の設備戦略は、「多く設置する」から「必要なものに絞る」方向へとシフトしていく必要があります。加えて、物件ごとのターゲット層に応じた設備設計が不可欠であり、万人向けの設備構成は非効率となる可能性が高まっています。

これからの賃貸経営では、設備の“量”ではなく“適合性”と“利用率”が収益を左右します。使われない設備を見直し、実際に価値を感じてもらえる領域へ投資を再配分すること―。まずは、自物件の設備ごとに「利用率」と「収益貢献度」を棚卸しすることが出発点となります。

※この記事内のデータ、数値などに関する情報は2026年4月時点のものです。

取材・文/御坂 真琴

ライタープロフィール
御坂 真琴(みさか・まこと)
情報誌制作会社に25年勤務。新築、土地活用、リフォームなど、住宅分野に関わるプリプレス工程の制作進行から誌面制作のディレクター・ライターを経てフリーランスに。ハウスメーカーから地場の工務店、リフォーム会社の実例取材・執筆のほか、販売促進ツールなどの制作を手がける。

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