その管理会社、空室を増やしていませんか?オーナーが管理会社を選ぶ前に知っておくべきこと
賃貸経営において、管理会社や仲介会社は単なる業務委託先ではなく、オーナーに代わって入居者と接点を持つ重要なパートナーです。しかし、株式会社AlbaLinkが実施した利用者調査では、「契約を急かす」「説明が不十分」「都合の悪い情報を隠す」といった対応に対して、強い不信感を抱く人が多いことがわかりました。こうした対応は、入居者満足度の低下だけでなく、早期退去や口コミ評価の悪化にもつながりかねません。今回の記事では、調査結果をもとに、賃貸オーナーが見直すべき管理会社選びのポイントと、長期安定経営につながる考え方を解説します。
約4割が嫌う「契約の急かし」が空室を招く

出典元の調査データ:「悪徳不動産業者だと思う対応ランキング」 株式会社AlbaLink
今回の調査において、利用者からの信頼を損ねる管理会社の対応として最も多かったのが「契約を急かす(37.5%)」という回答でした。「他にも申し込みが入っている」「今決めないとなくなる」といった言葉で判断を急がせる対応に、多くの人が不信感を抱いています。
賃貸経営では空室期間を短縮することも重要ですが、契約を優先するあまり入居希望者に十分な検討時間を与えない対応は、結果として満足度の低下を招く恐れがあります。入居後に「もっと慎重に判断したかった」という後悔が残れば、物件そのものや管理会社への評価にも影響します。
また、実際には空室があるにもかかわらず「残り一室」と説明するなど、事実と異なる案内が行われれば信頼関係は大きく損なわれます。近年は口コミサイトやSNSを通じて利用者の体験が広く共有されるため、一件の不満が将来的な募集活動へ影響する可能性もあります。
オーナーにとって重要なのは、契約件数だけでなく契約の「質」です。管理会社を評価する際は、募集力だけでなく「納得感のある契約プロセスを提供できているか」という視点も欠かせません。
「説明が雑」な管理会社はトラブルの火種に
「説明が不十分(13.5%)」という回答も上位に入りました。不動産契約は専門用語が多く、一般消費者にとって分かりにくい内容も少なくありません。そのため、疑問点や不安を丁寧に解消する姿勢が求められます。
説明不足のまま契約が進むと、入居後に「聞いていなかった」「思っていた内容と違う」といったトラブルが発生しやすくなります。設備の利用条件や更新料、退去時の費用負担などは、とくに誤解が生じやすい項目です。
こうしたトラブルは管理会社の対応負担を増やすだけでなく、オーナーとの関係にも影響します。クレーム対応や退去リスクが高まれば、結果的に収益面にもマイナスとなるからです。入居者との認識違いによるトラブルは、空室期間の長期化や原状回復をめぐる紛争にも発展しかねません。
入居者との信頼関係は契約前から始まっています。質問に誠実に答える担当者がいるか、重要事項説明を丁寧に行っているかなどは、管理会社の品質を見極める大切な判断材料になります。
情報を隠す管理会社は入居者が逃げる
また、「ネガティブな情報を渡さない(10.1%)」という回答も目立ちました。利用者は物件のメリットだけでなく、当然あるであろうデメリットや注意点も含めて知りたいと考えています。
たとえば、近隣施設による騒音リスクや日当たりの課題、設備の老朽化などを意図的に説明しなければ、入居後に不満となって表面化する場合も想定されます。一時的に契約を獲得できたとしても、早期退去につながればオーナーにとって利益にはなりません。
近年の入居者はインターネットやSNSを活用して情報収集を行っています。契約後に隠されていた事実が判明すれば、管理会社だけでなく物件への評価も下がる恐れがあります。
むしろ信頼される担当者ほど、デメリットも含めて説明したうえで、それを補うメリットを伝えています。短期的な契約獲得よりも長期的な入居満足度を重視する姿勢こそ、安定経営につながる重要な要素といえます。
入居者ニーズを無視した提案が与える影響
「条件に合わない物件を紹介する(8.7%)」という回答からは、利用者の要望よりも会社側の都合を優先する姿勢への不満が見えてきます。
賃貸仲介の現場では、空室状況や営業目標などの事情から特定物件を優先的に紹介したくなる場面もあります。しかし入居者の希望条件を軽視した提案は信頼を失う原因に直結します。
賃料、通勤時間、設備、周辺環境など、入居者が重視するポイントは人によって異なります。こうした希望を十分に把握せず提案を行うと、「自分の話を聞いてもらえていない」と感じさせてしまうことに。
オーナーにとっても、入居者ニーズを的確に把握できる管理会社は貴重な存在です。市場動向や顧客の声を把握しながら募集活動を行う会社ほど、長期的な入居率向上につながる可能性が高いといえるでしょう。
悪質な管理会社を避けるには?

出典元の調査データ:「悪徳不動産業者だと思う対応ランキング」 株式会社AlbaLink
調査では、悪質な業者を避ける方法として「複数業者を比較する(49.5%)」が圧倒的多数を占めました。じつはこの考え方、オーナーの管理会社選びにも当てはまります。
管理手数料や募集条件だけを比較して委託先を決めるケースもありますが、それだけでは本当のサービス品質は見えてきません。実際の対応力や説明の丁寧さ、入居者への接し方なども重要な評価ポイントです。
複数社に相談することで、募集戦略や空室対策の提案内容、管理体制の違いも見えてきます。同じ物件でも会社によって考え方や対応方針は大きく異なります。
また、担当者との相性やコミュニケーションの取りやすさも見逃せません。長期間にわたって付き合うパートナーだからこそ、比較検討を通じて信頼できる会社を選ぶことが重要になります。
「どの管理会社と組むか」で収益が変わる時代へ
賃貸経営では、建物の立地や設備だけでなく、管理会社の対応品質が収益に与える影響が年々大きくなっています。
入居者が管理会社に不信感を抱けば、更新拒否や早期退去につながる可能性は高まります。反対に、丁寧な説明や迅速な対応を行う会社は、入居者満足度の向上や長期入居の実現につながります。
人口減少や競争激化が進むなかで、物件そのものの性能だけで差別化することは難しくなっています。そのため今後は「どの管理会社と組むか」が賃貸経営の成果を左右する重要な要素になるでしょう。
オーナー自身も管理会社に丸投げするのではなく、利用者視点でサービス品質を確認し続けることが求められています。
まとめ
今回の調査からは、利用者が不動産会社に求めているのは高度な営業技術ではなく、「誠実な情報提供」と「納得できる説明」であることが見えてきました。
契約を急かしたり、説明が不足していたり、都合の悪い情報を隠したりする対応は、短期的には契約獲得につながる場合があっても、長期的には信頼を失う要因になります。そして、その影響を受けるのは管理会社だけではありません。物件オーナーもまた、空室増加や早期退去、口コミ評価の低下といった形で影響を受ける可能性も否定できません。
近年の賃貸市場では、入居者が事前に多くの情報を収集し、複数の物件や会社を比較することが当たり前になりました。だからこそ、透明性の高い説明や誠実な対応を行う管理会社の価値はこれまで以上に高まっています。
管理会社を選ぶ際には、管理手数料や募集力だけでなく、入居者との接し方や説明姿勢まで確認することが重要です。空室対策や家賃設定だけでなく、「誰に管理を任せるか」が賃貸経営の成果を左右する時代です。信頼される管理会社とのパートナーシップこそが、長期安定経営を支える重要な競争力になると言えるでしょう。
※この記事内のデータ、数値などに関する情報は2026年6月時点のものです。
取材・文/御坂 真琴
ライタープロフィール
御坂 真琴(みさか・まこと)
情報誌制作会社に25年勤務。新築、土地活用、リフォームなど、住宅分野に関わるプリプレス工程の制作進行から誌面制作のディレクター・ライターを経てフリーランスに。ハウスメーカーから地場の工務店、リフォーム会社の実例取材・執筆のほか、販売促進ツールなどの制作を手がける。

















