空室対策は”情報速度”で差がつく時代へ。管理会社のDX力が賃貸経営の収益を左右する

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公開日:2026年6月26日
更新日:2026年6月30日
空室対策は”情報速度”で差がつく時代へ。管理会社のDX力が賃貸経営の収益を左右する1

賃貸管理システムの導入によって約9割の不動産会社が業務効率化を実感している一方で、物件情報の更新や共有には依然として大きなタイムラグが残っている―。これらのことが、日本情報クリエイト株式会社が実施した調査により明らかになりました。このタイムラグが実はオーナーの空室期間や収益にも大きな影響を与える可能性があります。今回は調査結果から、これからの賃貸経営で重視すべき「情報共有力」について考えてみます。

約9割が効率化を実感。それでも残る現場の課題

空室対策は”情報速度”で差がつく時代へ。管理会社のDX力が賃貸経営の収益を左右する2

「不動産の“リアルタイム情報”の共有遅れ」に関する調査  日本情報クリエイト株式会社

貸管理システムや業務ツールの導入効果は確実に表れています。今回の調査では、「業務効率が改善した」と回答した不動産会社が87.2%に達しました。デジタル化によって契約管理や顧客管理などの業務負担が軽減されていることが分かります。 

しかし、その一方で現場では依然として「まだ空室ですか」「申込みは入っていますか」といった確認電話が日常的に発生しています。システムを導入していても、情報共有がリアルタイム化されていなければ、業務の一部しか効率化されていないことになります。 

オーナーから見れば、管理会社がシステムを導入しているかどうかだけでは十分ではありません。重要なのは、そのシステムが実際に募集活動や情報共有のスピード向上につながっているかどうかです。 

今後は「DX対応済み」という表面的な評価ではなく、「空室情報がどれだけ速く市場に反映されるか」という運用レベルまで確認することが重要になるでしょう。

電話での確認がなくならない。その本当の理由

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「不動産の“リアルタイム情報”の共有遅れ」に関する調査  日本情報クリエイト株式会社

今回の調査では業者間ツールを導入している会社が約7割に達していました。しかし、そのうち36.2%が「仲介会社の利用率が低い」と回答しています。 

さらに利用が進まない理由として、「電話やFAXに固執している」が50.6%、「電話のほうが最新情報を得られると思われている」が45.3%という結果でした。 

これは仲介会社側の意識の問題だけではありません。背景には「ネット上の情報を信用しきれない」という現実があります。 

もし掲載情報の更新が遅れていれば、仲介担当者は結局電話で確認せざるを得ません。つまり電話依存の根本原因は、情報の鮮度に対する不信感なのです。 

賃貸経営においても同じことが言えます。情報が正確でなければ、紹介機会そのものが減少します。仲介会社が優先的に紹介するのは、問い合わせた瞬間に最新情報が確認できる物件だからです。 

数時間の情報更新の遅れが空室期間を長引かせる

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「不動産の“リアルタイム情報”の共有遅れ」に関する調査  日本情報クリエイト株式会社

成約や解約情報の反映タイミングについて、「即時反映」と回答した企業は15%未満でした。最も多かったのは「数時間以内」の31.8%で、「当日中」が26.8%、「翌営業日」が14.4%となっています。 

一見すると数時間程度の遅れは大きな問題ではないように感じるかもしれません。しかし、現在の部屋探しはインターネット中心です。問い合わせから内見予約まで数十分で進むケースも珍しくありません。 

そのため、問い合わせのタイミングによっては、すでに成約済みの物件へ案内を試みたり、最新の募集条件が伝わらなかったりするケースも考えられます。その結果、顧客が他社物件へ流れてしまう可能性も否定できません。とくに繁忙期や人気エリアでは、情報更新の速度そのものが競争力になります。 

オーナーにとって空室期間の長期化は収益悪化を意味します。家賃設定や設備投資ばかりに目が向きがちですが、募集情報の更新スピードもまた重要な空室対策の一つと考えるべきでしょう。 

「おとり物件」を疑われるリスク

空室対策は”情報速度”で差がつく時代へ。管理会社のDX力が賃貸経営の収益を左右する2

情報共有の遅れによる問題として最も多かったのが、「成約済み物件が掲載され続けることで信頼が低下する」という回答でした。 実際に入居希望者が問い合わせた際、「その部屋は決まりました」と案内されれば、不満や不信感を抱くのは当然です。 

管理会社に悪意がなくても、利用者から見れば「おとり物件ではないか」と誤解されても無理はありません。 一度失われた信頼は簡単には回復しません。企業イメージの悪化だけでなく、物件自体への印象も悪化する恐れすらあります。 

オーナーとしては、募集条件や写真の質だけでなく、「情報更新体制はどうなっているか」という視点でも管理会社を評価する必要があります。信頼性の高い情報発信は、結果として成約率向上にもつながるからです。 

管理会社の業務品質が入居率を左右する時代へ

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「不動産の“リアルタイム情報”の共有遅れ」に関する調査  日本情報クリエイト株式会社

空室対策の課題として、「内見対応や鍵貸出しの負担」が35.7%、「写真撮影や情報更新の手間」が34.3%という結果になりました。 これは、多くの管理会社が依然として人手に依存した業務体制で運営されていることを示しています。 

人口減少と人手不足が進む中、今後は業務効率化が進んでいる会社とそうでない会社の差がさらに広がるでしょう。 管理会社の業務品質は、単なる管理料の高い安いでは測れません。募集活動のスピード、反響対応の質、情報更新の正確性など、目に見えにくい部分が入居率を左右する時代になっています。 

管理委託先を選ぶ際には、「何戸管理しているか」だけではなく、「どのような情報管理体制を構築しているか」を確認することが重要です。 

これからの空室対策は「情報」が主戦場になる

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「不動産の“リアルタイム情報”の共有遅れ」に関する調査  日本情報クリエイト株式会社

調査では、今後強化したい施策として「写真や動画などのコンテンツ拡充」が35.6%、「空室情報のリアルタイム更新」が31.6%となりました。 これは不動産業界が単なる物件情報の掲載競争から、「情報の質」と「情報の速さ」を競う段階へ移行しつつあることを示しています。 

どれほど魅力的な物件でも、情報が古ければ反響は生まれません。逆に築年数が経過した物件であっても、最新情報が迅速に発信され、内見対応までスムーズに行える物件は選ばれやすくなります。 

今後の空室対策では、設備投資やリフォームだけでなく、情報流通の仕組みそのものが差別化要因になるでしょう。オーナーも管理会社任せにするのではなく、募集活動の状況や情報更新体制を定期的に確認する姿勢が求められます。 

まとめ

今回の調査から見えてきたのは、不動産DXの本質が単なる業務効率化ではないということです。実際に約9割の不動産会社が効率化を実感している一方で、物件情報のリアルタイム共有には依然として課題が残されていました。 

情報更新の遅れは、確認電話の増加や業務負担の増大だけでなく、仲介会社からの信頼低下や紹介機会の減少につながります。そしてその影響は最終的に空室期間の長期化や収益悪化という形でオーナーにも及びます。 

これからの賃貸経営では、立地や設備、家賃設定といった従来の競争力に加え、「情報の鮮度」という新たな価値が重要になります。管理会社がどのようなシステムを導入しているかだけではなく、それをどのように運用し、どれだけ早く市場へ情報を届けられるかが問われる時代です。 

空室対策の成果は募集条件だけで決まるものではありません。管理会社選びの基準も、「管理戸数」や「管理料の安さ」だけでは十分とは言えなくなっています。情報が正確に、そしてリアルタイムで流通する仕組みを持っているかどうか。その視点が、今後の賃貸経営の成果を左右する重要な判断基準になっていくでしょう。 

※この記事内のデータ、数値などに関する情報は2026年6月時点のものです。

取材・文/御坂 真琴

ライタープロフィール
御坂 真琴(みさか・まこと)
情報誌制作会社に25年勤務。新築、土地活用、リフォームなど、住宅分野に関わるプリプレス工程の制作進行から誌面制作のディレクター・ライターを経てフリーランスに。ハウスメーカーから地場の工務店、リフォーム会社の実例取材・執筆のほか、販売促進ツールなどの制作を手がける。

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