上がり続けた収益物件、ついに調整へ。今オーナーが取るべき次の一手

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公開日:2026年6月15日
更新日:2026年6月16日
上がり続けた収益物件、ついに調整へ。今オーナーが取るべき次の一手1

健美家株式会社(LIFULLグループ)が公表した「収益物件 市場動向マンスリーレポート2026年4月期」では、区分マンション・一棟アパート・一棟マンションの住宅系収益不動産3種別すべてで、全国平均価格が前月比マイナスとなりました。一方で、前年同月比では3種別とも上昇を維持しており、市場全体としては依然として上昇基調にあります。高値更新が続いた不動産投資市場は、いま“調整局面”ともいえる新たなフェーズに入りつつあるのかもしれません。最新データをもとに、賃貸オーナーが押さえておきたい市場の変化と、今後の投資判断のヒントを探ります。

3種別そろって前月比マイナス――でも前年比は全部プラス。この「ねじれ」をどう読むか

上がり続けた収益物件、ついに調整へ。今オーナーが取るべき次の一手2

「収益物件 市場動向マンスリーレポート」2026年4月期 健美家株式会社(LIFULLグループ)

2026年4月期は、区分マンション、一棟アパート、一棟マンションの全国平均価格がそろって前月比マイナスとなりました。区分マンションは2,497万円で前月比▲5.88%、一棟アパートは9,022万円で同▲0.77%、一棟マンションは2億236万円で同▲2.98%です。

これだけを見ると、市場が急速に冷え込んでいるように映るかもしれません。しかし、前年同月比では区分マンションが+10.15%、一棟アパートが+9.88%、一棟マンションが+9.74%と、いずれも上昇しています。つまり、長期的な上昇トレンドは維持しながらも、短期的な価格調整が起きている状態といえるでしょう。

これまでの「買えば値上がりする」という局面から、「何を、どこで、いくらで買うのか」をより慎重に見極める時代へ移行しつつあるのかもしれません。オーナーに求められるのは、市場全体の雰囲気に流されず、数字の背景を冷静に読み解く姿勢ではないでしょうか。

区分マンション:2か月連続マイナスの意味と、利回り上昇が示すチャンスの芽

上がり続けた収益物件、ついに調整へ。今オーナーが取るべき次の一手2

「収益物件 市場動向マンスリーレポート」2026年4月期 健美家株式会社(LIFULLグループ)

上がり続けた収益物件、ついに調整へ。今オーナーが取るべき次の一手2

「収益物件 市場動向マンスリーレポート」2026年4月期 健美家株式会社(LIFULLグループ)

区分マンション市場は、全国平均価格が2カ月連続で前月比マイナスとなりました。これは直近1年間で今回のみの動きです。一方で、利回りは6.63%と前月比+0.09ポイント上昇しました。これは高騰局面が一服し、価格形成の方向感を探る「踊り場」に入った可能性を示唆しています。

地域別では、中国・四国が前月比+11.69%と上昇した一方、北海道は▲34.98%、信州・北陸は▲40.94%、東海は▲18.67%と大幅な下落が見られました。地域差が極端に拡大していることも特徴です。

区分マンションは比較的少額で始めやすいことから人気を集めてきましたが、価格上昇が続いたことで投資妙味が薄れつつあるエリアもあります。今後は「都心だから安心」「人気エリアだから買い」といった単純な判断ではなく、家賃水準や修繕積立金、出口戦略まで含めた精査が不可欠になりそうです。

一棟アパート:横ばい続きの中、関西は1年最高値更新。地域差が鮮明に

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「収益物件 市場動向マンスリーレポート」2026年4月期 健美家株式会社(LIFULLグループ)

上がり続けた収益物件、ついに調整へ。今オーナーが取るべき次の一手2

「収益物件 市場動向マンスリーレポート」2026年4月期 健美家株式会社(LIFULLグループ)

一棟アパートは、全国平均価格9,022万円、前月比▲0.77%と小幅な下落にとどまりました。前年同月比では+9.88%となっており、ここ数カ月は微増微減を繰り返す横ばい傾向が続いています。

一方、関西では8,784万円と直近1年間の最高値を更新しました。首都圏も前年同月比+14.12%と高い伸びを示していますが、九州・沖縄は前年同月比▲8.42%と下落するなど、地域による温度差は鮮明です。

一棟アパートは、金利上昇局面においても比較的購入しやすい価格帯であることから、実需に近い投資対象として支持されてきました。今後は「安定稼働を前提とした堅実な経営」がより重要になるでしょう。高利回りだけを追うのではなく、入居需要や修繕計画も含めた総合的な収支シミュレーションが求められる時代に入ったといえそうです。

一棟マンション:東京23区がけん引する一方、東北にも最高値更新エリアが。地方物件の見方が変わる

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「収益物件 市場動向マンスリーレポート」2026年4月期 健美家株式会社(LIFULLグループ)

上がり続けた収益物件、ついに調整へ。今オーナーが取るべき次の一手2

「収益物件 市場動向マンスリーレポート」2026年4月期 健美家株式会社(LIFULLグループ)

一棟マンション市場では、全国平均価格は2億236万円と前月比▲2.98%でしたが、前年同月比では+9.74%と上昇基調を維持しています。

とくに首都圏では東京23区が前年同月比+18.20%と突出しており、市場全体をけん引する存在となっています。人口流入や賃貸需要の底堅さ、再開発への期待などが背景にあると考えられます。

一方で、東北は前月比+22.63%と1億6,770万円の最高値を更新するなど、地方にも局所的な上昇が見られました。つまり、東京23区が依然として市場をけん引している一方で、地方にも局所的な成長エリアが現れているということです。

今後は、東京の安定性を重視するか、地方の成長余地を狙うかによって戦略が分かれていくでしょう。投資家自身のリスク許容度や保有目的によって、最適解は変わっていくはずです。

利回りがほぼ動かない理由――「売り急ぎ」が起きていないことの意味

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今回のレポートでは、価格が下落する一方で、利回りは大きく動いていない点も特徴的でした。

区分マンションは6.63%、一棟アパートは8.04%、一棟マンションは7.38%と、いずれも前月比で小幅な変動にとどまっています。投資家の期待利回りが大きく変わっていないことの表れともいえるでしょう。また、利回りが急上昇していないということは、「売り急ぎ」が広がっている状況ではないとも解釈できます。

これは、市場参加者が急激な悲観論に傾いていないことを意味します。むしろ、「価格が下がったから売る」「上がったから買う」という短絡的な動きではなく、収益性を重視した冷静な判断が増えている可能性があります。

不動産投資は株式市場のように瞬時に売買できるものではありません。だからこそ、利回りの変化が小さい局面では、自身の投資基準を再確認し、焦らず行動することが重要になります。

調整局面こそ差がつく。今こそ保有物件を点検する時

上がり続けた収益物件、ついに調整へ。今オーナーが取るべき次の一手2

今回のデータを通じて感じられるのは、「どこを買っても値上がりする時代」から、「選別する力が収益を左右する時代」への変化です。

物件価格、利回り、エリア特性、将来的な人口動態など、多角的な視点で判断することがこれまで以上に重要になります。高値更新のニュースに一喜一憂するのではなく、自身の投資目的に照らして適切な判断を下す姿勢が求められるでしょう。

また、既存オーナーにとっても、保有物件の価値を見直し、借り換えや売却、修繕計画、家賃設定の見直しなど、保有物件の収益力を再点検する好機ともいえるでしょう。市場の変化はリスクである一方、新たなチャンスにもなり得ます。調整局面だからこそ、経営力の差が表れやすくなるのではないでしょうか。

まとめ

健美家の2026年4月期レポートは、住宅系収益不動産市場が新たな局面を迎えていることを示唆しています。3種別すべてで前月比マイナスとなったものの、前年同月比では依然として上昇を維持しており、全面的な下落局面とは言い切れません。

むしろ注目すべきは、地域差の拡大と物件種別ごとの特徴がより鮮明になってきたことです。東京23区が市場をけん引する一方で、地方でも独自の動きを見せるエリアがあり、「どこでも同じように稼げる時代」ではなくなりつつあります。

上がり続けた収益物件、ついに調整へ。今オーナーが取るべき次の一手2

不動産市場は常に変化しています。しかし、変化そのものを恐れる必要はありません。大切なのは、データを正しく読み解き、状況に応じて柔軟に戦略を修正していくことです。高騰相場の終わりを嘆くのではなく、「選別の時代」をどう生き抜くか。いま問われているのは、オーナーとしての判断力と経営力そのものです。まずは保有物件の直近の利回りと近隣の家賃相場を再確認するところから始めてみてはいかがでしょうか。

※この記事内のデータ、数値などに関する情報は2026年6月時点のものです。

取材・文/御坂 真琴

ライタープロフィール
御坂 真琴(みさか・まこと)
情報誌制作会社に25年勤務。新築、土地活用、リフォームなど、住宅分野に関わるプリプレス工程の制作進行から誌面制作のディレクター・ライターを経てフリーランスに。ハウスメーカーから地場の工務店、リフォーム会社の実例取材・執筆のほか、販売促進ツールなどの制作を手がける。

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