あなたの賃貸物件、誰が・どう引き継ぎますか?家族が揉めない相続のための準備

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公開日:2026年6月26日
更新日:2026年6月30日
あなたの賃貸物件、誰が・どう引き継ぎますか?家族が揉めない相続のための準備1

不動産相続は資産承継の手段である一方、家族間の対立を招くリスクも抱えています。株式会社アドワン・ホームと株式会社NEXERによる調査では、不動産相続に関する不安やトラブルを経験した人のうち、66.7%が「分割方法の意見対立」を挙げました。また、81.0%が専門家による一貫サポートを求めており、相続を巡る不安の大きさが浮き彫りになっています。賃貸住宅オーナーにとって相続対策は節税だけではありません。家族が安心して資産を引き継げる環境を整えることも、これからの賃貸経営に欠かせない重要な視点となっています。

相続税対策だけでは防げない「争続」リスク

あなたの賃貸物件、誰が・どう引き継ぎますか?家族が揉めない相続のための準備2

相続対策というと、多くのオーナーは相続税の節税や納税資金の準備を思い浮かべます。しかし実際の相続現場では、税金対策だけでは解決できない問題として、親族間の対立が挙げられます。今回の調査でも、不動産相続に不安やトラブルを抱える人の多くが、家族間の意見対立を懸念していることが分かりました。

特に賃貸物件は、単なる自宅とは異なり収益を生み出す資産です。そのため、保有を継続したい相続人と現金化を望む相続人との間で意見が分かれやすくなります。さらに、管理業務や修繕負担を誰が担うのかといった問題も加わり、話し合いが複雑化するケースも少なくありません。

賃貸経営における相続対策は、税務面だけでなく「誰が引き継ぐのか」「どのように分けるのか」まで含めて考える必要があります。家族間で事前に方針を共有しておくことが、将来の争続リスクを減らす第一歩になるでしょう

なぜ不動産は相続トラブルになりやすいのか

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不動産が相続トラブルの原因になりやすい最大の理由は、現金のように公平に分割しにくいことにあります。例えば預貯金であれば法定相続割合に応じて比較的容易に分配できますが、不動産は物理的に分けることが難しく、評価額にも幅が生じます。とくに共有名義は、一見公平に見える一方で、売却や大規模修繕、建て替えなどの意思決定に全員の合意が必要になるケースも多く、将来的なトラブルの火種になりやすいとされています。

今回の調査でも、「分割方法の意見対立」が66.7%で最も多い結果となりました。売却して現金化するのか、共有名義にするのか、特定の相続人が単独で取得するのかによって、それぞれのメリットと負担が異なるためです。

また、不動産価格に対する認識の違いも対立を生みます。相続人の中には市場価格を基準に考える人もいれば、思い出や将来性を加味して評価する人もいます。この認識のズレが、話し合いをさらに難しくする要因となるのです。

賃貸物件ほど相続の判断が難しくなる理由

あなたの賃貸物件、誰が・どう引き継ぎますか?家族が揉めない相続のための準備2

賃貸住宅は単なる資産ではなく、事業性を持つ不動産です。そのため相続時には「資産価値」と「収益価値」の両方を考慮しなければなりません。 

例えば年間数百万円の家賃収入がある物件であれば、売却するよりも保有した方が有利な場合があります。一方で築年数が古く、大規模修繕が近い物件では、今後の維持費や空室リスクを考慮すると売却が合理的な選択になることもあります。 

しかし相続人全員が不動産経営に詳しいとは限りません。収益性や将来性に対する理解の差が、判断の違いにつながります。また、管理を引き受ける人と収益だけを受け取りたい人との間で不公平感が生まれることもあります。 

だからこそオーナー自身が、将来的な運営方針や出口戦略を整理し、家族へ共有しておくことが重要です。 

遠方物件が相続人の大きな負担に

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今回の調査では、管理が難しい物件への対応として「早期売却のサポート」が最も多く選ばれました。この背景には、遠方不動産を維持することへの負担感があります。

相続人が都市部に居住している場合、地方の賃貸物件や実家を引き継ぐケースも少なくありません。しかし、現地確認や管理会社との打ち合わせ、修繕対応などを遠隔で行うことは想像以上に大変です。

また、管理が行き届かない状態が続けば空き家化するリスクもあります。近年は空き家対策が強化されており、管理不全と判断された場合には固定資産税の優遇措置が見直されるケースもあります。さらに人口減少が進む地域では、資産価値の下落も無視できない問題です。収益を生まない状態でも固定資産税や維持費は発生するため、相続人にとっては負担だけが残る可能性が高いといえるでしょう。

こうした状況から、近年は「とりあえず保有する」のではなく、「早めに方向性を決める」という考え方が広がっています。相続後に慌てないためにも、オーナーが事前に資産価値や売却可能性を把握しておくことが求められます。

円満相続には専門家との連携が必須?

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今回の調査では、81.0%が弁護士や各種士業と連携した一貫サポートを望むと回答しました。これは相続手続きの複雑さを物語る結果といえるでしょう。

不動産相続には、相続登記、遺産分割協議、相続税申告、売却手続きなど、多くの専門知識が必要になります。さらに家族間の意見調整も必要になるため、当事者だけで解決しようとすると大きな負担になります。

賃貸住宅オーナーの場合は、不動産会社、税理士、司法書士、弁護士など複数の専門家との連携が重要です。各分野の専門家が適切に関与することで、相続人の不安を軽減しながらスムーズな承継が可能になります。

相続発生後に慌てて相談先を探すのではなく、生前から信頼できる専門家ネットワークを構築しておくことが理想的です。

これからの賃貸経営は「出口設計」が重要

あなたの賃貸物件、誰が・どう引き継ぎますか?家族が揉めない相続のための準備2

これまでの賃貸経営では、収益最大化や節税が重視されてきました。しかし今後は、それに加えて「どのように次世代へ引き継ぐか」が重要な経営テーマになります。

少子高齢化が進む中、相続人全員が不動産経営を希望するとは限りません。また、相続後に売却を選択するケースも増加していくと考えられます。そのため、保有を続ける前提だけでなく、売却や組み換えを含めた出口戦略を検討しておく必要があります。

具体的な出口設計としては、遺言書の作成、家族会議の実施、法人化の検討、資産の組み換えなどが代表的な選択肢になります。

相続はいつか必ず訪れます。その時になって家族が悩まないよう、資産状況や経営方針を整理し、共有しておくことがオーナーの責任ともいえるでしょう。賃貸経営の成功とは、収益を生み出すことだけでなく、円滑な資産承継まで実現して初めて完成するといえるのではないでしょうか。

まとめ

今回の調査から見えてきたのは、不動産相続において多くの人が不安を感じているのは税金そのものではなく、家族間の意見対立であるという現実です。特に不動産は現金のように均等に分けることが難しく、収益物件であれば経営や管理の負担も伴います。そのため、相続人それぞれの立場や考え方の違いが表面化しやすく、時には親族関係の悪化につながることもあります。

また、遠方物件や築古物件については、保有継続よりも売却を希望する傾向が強いことも明らかになりました。人口減少や空室率上昇が懸念される今後は、「相続したい不動産」と「相続したくない不動産」の二極化がさらに進む可能性があります。

賃貸住宅オーナーに求められるのは、相続税対策だけではありません。誰に引き継ぐのか、売却する場合はどう進めるのか、どの専門家に相談するのかまで含めた総合的な承継設計です。家族が安心して資産を受け継げる環境を整えることは、物件の資産価値を守るだけでなく、家族の信頼関係を守ることにもつながります。これからの賃貸経営は、「収益を残す経営」から「円満に引き継ぐ経営」へと視点を広げることが求められているのです。

相続が発生してから準備を始めることはできません。家族が安心して資産を受け継げる環境を今から整えておくことが、オーナーにできる最大の相続対策ではないでしょうか。

※この記事内のデータ、数値などに関する情報は2026年6月時点のものです。

取材・文/御坂 真琴

ライタープロフィール
御坂 真琴(みさか・まこと)
情報誌制作会社に25年勤務。新築、土地活用、リフォームなど、住宅分野に関わるプリプレス工程の制作進行から誌面制作のディレクター・ライターを経てフリーランスに。ハウスメーカーから地場の工務店、リフォーム会社の実例取材・執筆のほか、販売促進ツールなどの制作を手がける。

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