近隣からの騒音クレーム、工事ミス…大規模修繕(外壁塗装・防水工事)でよくあるトラブルQ&A

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公開日:2018年9月18日
更新日:2019年11月25日

Q4:貸室の原状回復工事を行った際、工事会社のミスで階下に漏水が生じ、損害賠償を請求されています。

A4:工事会社のミスが原因であれば、法的には大家に賠償義務はないと考えられます。

工事会社のミスで階下の貸室に漏水が生じたという場合、階下の入居者は部屋を使用できなくなるなどの損害を負います。入居者からすれば、「大家さんが注文した工事で部屋が使えなくなったのだから、大家さんが責任をとれ」と言いたくなるかもしれません。

しかし、大家さんは工事の注文主というだけであり、工事会社がミスをしないように注意を払うというようなことまでの責任があるとはいえません。入居者が、本件事故により本件貸室の使用を妨げられたとしても、漏水事故が賃貸借契約違反(債務の不履行)であるということにはできないと思います。

他方で、工事会社は、もちろん入居者に対し、自らのミスで生じた漏水による損害を賠償する責任があります。

Q5:防水工事後も漏水が止まらず調査をしたところ、契約とは異なる材料、方法で工事されていました。

A5:請負契約における瑕疵担保責任を問うことになります。

工事の結果、建物が客観的にみて通常有すべき最低限度の性能を備えていない状態となった場合には、工事請負契約で定められた内容を満たさず、使用価値もしくは交換価値を減少させる欠点があるものとして瑕疵があるということになります。

また、契約内容と異なる材料等で工事が行われた場合は、その不一致がごく軽微であり目的物の価値、機能や美観などに影響を与えず、注文者の意思に反することもないといった特別の事情のない限り、契約で定められた重要な内容を満たさず、当事者間で予め定められた性質を欠くものとして瑕疵があるというべきことになります。

注文者である大家さんは工事会社に対し、瑕疵担保責任として、工事のやり直しや損害賠償を請求できることになります。

Q6:防水工事を行っている最中に、工事業者が破産してしまいました。工事はどうなるのでしょうか。

A6:破産管財人が、工事を継続するか、解除するかを選択することになります。

破産開始決定がなされると、裁判所によって破産管財人が選任され、破産管財人が破産者の財産を換価し、債権者の債権調査を行い、債権者に公平に配当して清算となります。請負契約の場合、工事を継続した方が債権者のためになるのか、中止をした方が赤字が少なくなるのかなど、工事の内容や進捗により異なります。

そこで破産法は、破産管財人が請負契約を解除するか、工事を完成させて代金を請求するかを選択するものと定めています。工事の継続が選択された場合は契約通りの処理となり、工事の解除が選択された場合は破産債権者として損害賠償を請求することになります。

なお、請負会社破産の場合に適用される保険関係について等、契約締結時に確認しておくことをお勧めします。

※この記事内のデータ、数値などに関しては2018年9月5日時点の情報です。

イラスト/黒崎 玄

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