単身世帯の増加で「ペット可物件」に商機? 約4人に1人が経験した退去トラブルから考える賃貸経営

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公開日:2026年9月29日
更新日:2026年10月20日
単身世帯の増加で「ペット可物件」に商機? 約4人に1人が経験した退去トラブルから考える賃貸経営1

単身世帯が増加するなか、賃貸住宅にも「ペットと暮らせること」を求める入居者が増えています。国立社会保障・人口問題研究所の推計では、今後も単独世帯の割合は上昇する見通しです。一方、LIFULL HOME'Sの調査では、ペット可物件は不可物件より17日早く決まるという結果も出ています。空室対策として魅力的な「ペット可」ですが、ペットによる傷や臭いなどの退去トラブルには注意が必要です。ペット需要を取り込むために、オーナーは何を準備すべきなのでしょうか。

単身世帯の増加で「ペットと暮らせる」が選択肢に

単身世帯の増加で「ペット可物件」に商機? 約4人に1人が経験した退去トラブルから考える賃貸経営2

日本では世帯の小規模化が進んでいます。国立社会保障・人口問題研究所の「日本の世帯数の将来推計(全国推計)」によると、一般世帯の平均世帯人員は2020年の2.21人から減少を続け、2033年には2人を下回る1.99人になると推計されています。また、一般世帯に占める単独世帯の割合も、2020年の38.0%から2050年には44.3%まで上昇すると見込まれています。

こうした世帯構成の変化は、賃貸住宅に求められる条件にも影響を与える可能性があります。とくに単身世帯では、ペットを家族の一員として迎える人もおり、住まい選びにおいて「ペットと暮らせること」が条件の一つになるケースもあります。

実際、ペット可物件への需要は無視できません。LIFULL HOME’Sが2025年に公表した調査では、ペット可物件の掲載割合は2022年3月の12.9%から2025年3月には19.3%まで上昇しました。

ペット可物件は「17日早く決まる」という魅力

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賃貸オーナーにとってとくに注目したいのが、ペット可物件の「決まりやすさ」です。LIFULL HOME’Sの同調査では、ペット可物件はペット不可物件と比べて、平均掲載日数が約17日短い(ペット可66.8日、不可83.4日)という結果が出ています。空室期間が長期化すれば、その分だけ家賃収入を得られないため、17日という差は決して小さくありません。

また、2025年にいえらぶGROUPが実施した調査では、不動産会社の75.9%が「今後、ペット可物件のニーズは増える」と回答しています。さらに2026年の同社調査では、ペット可物件に現在住んでいる、または過去に住んだ経験がある人の71.7%が「ペット可物件が増えてほしい」と回答しました。

つまり、ペット可物件は単に「入居者の選択肢を増やす」だけではなく、空室期間を短縮し、競合物件との差別化につながる可能性を持つ条件といえます。

ただし、ここで注意したいのが、ペットを受け入れることによって発生する「退去時のリスク」です。

約4人に1人が経験。ペットによる退去トラブル

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ブルークリーン株式会社が2026年8月に実施した「賃貸物件のペット飼育実態に関するアンケート」では、849人の賃貸オーナー・管理者のうち、23.67%がペット飼育に関連する退去時の原状回復・清掃トラブルを経験していました。およそ4人に1人が経験している計算です。

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具体的な被害としては、「床材・フローリングの傷や劣化」が42%で最も多く、「壁紙・クロスの傷や汚れ」が40%、「ドア・柱・建具など」が38%と続きます。さらに、「強い臭い」が34%、「糞尿による汚れ」が33%となっており、単純な傷だけでなく、臭いや衛生面への対応も必要になることが分かります。

ペット可物件にすれば需要を取り込める一方、退去後の修繕・清掃費用まで考えなければ、期待した収益を確保できない可能性もあるため、慎重な検討が必要です。

「ペット不可」でも、トラブルは発生している

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さらに見逃せないのが、「ペット可にしなければトラブルを防げる」とは限らない点です。

ブルークリーンの調査では、ペット関連の退去トラブルを経験した201人のうち、80.1%が「ペット不可」の物件も含まれていたと回答しています。

つまり、ペット不可というルールを設けていても、ペット関連のトラブルを完全に防げるわけではありません。むしろ、ペットを飼いたい入居者を取り込める物件にするのであれば、「禁止する」「認める」だけで考えるのではなく、どのような条件なら飼育を認めるのかを明確にすることが重要です。

「ペット可」にするなら、飼育ルールを明確に

ペット可物件で最初に整えておきたいのが、契約や使用細則などの「飼育ルール」です。たとえば、犬・猫などの種類、大きさ、頭数、共用部分での扱い、室内での飼育方法などを明確にしておく必要があります。また、退去時の原状回復についても、入居者にあらかじめ説明しておくことが大切です。

単身世帯の増加で「ペット可物件」に商機? 約4人に1人が経験した退去トラブルから考える賃貸経営2

いえらぶGROUPの2026年調査でも、ペット可物件を探す際に重視するポイントとして、「家賃・初期費用」に次いで、「トラブルが起きにくい環境」が52.4%、「飼育できるペットの種類」が51.5%となっています。入居者側も、単に「ペット可」であることだけを求めているわけではありません。

オーナー側から見ても、飼育条件を明確にすることは、入居者との認識のズレを防ぐための重要な対策につながります。

入居時の「状態記録」が退去トラブルを防ぐ

もう一つ重要なのが、入居時の室内状態を記録しておくことです。ペット可物件では、通常の賃貸住宅以上に床や壁、建具などの傷・汚れについて、入居前の状態を写真などで残しておくと安心です。

とくに、フローリングの傷や壁紙の汚れなどは、ペットによるものなのか、入居前から存在していたものなのかが退去時に問題になりやすい部分です。

入居時の写真やチェックリストを残しておけば、退去時の状態と比較しやすくなりますし、ペットの種類や頭数、飼育場所なども契約時に確認しておけば、「聞いていた条件と違う」といった認識のズレも防げるはずです。

「傷・臭いに強い仕様」で物件の競争力を高める

ペット可物件にするのであれば、設備や内装も見直したいところです。たとえば、傷がつきにくい床材、汚れを拭き取りやすい壁紙、消臭性のある内装材などを採用すれば、退去後の修繕負担を抑えられるケースも。

重要なのは、単純に「ペット可」という条件を追加するだけではなく、ペットと暮らす入居者にとって使いやすい住まいにすることです。

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実際、いえらぶGROUPの2026年調査では、ペット可物件を探す際に苦労した点として、「床材や防音などの設備が不十分だった」という回答も24.8%ありました。ペット可物件を増やすだけでなく、入居者が安心して暮らせる環境を整えることが、物件の競争力の向上につながります。

気になる原状回復費用「30万円以上」が52%

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ブルークリーンの調査では、ペット関連の退去トラブルにおける原状回復・清掃費用について、「30万円以上50万円未満」が34%、「50万円以上100万円未満」が11%、「100万円以上」が7%でした。つまり、30万円以上かかったケースが52%に達しています。

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一方で、費用を入居者から全額回収できたのは31%にとどまり、43%は「一部回収」にとどまっています。「請求したが回収できなかった」が14%、「請求できなかった」が12%で、合わせて69%が全額回収には至っていません。

ペット可物件を空室対策として活用するなら、家賃収入や成約スピードだけでなく、退去時の修繕費や費用回収まで含めて収支を考える必要があるでしょう。

専門業者との連携も「ペット可」の条件に

単身世帯の増加で「ペット可物件」に商機? 約4人に1人が経験した退去トラブルから考える賃貸経営2

ペット関連のトラブルは、一般的なハウスクリーニングだけでは対応しにくいケースがあります。ブルークリーンの調査では、84%の回答者が、ペット関連の退去後対応について専門業者の必要性を感じていました。

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また、業者選びでは「原状回復から一括して対応できる(51%)」、「特殊清掃の経験が豊富(44%)」、「料金体系が明確(43%)」などが重視されています。

だからこそ、ペット可物件を運用する場合は、トラブルが発生してから業者を探すのではなく、あらかじめ対応可能な業者を把握しておくことも必要です。

「飼育ルールを決める」「入居時の状態を記録する」「傷や臭いに配慮した内装にする」「退去後の対応先を確保する」といった対策を組み合わせることで、ペット可物件のリスクをコントロールしやすくなります。

まとめ:「ペット可」を空室対策にするなら、リスク管理まで

ペット可物件は、空室対策として魅力のある選択肢です。LIFULL HOME’Sの調査では、ペット可物件はペット不可物件より17日早く決まるという結果が出ており、いえらぶGROUPの調査でも、ペット可物件の需要拡大を見込む不動産会社が75.9%に上っています。ペットと暮らせることを、物件の競争力につなげられる可能性は十分にあるでしょう。

一方で、ペットを受け入れるだけで収益性が高まるわけではありません。傷や臭いなどによって退去時の原状回復費用が膨らむケースがあり、ブルークリーンの調査では、ペット関連の退去トラブルを経験した人の69%が、発生した費用を全額回収できていませんでした。

だからこそ、ペット可物件を検討する際には、「飼育を認めるかどうか」だけで判断するのではなく、契約条件や飼育ルール、入居時の状態記録、内装・設備、退去後の原状回復までを一つの仕組みとして考えることが重要になります。

需要があるからペットを受け入れる。しかし、受け入れる以上は、トラブルが起きることも想定して備えておく。こうした「需要とリスクの両面から考える姿勢」が、ペット可物件を単なる空室対策で終わらせず、長期的な物件競争力につなげるポイントといえるでしょう。

単身世帯の増加など、入居者のライフスタイルが変化するなか、オーナーに求められるのは、変化するニーズを取り込むだけではありません。そのニーズを収益につなげるための管理体制まで含めて、物件を設計していくことではないでしょうか。

※この記事内のデータ、数値などは2026年9月時点のものです
取材・文/御坂 真琴

出典

ライタープロフィール
御坂 真琴(みさか・まこと)
情報誌制作会社に25年勤務。新築、土地活用、リフォームなど、住宅分野に関わるプリプレス工程の制作進行から誌面制作のディレクター・ライターを経てフリーランスに。ハウスメーカーから地場の工務店、リフォーム会社の実例取材・執筆のほか、販売促進ツールなどの制作を手がける。

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