賃貸経営オーナーにも影響あり?「賃貸住宅管理適正化法」の ポイントを解説

管理/空室対策
  • 建物管理
公開日:2020年9月2日
更新日:2020年10月19日
賃貸経営オーナーにも影響あり?「賃貸住宅管理適正化法」の ポイントを解説1

不動産管理契約及びサブリース契約について新しい規制を定めた「賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律」(以下「新法」)が成立しました。サブリース契約については2020年12月に、管理契約については2021年6月に施行される見通しです。新法成立の背景と、新法の内容、オーナーへの影響について押さえておきましょう。

賃貸経営オーナーにも影響あり?「賃貸住宅管理適正化法」の ポイントを解説2

文/九帆堂法律事務所 弁護士 久保原 和也(写真)、伊藤 和貴

〈久保原弁護士プロフィール〉京都大学大学院法学研究科修了。2008 年、九帆堂法律事務所設立。最高裁で勝訴した更新料裁判では、首都圏で唯一の弁護団所属弁護士として様々な情報を発信。

〈伊藤弁護士プロフィール〉東京大学法学部、同法科大学院修了。2018年、九帆堂法律事務所入所。大家さんの代理人として多数の賃貸借案件を扱う。

新法成立の背景には悪質な管理業者の増加

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新法が成立した背景には、社会における賃貸管理の重要性が高まっている反面、悪質な業者によるトラブルも増加しているという問題があります。

以前は、オーナーが自ら建物を管理することが多かったのですが、オーナーの高齢化等により、管理業者に管理を任せることが増えています。良い管理業者を見つけられれば問題はありませんが、国土交通省の令和元年度の調査によれば、管理業者とのトラブルを経験したオーナーは実に全体の約46%に上り、質の良くない業者が少なからずいることは否定しがたいところです。

私どもの事務所でも、悪質な管理業者に苦しめられているオーナーの方々からご依頼をいただくことがあります。「悪質な業者を排除し健全な業界にしていこう」ということが新法の目的となります。

管理業者に登録義務。登録者に各種規制がかかる

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まず、新法の内容のうち、管理契約に関するものをご紹介します。

「賃貸住宅管理業を行う者」のうち、「一定規模以上」(200戸以上と考えられています)を管理する者は国土交通大臣の登録をしなければならず、登録業者は後述の義務を負います。「賃貸住宅管理業」は、「賃貸住宅の賃貸人から委託を受け、居室その他の部分の点検、清掃、修繕等を行う事業」と定義されています。

つまり、テナント物件の管理や家賃等回収代行のみ行う業者は、登録義務を負いません。元々、新法に似た制度で、国土交通省告示「賃貸住宅管理業者登録制度」というものがありましたが、こちらは登録義務がなく、登録しなくても管理業に支障はありませんでした。

新法は、先述の要件を満たす業者に登録の法的義務を課すという点で、より効力の強い制度と言えます。続いて、登録業者が負う義務をご説明します。

登録業者が負う義務とは?

①業務管理者の設置義務
営業所・事務所ごとに、業務管理者を1人以上置かなければいけなくなりました。業務管理者とは、賃貸管理事務のために必要な知識・能力を持つ者です。宅地建物取引士の他、賃貸不動産経営管理士がこれに当たることになる見込みです。

②重要事項説明義務
管理契約の締結の際には、前もって契約の重要事項を説明し、その内容を記載した書面を交付しなくてはなりません。書面の整備と重要事項説明の実施により、契約内容を知らないまま不合理な契約をしてしまうケースが減ると期待されます。

③財産の分別管理
登録業者が受領した家賃、敷金等を、業者の固有財産と分別して管理しなければなりません。業者による家賃等の使い込みが防止されます。

④管理業務の定期報告
管理業務の実施状況等を、定期的に賃貸人に報告しなければなりません。その他、名義貸し禁止・管理契約書の交付・再委託禁止・帳簿備付け・事務所への標識掲示・秘密保持などの各種義務が課されます。

サブリース業者にも新規制。ただし登録義務はなし

オーナーがサブリース業者に対して建物を賃貸し(マスターリース契約)、サブリース業者が入居者に対して転貸する(サブリース契約)という仕組み(いわゆるサブリース)についても、新法は各種の定めを置いています。

サブリース業者への規制項目

①誇大広告等の禁止
サブリース業者が広告を出す際に、マスターリース契約をする条件について、著しく事実と異なる表示や、実際より著しく優良と誤認させる表示をすることが禁止されます。

②不当勧誘等の禁止
サブリース業者は、家賃減額リスクなど、マスターリース契約締結の判断に影響を及ぼす重要な事項について、故意に事実を告げなかったり、不実の内容を告知したりといった、各不当勧誘行為が禁止されます。

③重要事項説明義務
マスターリース契約の締結前に、サブリース業者は重要事項を説明し、その内容を記載した書面を交付しなければなりません。

新法施行でも油断は禁物。賃貸経営オーナーが注意すべきこと

不動産の売買や売買・賃貸借の代理・媒介等の、宅地建物取引業を行う場合には、不動産業者は登録しなければならず、宅建業法上の各種義務を負います。その一方で、不動産管理(ないしサブリース)を行う場合、これに相当する義務は課されていませんでした。

新法は、一部ですが、宅建業法類似の義務(登録義務、重要事項説明義務、表示規制等)を管理業者らに課して業界の健全性を促す、という意義を有するものといえます。義務違反をした業者には、業務停止命令の他、悪質な場合には罰金、懲役刑も定められている点で、実効性のある制度といえます。

賃貸経営オーナーにも影響あり?「賃貸住宅管理適正化法」の ポイントを解説2

ただし、オーナーが注意しなければいけないのは、新法が施行されてもそれですべて安心できるということではなく、その業者が本当に信頼に値するのか、その契約を締結すべきかどうかは、これまで通り、自分で見極めなければならないということです。

新法は、管理料等の上限を定めているわけでもなく、具体的な契約の条件を縛ることを目的にしていませんし、オーナーに不利な契約を提案したことで直ちに新法に違反することにもなりません。

自分で情報を収集し、新法により必要になった重要事項説明の機会等も生かして業者に疑問をぶつけ、本当に納得できる場合にのみ契約するという自己防衛を図ることがこれからも重要だと思います。特に、契約を終わらせたい場合に支障となり得る、解約条件、違約金その他の条項については、痛い目に合っているオーナーが多いため、しっかり確認することをおすすめします。

賃貸経営オーナーが注意すべきポイント

・管理料等の上限は定められていない
・管理会社がオーナーに
不利な提案をしても直ちに違反にはならない
情報収集などをして自己防衛を図ることが引き続き重要

※この記事内のデータ、数値などに関しては2020年9月2日時点の情報です。

イラスト/黒崎 玄

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