【建築家と創る賃貸住宅】敷地の可能性に着目し、 テーマの設定で個別の魅力を創出
- マンション
- アパート
これからの時代、長く安定した賃貸経営を続けるためには、デザイン性・収益性に優れた高付加価値の賃貸住宅を創ることが求められる。建築家・平野氏に、withコロナ時代の賃貸住宅の考え方について話を聞いた。
有限会社平野智司計画工房 代表
1955年神奈川県生まれ。明治大学工学部建築学科卒。1988年有限会社平野智司計画工房を設立。累積160棟の設計を手掛ける。「プロジェクトの『個別の解答』を見い出すために、施主と共に考え続け、コンセプトを作り出したい」と語る。
敷地が持つ可能性・特性に着目し、テーマの設定で個別の魅力を創出
賃貸住宅は家賃や広さだけで選ばれる時代から、住まい手の生活スタイルによって選ばれる時代になりました。しかもコロナ禍によって人々の生活が大きく変化していますから、「家時間」をふまえた住宅づくりを考えなければなりません。
こうした状況の中で大切にしたいのが、敷地が持つ可能性を探り、魅力を引き出すこと。画一的ではなく個性のある賃貸住宅が、長きにわたり魅力を維持でき、安定経営も続けられると思います。
そこで重要になるのがテーマの絞り込みです。私はまず敷地の特性に目を向けて、立地に魅力があればそれを最大限に活かし、特筆すべき要素がない場合は設計で環境を創り出すようにしています。その上でテーマを設定し、下の事例で紹介しているプランや、楽器が弾ける防音賃貸、シングルマザー向けシェアハウスなどをご提案してきました。
さらに今後を見据え、「各住戸やロビーにリモートブースを設置」「SOHO的な単身者向け住戸」「住空間をスクリーンで緩やかに仕切るワンルーム」など、家時間の充実を図る新たなアイデアも温めています。
【事例1】奥に細長い敷地を逆手に取り、新しく楽しい住まい方を提案
間口13.6m、奥行き64.1mの細長い敷地を活かし、住まう楽しさを追求。1階住戸には外廊下から直接入れて専用庭へと続く土間スペース、2階住戸にはアウトドアリビングとして使えるインナーテラス、3階住戸にはリビングとつながる広いテラスがあり、家時間を楽しく過ごせる。絵を飾ったギャラリー風のロビーも癒しの空間。外観は白黒モノトーンで豊かな表情を見せている。
[神奈川県川崎市/ Dear Court]
【事例2】3本のケヤキの大木がシンボル。環境の魅力を活かした郊外住宅
従前から敷地内にそびえる3本のケヤキの大木を主役に、賃貸住宅と医療モールの3棟で構成。中央のケヤキの広場は開放的で、吹き抜ける風が心地よい。住戸は38㎡の1LDKを中心にメゾネットタイプも用意し、生活の多様性に対応。大きな開口部からは明るい日差しが降り注ぎ、自分らしく暮らせるシンプルで都会的な住居スタイルとなっている。
[東京都国分寺市/ K-HERITAGE]
※この記事内のデータ、数値などに関しては2021年3月4日時点の情報です。
取材・文/アトリエあふろ(菱沼 晶)
建築家による土地活用セミナーの動画を視聴できます
オーナーズ・スタイル・ネットでは定期的に建築家による土地活用セミナーを開催しています。下の【建築家セミナーを視聴する】から、これまでに開催したしたセミナー動画を視聴することができます。ぜひご覧ください。
建築家との賃貸住宅建築をサポートしています
オーナーズ・スタイル「大家さんの窓口」では、土地活用の実績が豊富な建築家をご紹介するとともに、高い付加価値を持つ賃貸住宅建築をサポートしています。
サービス内容の詳細は、下の【大家さんの窓口(建築家と創る賃貸住宅)で相談する】をご確認ください。