「デコ活」に「ずらし駅」…賃貸住宅はどう変わる? LIFULL HOME’Sが発表した2025年住宅トレンドから読み解く

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公開日:2025年1月8日
更新日:2025年1月8日
「デコ活」に「ずらし駅」…賃貸住宅はどう変わる? LIFULL HOME’Sが発表した2025年住宅トレンドから読み解く1

省エネ基準適義務化にともなう省エネ意識の高まりや団塊世代が75歳以上となる「2025年問題」など、2025年も住まいにまつわる様々な動きが予想されます。そんな中、不動産・住宅情報サービス「LIFULL HOME'S(ライフルホームズ)」が『LIFULL HOME'S 2025年トレンド発表会』を開催。2025年の住宅関連のトレンドワードとして発表した5つをご紹介します。

【デコ活】 4月からは全ての新築住宅が省エネ基準に

「デコ活」に「ずらし駅」…賃貸住宅はどう変わる? LIFULL HOME’Sが発表した2025年住宅トレンドから読み解く2

引用元:デコ活(脱炭素につながる新しい豊かな暮らしを創る国民運動) | 環境省

「デコ活」とは2050年カーボンニュートラル及び2030年度削減目標の実現に向けて、環境省が提唱している国民活動のこと。二酸化炭素(CO2)を減らす(DE)脱炭素(Decarbonization)と、環境に良いエコ(Eco)を含む”デコ”と活動・生活を組み合わせた造語です。

食品ロス削減やテレワーク推奨など生活全般のデコ活アクションを推奨する中、住まいに関する項目が最も多く6種類。具体的には、断熱住宅の他に省エネ給湯器や節水水栓の採用など、家庭でできる取り組みを挙げています。

「デコ活」に「ずらし駅」…賃貸住宅はどう変わる? LIFULL HOME’Sが発表した2025年住宅トレンドから読み解く2

2025年4月にはすべての新築住宅に省エネ基準の適合を義務付ける「建築物省エネ法」がスタート。すでに2024年から「省エネラベル」「省エネ部位ラベル」の運用も始まっており、住まい選びの判断材料として省エネがより重要になってきそうです。

ちなみにLIFULL HOME’Sに掲載された物件で、「省エネ性能ラベル」を掲載した新築賃貸住宅は2024年12月時点で1万7,682件。既存住宅の「省エネ部位ラベル」と合わせてこれからも増えていくと予想されます。

国土交通省、経済産業省、環境省が住宅の省エネ化を促す補助金制度「住宅省エネキャンペーン」も、2025年も前年度と同規模で継続することが決まっています。

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【ローカル億ション】 全国に広がる住宅価格の高騰化

「デコ活」に「ずらし駅」…賃貸住宅はどう変わる? LIFULL HOME’Sが発表した2025年住宅トレンドから読み解く2

出典・引用:「LIFULL HOME'S 2025年トレンド発表会」資料より|(株) LIFULL

LIFULL HOME’Sに掲載された東京23区の新築マンション平均価格は2024年1〜5月で1億1,862万円となり、前年同月比よりも8.4%上昇しています。

この傾向は全国に広がり、億ションのある都道府県の数は2020年時点で47都道府県中18だったのが、2024年5月までの期間で33都道府県にもなりました。

「ローカル億ション」として、旭川で初のタワーマンションとなる「プレミスト旭川ザ・タワー(北海道)」や7割以上がセカンドハウスとして購入した「プレミスト首里金城町(沖縄)」、山陰地方で初の億ション「アルファガーデン宍道湖(島根県)」などが紹介されています。

億ション販売好調の要因として挙げているのが「①富裕層の増加」「②パワーカップル&DINKsの増加」「③インバウンド需要の拡大」「④株高による資産の付け替え」。特に2021年から4割以上も円安になっていることから「海外から見ると新築マンション価格が4割以上値下がりしていることになるため割安感が強い」と分析しています。

【ずらし駅】 家賃上昇でも住居費は上げられない現実

2021年2月から2024年11月の間に東京23区のファミリー向き中古物件の掲載価格は一戸建てで18.5%、マンションは33.8%も上昇しています。特に中古マンションは7,000万円を超えて最高値を記録。

賃貸物件の掲載賃料も2024年11月で前年同月比113.1%、全前年同月比131.8%と上昇するものの、反響賃料はほぼ横ばいの状況が続いています。実質賃金指数が伸び悩む半面、消費者物価指数は上昇している状況から、住まいにかけるお金を増やすことは難しい現実が見てとれます。

そこで注目されているのが「ずらし駅」。ターミナル駅よりはやや利便性は劣るものの、賃料が安く設定されている周辺の駅への問い合わせが増加しているのです。

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例えば、京王井の頭線と小田急小田原線が乗り入れる「下北沢駅」は問い合わせ数が91.6%と前年割れしていますが、隣駅の「東北沢駅」は114.9%、「世田谷代田駅」は110.7%と伸びています。同様の現象が「立川駅」や「調布駅」周辺でも見られます。

【住まいの防犯投資】 防犯に補助金を設ける自治体も

「デコ活」に「ずらし駅」…賃貸住宅はどう変わる? LIFULL HOME’Sが発表した2025年住宅トレンドから読み解く2

LIFULL HOME’Sによる調査では、、直近1年で住宅購入意向者の約8割が「防犯への意識が高まった」と回答。さらに、もともとは一戸建てを希望していたものの、強盗や住居侵入の報道を見て集合住宅希望に変更した人が約3割もいました。

一戸建てへの窃盗の侵入口で多い箇所が「窓」と「玄関」。住宅設備メーカのLIXILのお客さま相談センターに寄せられた防犯関連の問合せ件数は2024年9月→10月で2.6倍にも急増しています。

具体的な相談内容は、「玄関ドアの鍵を防犯性の高いものに交換できないか?」「今の窓に防犯フィルムを貼付け可能か?」「今の窓に面格子は後付けできるか?」などといったもの。葛飾区や足立区など、防犯カメラの取り付けや防犯フィルムといった住まいの防犯対策に補助金を支給する自治体も出てきました。

【家じまい元年】国民の5人に1人が後期高齢者に

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団塊世代が75歳以上になり、国民の5人に1人が後期高齢者となる2025年。LIFULL HOME’Sに寄せられる売却査定依頼も、「相続」を理由とするものが5年前より7.7%増加しています。

実家を売却したときの親の年齢で最も多い層が85〜90歳。70歳前後から増え始めるため、2025年以降は多くの人が「実家をどうするか」という問題に取り組み始めることが予想されます。

しかし、住む人のいなくなった実家が売却に至っていないケースも多くあり、その理由は「特にない(面倒だ、など)」が最多という調査結果も。遠方にある実家の場合は特に、空き家のまま放置されるケースも懸念されています。

利用が予定されていない「その他空き家」は、2030年には約470万戸まで増えると見込まれています。そのため政府は空き家の発生を抑制するための特例措置(空き家の譲渡所得の3,000万円特別控除)を2027年12月31日間まで延長。適用対象となる条件も広くなりました。

まとめ

生活に密着している分野だけに、住まいについてのトレンドは、景気や世相を色濃く反映したものになります。今回LIFULL HOME’S が発表した5つのトレンドワードも、近年話題となっている世間のトピックと関連の深いものばかりでした。

なかでも省エネ化と防犯への関心の大きさは、賃貸住宅も今後は無関係では済まされなくなりそうです。賃貸住宅を対象とした補助金も増えてきており、2025年度もその動きは継続する見込みです。早めに賢く利用して、物件の差別化をはかりましょう。

※この記事内のデータ、数値などに関する情報は2024年1月7日時点のものです。

取材・文/石垣 光子

ライタープロフィール
石垣 光子(いしがき・みつこ)
情報誌制作会社に10年勤務。学校、住宅、結婚分野の広告ディレクターを経てフリーランスに。ハウスメーカー、リフォーム会社の実例取材・執筆のほか、リノベーションやインテリアに関するコラム、商店街など街おこし関連のパンフレットの編集・執筆を手がけている。

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