会員数は約700名。全国の大家さんが集まる学びの場
- オーナー事例

代表の廣田裕司さん
リーマンショックを境に、賃貸経営環境の大きな変化を受けて右往左往する大家さんが続出。大家さんがきちんと勉強ができて、情報や悩みもシェアしあえる場所を作ろうと、2011年3月に創立されたのが「行動する大家さんの会(AOA)」です。代表の廣田さんに、その活動内容を伺いました。
高い理念を掲げ、開かれたゆるゆるな体制が長く続ける秘訣

代表の廣田裕司さん
2011年3月に創立。現在の会員数は約700名。勉強会を年に数回開催し、東北や九州を始め全国各地から参加が集まる。会員登録や入会金はなく、メールマガジンに登録して勉強会に参加するスタイル。代表の廣田さんや中核メンバーの渡邊浩滋氏さん、渡辺よしゆきさんが事務局を運営する。
もっと自分たちで勉強ができるコミュニティが欲しい
行動する大家さんの会(AOA)は、2011年3月に創立された大家さんの会の先駆けの一つ。活動拠点は東京を中心にしているが、勉強会には東北や九州を始め全国から参加するオーナーも少なくない。現在の会員数は約700名に達する。
「うちは特に会員資格もないオープンな会なので、入会金や決まった会費も取ってません。メールアドレスを登録している人数がそのくらいになったということです。最近では、Facebookでイベントを告知して、1回2000円程度の参加費を支払っていただく勉強会を年に数回開いています。」
設立のキッカケは賃貸経営環境の大きな変化だった。
「2008年9月のリーマンショックを境に、それまで不動産会社に丸投げでもうまくいっていた賃貸環境が急に厳しくなり、オーナーたちが右往左往し始めました。どうにかしたいと勉強しようと思っても、当時はまだ大家さんの会はほとんど見つからなかったんです。
企業主催や業界団体のセミナーは既にありましたが、コマーシャルベースのものが中心で、講演が終わると特定の商品サービスの営業が始まる。
もっと本格的に自分たちで勉強がきてコミュニティが欲しいと思い始めたオーナーたちが、ブログを通して知り合い、2010年頃からオフ会で話し合いを始めたのがキッカケです。大家業の悩みを話せる相手がいない寂しさもあったんでしょうね。創立メンバーは6人で、私は少し遅れて後から参加しました」

“四方よし”を目指す
会のホームページには「水と空気をキレイにして、賃貸市場に係るすべての人々を幸せにする」ことを理念に掲げている。
水は、オーナーが賃貸経営する上で欠かせない知識や技能のこと。空気は、法律や税制などの賃貸経営を取り巻く環境のこと。個人のスキルアップと政策提言などによる経営環境の改善を目指したという。
「『買い手よし、売り手よし、世間よし』という近江商人の“三方よし”という格言にあやかって、“四方よし”になればいいなと、最初の頃によく話し合っていました。『入居者よし、オーナーよし、業者さんより、世間よし』と。賃貸経営には必ず業者さんもかかわってくるので、そのすべてに係る方を視野に入れているということです」

会を起ち上げた当初は50~60人だった勉強会の参加者は、4~5回目を迎える頃には100人近くに膨らんだ。勉強会のテーマは、オーナーの経験談から始まり、次第に濃密な内容に移っていった。メガバンクのエコノミストや国交省の役人を講師に招いたり、「管理会社VS自主管理」といったユニークなテーマを取り上げたり。
「塗装会社のコンサルタントを講師に大規模修繕を取り上げたときは、ネットで告知して30分で定員が埋まった伝説のセミナーでしたね。建物の症状に応じた豊富な事例を取り上げてくれました」