【建築家と創る賃貸住宅】入居者が離れられない付加価値とは?|建築家・嶌 陽一郎氏
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収益性を長く維持するために、建築家が手がけた「他にはない間取りで快適な暮らし。若者に人気の昭和レトロ賃貸住宅」、「木造でも広々とした大空間が可能。心地よく来訪者をもてなす店舗」をご紹介。入居者を離さない付加価値とは?ぜひ参考にしてほしいポイントが満載です。
株式会社DIG DESIGN 代表
1975年神奈川県生まれ。中央工学校建築設計科卒。2001年7月DIG DESIGN 設立。震災が起こる以前から構造計画に重きを置いて設計。スケッチ、模型、写真を用いて解りやすくコミュニケーションを図ることを大切にしている。
個性のあるプランで差別化を図り、入居者が離れられない付加価値を創造する
画一的で特徴のない賃貸住宅は、新築時は希望の家賃が得られても、年々下落し、20年目には大幅にダウンしているのが現状です。収益性を長く維持するために、個性のあるプランで差別化を図りましょう。
私はオーナーとの対話を大事にし、相続対策としての視点や収益性にも目を向け、付加価値の高い建物を提案しています。
下でご紹介している事例1の賃貸住宅は、相続対策で購入した土地の活用事例です。事業費は約1億円、10年ほどで回収できる計画を立案。スキップフロアの間取りや他にない建物デザインで、築7年経った今も人気です。
事例2はテナントで、1階の自転車店は修理スペースの動線・排水・配管など機能面にも配慮。2階のスタジオは、木造でも構造計画の工夫で、このように柱のない大空間をつくり出しました。
先を見据えた賃貸住宅の差別化は、奇抜な対策よりも、例えば高天井、無垢材の内装、パントリー収納、書斎、中庭など、持ち家に求められる住み心地が、高い付加価値となるでしょう。
「この住まいから離れられない」という魅力があれば、家賃にも反映でき、長期入居がかなうはずです。
【事例1】他にはない間取りで快適な暮らし。若者に人気の昭和レトロ賃貸住宅
東京都世田谷区/賃貸住宅「蔵や」
4棟1LDK×8戸の木造連棟式。昭和レトロの「蔵」をイメージした外観にモダンな内装で、和と洋の雰囲気を融合。特長は1棟を上下2世帯に分け、1世帯が3層のスキップフロアで構成していること。各棟も前後に少しずらし、各世帯の生活音に配慮。災害への備えとして将来、太陽光発電や井戸の設置も想定。階段や内装の朱赤色がアクセントになり華を添える。
【事例2】木造でも広々とした大空間が可能。心地よく来訪者をもてなす店舗
東京都世田谷区/北烏山の木造テナントビル
屋根構造に部材を三角形に組むトラス構造を採用し、建物の強度を高めながら自由度のある大空間を実現。1階店舗は、壁と天井に使った木片プレスボードの風合いで自転車が映える。リペア&カスタムスペースは、天吊りリフトなどオーナーの要望を具現化。2階のスタジオは柱のない高天井の大空間。テラスにつながる大窓は全開口できて、気持ちの良い風を感じられる。
※この記事内のデータ、数値などに関しては2021年9月9日時点の情報です。
取材・文/菱沼 晶
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