賃貸も断熱・省エネ重視の時代へ!「省エネ性能表示制度」 2024年4月施行に向けて国交省が検討会開始
国土交通省が「建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表示制度に関する検討会」をスタートさせました。これは、2022年6月の「建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律」改正を受けて、建築物の販売・賃貸時の省エネ性能に関する表示ルールを整備するもの。整備するに至った背景と今後の影響、スケジュールをまとめました。
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省エネ表示の現状と課題は?賃貸検討者の認知率は約2割
2022年の11月と12月、2回にわたって行われた「建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表示制度に関する検討会」。第1回では、現在の分譲戸建住宅・賃貸住宅において、BELS評価やZEHなどの省エネ性能表示がどの程度一般的に浸透しているのかについての状況報告が行われました。
(一社)住宅生産団体連合会が大手住宅メーカーを中心に行ったアンケートによると、賃貸住宅で回答のあった9社中、BELSについては6社、ZEHについては8社が表示していると回答。評価を取得していない場合は、その理由として「補助金が無ければメリットを打ち出しにくいこと」「お客様(オーナー)からの要望がないこと」などが挙げられています。
また、(株)リクルートのSUUMO池本編集長の資料によると、賃貸住み替え検討者のZEH認知率は約2割。ただし、コロナ禍で在宅時間が増えたことで「住宅の省エネ・環境配慮への考え方が強くなっている」と答えた賃貸居住者で4割超に。特に10-20代は5割を超えていました。
同資料には、断熱性と省エネ性について、40代は「実家よりも今の賃貸の方が高い」と答えている人が多かったのに対し、10代・20代は「実家の方が高い」という人が多いとの指摘も。1999年の省エネ基準改正、2000年の住宅性能表示スタートを経た「2001年築以降の実家に住んでいた層」は、賃貸住宅の断熱・省エネ性に不満を持っているとしています。
入居前は重視度低め→住んでから気になる「断熱・省エネ性」
SUUMOの調査では部屋を探す時の重視項目として「遮音性」と「断熱・省エネ性」は6位、7位といずれも重視度が低いものの、入居後の改善要望項目では1位と2位に上がっているとの結果が出ています。
断熱性については、入居前に情報がなく重視されていないものの、住んだ後にストレスを感じる項目として「季節によって室内の温度差が激しい」「部屋によって寒暖差が激しい」「床が冷たい、底冷えする」などの声が多くなることから、不満が噴出しているとしています。
さらに、SUUMOに掲載されている東京都内の新築一戸建ての物件のうち、省エネ性能が高いと考えられる物件(太陽光発電、認定低炭素住宅、省エネ給湯器、いずれかを満たす)は1物件あたりの問い合わせ率が、それ以外の物件の1.9倍とのデータもあります。
賃貸住宅の省エネや断熱性能に対する要望は若い人のほうが高く、入居後のストレスにつながりやすいこと、省エネ性能表示が検討者のアクション喚起につながる可能性がうかがえます。
レインズやポータルサイト等での表示はどう変わる?
第1回検討会での意見整理を経て、第2回検討会では、具体的な表示ルールやラベルイメージ等の共有が行われました。表示の時期と場所については、以下のように素案がまとめられています。(抜粋)
・建築物の販売・賃貸の広告を行う際に、広告中に当該建築物の省エネ性能を掲載することにより、販売・賃貸を検討する消費者等に対して省エネ性能を表示すること。 |
・対象とする広告は、以下の通りとする。 新聞、雑誌広告 新聞折込チラシ等 パンフレット等 インターネット広告 |
・新築建築物の省エネ性能の表示は、建築確認済証の交付後に行うものとする。 |
・この他、以下の表示を行うことが望ましい。
売買契約又は賃貸借契約の際に、当該建築物の省エネ性能を評価した書面(以下「評価書」という)を交付する等により、契約しようとする者に対して省エネ性能を表示すること。 建築物又はその敷地に評価書等を掲示する等により、建築物の利用者等に対して省エネ性能を表示すること。 |
第三者認証(BELS)を取得しない場合も、国で省エネラベルの取得ページを整備し、住宅の省エネ性能と断熱性能を示すラベルが取得できるように想定しています。
今後はレインズやポータルサイト等でも省エネ性能を登録、表示できるようにシステム改修等の働きかけが行われる予定です。具体的には、物件概要欄の固定位置に★等の段階で表示したり、目安光熱費を表示したりすることなどが検討されています。
パブコメ・とりまとめ検討会を経て、2024年には施行予定
「建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表示制度に関する検討会」は、パブリックコメントと2023年2月の第3回検討会を経て、2023年4~6月頃に関連告示の公布、2024年4月に改正法に基づく表示制度の施行が予定されています。
そもそも、この省エネ性能表示制度は2050年カーボンニュートラル、2030年度温室効果ガス46%削減という国の目標を実現するためのプロジェクトのひとつ。
しかし、表示制度によって、これまでは検討項目に入りづらかった「省エネ・断熱性能」に注目が集まり、決して良好とはいえない賃貸住宅の温熱環境が向上する日も遠くなさそうです。
今後の入居者ベネフィットには、住む人の健康にプラスになる「省エネ・断熱性能」の視点も加えてみてはいかがでしょうか。
※この記事内のデータ、数値などに関する情報は2023年1月17日時点のものです。
文/石垣 光子
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