賃貸の退去時に多い忘れ物って何?引越しで見落としがちなポイント、未然に防ぐ対策を紹介
これまで住んでいた物件の片付けや引き渡しに加えて、引越し業者への指示や転居先のことなど、とにかくバタバタしてしまいがちな賃貸住宅の退去時。アットホーム(株)が、全国の賃貸管理を主業務とする加盟店に、「賃貸の退去時に見落としがちなこと&忘れ物」についてアンケート調査を実施しました。その結果をまとめたので、対策とあわせて確認してみてください。
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「住所変更手続き」や「転送手続き」は見落とされがち!
不動産会社に「退去時に見落としがちなこと」について聞いたところ、10位までは以下のようなランキングとなりました。
賃貸の退去時に最も見落としがちなことランキング
順位 | 設備 |
1位 | インターネットショッピングの住所変更 |
2位 | 郵便物の転送手続き |
3位 | 火災・地震保険の解約手続き |
4位 | 郵便受けを空にする |
5位 | 粗大ごみの処分申請 |
6位 | ライフライン(電気・水道・ガス)の停止 |
7位 | 銀行口座やクレジットカードなどの住所変更 |
8位 | 部屋の掃除 |
9位 | 住民票の転出届 |
10位 | 運転免許書やマイナンバーカードなど身分証明書の住所変更 |
出典:「不動産のプロが選ぶ!『賃貸の退去時に見落としがちなこと&忘れ物』ランキング」アットホーム
ネットショッピングの「置き配」や「定期購入」が落とし穴に
1位は「インターネットショッピングの住所変更」。「転居先の住所へ変更せずにネットショッピングをして、前の住まいに置き配されているケースが目立つ」「郵便転送はしているけど、定期購入などがそのままになっていることがある」などのコメントが挙がっています。
コロナ禍で一気に広まったインターネットショッピングや、対面せずに荷物を受け取れる「置き配」によって、もし表札の名前が変わっていても配達員が気付かなければそのまま、ということもありそうです。また、自動的に配送される定期購入の住所変更が見落とされがちなのも納得できます。
役所と郵便局、それぞれに手続きが必要なことを知らない人も
2位「郵便物の転送手続き」についても、不動産会社から「新しい入居者から、前の入居者の郵便物が届くとよく相談がある」といったコメントが。賃貸住宅に住んでいると、前の住人の名前宛のダイレクトメールなどを受け取った経験をお持ちの方は多いと思います。
「住民票の転出・転入手続きをするだけで郵便物についても変更されていると勘違いをしている人が結構いる」とのコメントもありました。
保険は解約金返金分を知らずに手続きをせず、損している人も
3位は「火災・地震保険の解約手続き」。「入居者に解約手続きをする意識が少ない」「保険の解約をすると、保険料の一部返金があることを知らない人も多い」と、入居者に解約の手続きをする認識が薄い現状が明らかに。もし解約返戻金が戻ってくる場合でも、知らずに受け取れないままのケースも多そうです。
賃貸で引越すときの忘れ物で多い「室外のもの」「大型のもの」
「賃貸の退去時に多い忘れ物や残置物」については、以下のような結果となりました。
賃貸の退去時に多い忘れ物ランキング(10位までを抜粋)
順位 | 設備 |
1位 | 物干し竿 |
2位 | 自転車 |
3位 | 郵便物・宅配ボックスの中身 |
4位 | ベランダのスリッパ |
5位 | 掃除用品 |
6位 | 収納棚の中身 |
7位 | 蛇口につける浄水器 |
8位 | 照明器具 |
9位 | Wi-Fiルーター |
10位 | 自身で購入したシャワーヘッド |
出典:「不動産のプロが選ぶ!『賃貸の退去時に見落としがちなこと&忘れ物』ランキング」アットホーム
4位までにランクインした忘れ物が室内ではなく室外のもの。家の中にばかり気をとられ、ベランダや郵便受けまで気が回らなかったことが忘れ物の原因と思われます。「退去の立ち会い時は室内だけでなくベランダ、建物周りなども確認している」というコメントもありました。
5位の「掃除用品」や8位「照明器具」など、引越しのときにギリギリまで使うものも、最終的に持ち帰るのを忘れられがちのようです。
引越しの「忘れ物」?それとも「まぁいいか」の残置物?
2位「自転車」のように、大きいものは引越しのタイミングで特に処分に困るというコメントが目立っています。「自転車は退去のたびに溜まっていく」「普段使用していなかった壊れた自転車を置いていく人が結構いる」など、心当たりのある大家さんも多いのではないでしょうか。
故意でなくても、置きっぱなしで忘れていた自転車の存在を後から確認し、「まぁいいか」と済ませてしまう…というケースも多そうです。しかし、これは明らかにマナー違反。本来ならば、引越しが決まった時点で粗大ごみ回収の手配をしておくべきです。
自転車置き場に置かれている、明らかに使っていない自転車や壊れた自転車については、状況に応じて普段から掲示物で周知したり、撤去通知を付けて持ち主に呼びかけたりするなどの対応が必要かもしれません。
思わぬ迷惑がかかることも!後日費用を請求されるおそれあり
つい忘れてしまったことでも、退去後に不動産会社や大家さん、次の入居者の方に思わぬ迷惑をかけてしまうことがあります。エピソードを抜粋してご紹介します。
・処分の事前申請を忘れて、そのまま放置される自転車を含む粗大ごみが散見されます。 |
・両親に渡している鍵を忘れる人が多いです。 |
・電気を止めていなかったために、次の入居者が電気の契約ができなかったことがありました。 |
・退去の立ち会い日になって壁掛けエアコンやインターネットの引込線が残されていて、後日撤去工事をしてもらった。 |
・浄水器の外し忘れが最近特に多いです。また、浄水器設置の際に外した蛇口の先端部分をなくしてしまい、退去時に部品代を請求されることが多いです。 |
物件にものを残さないのは、原状回復の点で入居者の義務。しかし、ゴミのようなものでも、所有権は前入居者にあるため、処分には連絡して合意を得る必要があります。処分代金がかかる場合は前入居者に費用を請求することになり、トラブルのリスクも高まります。
必要な手続きや忘れやすい箇所は入居者にも確認のアナウンスを
退去時に確認するべき項目については、国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(再改訂版)にチェックリストが示され、それをもとに立ち会いを行う不動産会社も多いでしょう。それ以外にも、立ち会い点検リストのひな型はインターネットにも多く掲載されており、独自に作成している不動産会社もあると思います。
退去が決まった時点で、引越し日までの手続きをチェックリストにして入居者に渡している不動産会社や大家さんもいるようです。参考にしてみてはいかがでしょうか。
※この記事内のデータ、数値などに関する情報は2023年1月31日時点のものです。
文/丸石 綾野
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