新規アパートローンに金融機関は積極的?融資にあたり重視する点は?住宅ローン貸出動向調査

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公開日:2023年3月1日
更新日:2024年3月14日
新規アパートローンに金融機関は積極的?融資にあたり重視する点は?住宅ローン貸出動向調査1

(独)住宅金融支援機構が2022年度「住宅ローン貸出動向調査」の結果を公表しました。今の住宅ローンへの取り組み姿勢は?アパートローンの現状は?全体の概要と、賃貸住宅やアパートの建築・購入について、抜粋してご紹介します。賃貸物件の購入を検討されている方、これからアパート経営を始めようとしている方は必見です。

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金融機関の新規住宅ローンに対する取組姿勢は「積極的」に

新規アパートローンに金融機関は積極的?融資にあたり重視する点は?住宅ローン貸出動向調査2

2022年度「住宅ローン貸出動向調査」の期間は2022年の7~9月。回答が得られた住宅ローンを扱う金融機関300社を対象にしています。

まず、住宅ローンへの取組姿勢については、新規は「現状」「今後」ともに「積極的」と答えている金融機関が最も多く、それぞれ73.3%、75.0%となっています。前年度からも「積極的」という金融機関が増加し、直近4年間でも最も多くなりました。

今後「積極的」を選択した理由は、「貸出残高増強」「家計取引の向上」「中長期的な収益が魅力」がトップ3となっています。

また、営業戦略として重視する顧客層は年収「600万円程度」、年齢「30代後半~40代前半」、「子育てファミリー層」の「新築注文住宅」が最多となりました。

リバースモーゲージの貸出実績が右肩上がり

自宅を担保に生活資金を借り入れ、死後に売却、返済するリバースモーゲージ。このリバースモーゲージの2021年度の貸出実績(年度末残高)は計1,695億円で、前年比+7.5%と右肩上がりの傾向が続いています。

リバースモーゲージで借りたお金の使い道は、「リフォーム資金」が83.3%で最多でした。借入金を取り扱う上での課題は「高齢者及び相続人への商品説明」が最も多く、82.8%となっています。

また、その他の取扱商品として、環境配慮型住宅ローンを取り扱う金融機関が全体の約3割ありました。融資対象としては太陽光発電設備やZEH住宅が挙がっています。

景気低迷と金利上昇によりローン返済の延滞が増加する懸念も

金融機関が懸念する住宅ローンのリスクにはどんなものがあるのでしょうか。

最も懸念されているポイントが「金利競争に伴う利鞘縮小」で96.3%と9割を超え、「景気低迷による延滞増加」56.0%、「他機関への借り換え」51.7%が続きます。

前回調査からは、「景気低迷による延滞増加」(48.0%→56.0%)と「金利上昇局面における延滞増加」(30.3%→39.7%)の増加が目立っています。

金融機関の新規アパートローンへの取組姿勢に変化

新規アパートローンに金融機関は積極的?融資にあたり重視する点は?住宅ローン貸出動向調査2

賃貸物件向け融資であるアパートローンの動向はどうだったのでしょうか?

まず、新規ローンへの金融機関の取組姿勢は、「現状」「今後」ともに「自然体(現状維持)」がそれぞれ73.0%、70.0%と最も多くなっています。前年比では「現状」「今後」ともに「自然体(現状維持)」と「消極的(慎重、縮小)」が減少し、「積極的」という回答が増加しました。

借り換えへの取組姿勢も、「現状」「今後」ともに「自然体(現状維持)」が最多で、前年比では「消極的(慎重、縮小)」が減少し、「積極的」が増加しています。

前年度からの取組姿勢の変化は「特に変化なし」が69.1%で最多。「リスク管理の強化」19.8%、「採算性の見直し」9.5%がそれに続きます。

アパートローンの融資にあたって「物件の収支バランス」を重視

新規アパートローンに金融機関は積極的?融資にあたり重視する点は?住宅ローン貸出動向調査2

金融機関が今現在取扱い中のアパートローンの融資にあたって重視する点は「物件の収支バランス」が最も多く、95.2%にものぼります。収支バランスは、アパート経営の収益性を考える際に欠かせないポイントですので、当然の結果と言えます。

続いて「顧客属性(返済能力など)」86.8%、「立地(利便性)」76.8%も重要項目ですが、前回調査時とほぼ同じ割合となっています。

アパートローンを活用してどんな賃貸住宅を建てている?

アパートローンを活用して建築している賃貸住宅には、どういったものが多いのでしょうか。

取り扱う住戸タイプは、「夫婦のみ世帯向け(1LDK~2DK)」が最も多く45.9%と全体の約半数。以下「夫婦+子世帯向け(2LDK~3LDK)」24.3%、「単身・学生向け(1K~1DK)」17.6%と続きます。

連帯保証の必要性では、「自然人の保障が必要」38.5%、「連帯保証不要」29.2%が上位となっています。

また、本審査(ローン借り入れに関する正式審査)の申請から結果回答までの所要期間は、「5営業日」と答えた金融機関が29.9%で最も多く、全体の平均は6.6営業日でした。

ローンへの姿勢は前向き傾向。金融政策、金利動向には要注意

2022年度は住宅ローン・アパートローンともに積極的な取組姿勢がやや増加傾向となりました。リバースモーゲージの増加は高齢化社会を反映したものといえるでしょう。

しかし、金利上昇や景気低迷による延滞増加への懸念など、経済への不安も反映された今回の調査結果。アパートローンでの借り入れを検討されている方は、物件の収支シミュレーションはもちろん、国の金融政策や金利の動向にも注意を向けておきましょう。

※この記事内のデータ、数値などに関する情報は2023年2月28日時点のものです。

文/石垣 光子

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