建物販売・賃貸住宅の省エネ性能表示ルールを国交省がとりまとめ!大家さんへの影響は?
2022年6月に建築物のエネルギー消費性能の向上に関する法律(建築物省エネ法)が改正されたことを受けて、国土交通省では2022年11月から「建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表示制度に関する検討会」を設置し、議論を重ねてきました。この2月に行われた第3回検討会では、新たな表示ルールにおける基本的事項がとりまとめられ、ラベルのイメージなどもより明らかに。どのようなものなのか紹介します。
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建築物省エネ法が2050年カーボンニュートラル実現に向けて改正
まず省エネ性能表示強化の背景ですが、2050 年カーボンニュートラル、2030 年度温室効果ガス 46%削減(2013 年度比)の実現に向けて、2022年6月に建築物省エネ法の改正法が公布され、建築物の販売・賃貸時の省エネ性能の表示について制度が強化されることになりました。
具体的には、国土交通大臣が表示すべき事項等を告示で定め、それに従って表示していない販売・賃貸事業者には勧告等の措置が追加されています。
これを受けて国交省では「建築物の販売・賃貸時の省エネ性能表示制度に関する検討会」を開催し、表示ルール等を検討してきました。2030年度以降の新築についてZEH・ZEB水準の省エネ性能の確保を目指し、そのために省エネ性能表示の件数を増やし、消費者等の認知を拡大することを課題としています。
基本的な検討の方向性としては、
✓ 消費者等にとって分かりやすく、
✓ 販売・賃貸事業者にとって取り組みやすい、
✓ フィージブル(実現可能)な省エネ性能表示の仕組み
を目指し、そのための具体的な表示事項・表示方法等の検討を進める、と定めました。
省エネ性能の表示ルールは「告示」と「ガイドライン」で決まる
今回、表示ルールは、「告示」及び「ガイドライン」により定めるとされています。それぞれどのような役割を持っているのでしょうか。
「告知」では建築物の省エネ性能に関して「表示すべき事項」及び「表示の方法その他遵守すべき事項」を定めるもの、としています。これらは、販売・賃貸事業者が告示に従って表示をしていないとされた場合、勧告の対象になります。
「ガイドライン」は建物の販売・賃貸時の省エネ性能表示を普及拡大させるため、追加的に提供されることが望ましい情報を表示します。また、告知の内容等で解釈に幅があるものについては、運用にあたっての基本的な考え方等をガイドラインにおいて補足することができます。
例えば、共同住宅の省エネ性能は住戸/住棟いずれの評価・表示もできますが、望ましい運用ルールはガイドラインで示されます。
省エネ性能を多段階に評価!「告示」で表示すべき事項は?
「告示」では、省エネ性能に関する知識が十分にない消費者でも物件の省エネ性能を比較できるように、共通の項目を表示する必要があります。そのため、住宅については以下のような内容を表示することとしました。
・一次エネルギー消費量の性能:
省エネ基準から0~30%削減まで段階的に表示再。省エネ利用設備を設置している場合、最大50%削減まで表示可(この場合、再エネによる削減効果を加味した性能を、区別できるように表示)
・外皮性能:
断熱等性能等級(住宅品確法)等級1~7により段階的に表示
省エネ性能の表示方法、ラベルのイメージは?
表示ラベルについては、今後デザインの詳細は検討されますが、共同住宅の場合は以下のようなイメージとなります。
〇再エネ設備が設置されていない場合のイメージ
①一次エネルギー消費量の多段階表示(4段階、白抜きあり)
②断熱性能の多段階表示
③評価年月日
〇再エネ設備が設置されている場合のイメージ
①一次エネルギー消費量の多段階表示(4段階+2段階まで)
①‘ 「③の再エネ設備を設置している旨」を表示する場合は、最大6段階まで追加可能(5、6段階目は白抜きは不要)とし、再エネ自家消費を含む削減率を段階表示
※①と区別できるデザインとする
②断熱性能の多段階表示
③再生可能エネルギー利用設備を設置している場合は、その旨
④第三者評価を受けている場合は、その旨(BELSマーク、ZEHマーク)
⑤評価年月日
ラベルは、販売・賃貸時の広告に掲載する他、事業者のホームページや建築物に関する調査報告書等に掲載することとしています。
省エネ評価のない既存住宅はどうなる?
既存建造物について、建築時に省エネ性能を評価している場合は、告示に従った表示を推奨しています。
建築時に省エネ性能を評価していない既存建築物の場合はどうでしょうか。今回のとりまとめでは、「その特性を踏まえた表示を行うことができるよう、告示に定める表示事項等の代替となる表示を検討し、その結果をガイドラインに反映」するとしています。
住宅については、高断熱窓・高効率給湯機への改修を行っていることなどを広告等で表示する他、実績値に基づく表示の可能性についても、国交省・経産省連携のもとで検討していく予定です。
今後は5月の第4回検討会を経て、2024年度施行を予定
国交省ではこのあと、第4回の検討会を経て、6月頃を目途に関連告示の公布・ガイドラインの作成等を予定。2024年度の施行を予定しています。
これにより、消費者にとってより分かりやすいかたちで建物の省エネ性能が比較できます。「省エネ」という観点で物件を比較検討する人も増えてくると考えられます。
大家さんにとっては、省エネの面でも物件の価値向上を求められることになります。賃貸住宅の建築やリフォームを予定している大家さんは、今後の動きや表示ルールなどについてチェックしておくようにしましょう。
※この記事内の情報は2023年4月24日時点のものです。
取材・文/丸石 綾野
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