”南向き”重視はもう古い⁉入居者が家賃を下げるために諦める条件は?「家賃の差額が大きい条件ランキング」

2023年の飲食料品の値上げが2万品目を超え、6月にはさらに3,500品目以上、東京電力や東北電力など大手電力7社も、6月の使用分から電気料金を値上げしています。少しでも節約したい!という消費者の気持ちを受けて、賃貸住宅ではどんな条件を諦めれば家賃を抑えられるのかについて、(株) LIFULLが調査・発表しています。家賃に影響を与える条件を知り、最新のリアルな入居者ニーズをとらえましょう。
【登録はすべて無料】オーナーズ・スタイルでは様々なメディアで情報を発信中!
お役立ち情報を 週2回無料で配信中! |
約100pの情報誌を 年4回無料でお届け! |
||
オーナーズ・スタイル お役立ちメルマガ
|
賃貸経営情報誌 オーナーズ・スタイル
|
家賃に最も大きい影響を与えるのは「オートロック」の有無!

「家賃の差額が大きい条件ランキング」の1位は「オートロックあり」で、その差額はなんと月額26,000円となりました。「オートロックなし」と比べると、年間で312,000円もの差が出ます。
不要な訪問販売なども避けられるオートロックは大きな安心につながりますが、モニタ付きインターホンや防犯カメラなど、他の設備で防犯性を高めることは可能としています。
LIFFUL HOME’Sに掲載された築40年以内、駅徒歩指定無し(条件に徒歩分数が含まれていない場合)、15~40㎡の居住用賃貸物件の家賃相場を集計したランキングは次のような結果となっています。
順位 | 条件と家賃相場 | 家賃の差額 |
1位 | オートロックあり:82,000円/なし:56,000円 | 26,000円 |
2位 | 鉄筋系:83,000円/鉄筋系以外:59,000円 | 24,000円 |
3位 | 築5年未満:86,000円/築5年以上:64,000円 | 22,000円 |
4位 | 独立洗面台あり:80,000円/なし:60,000円 | 21,000円 |
4位 | 宅配ボックスあり:81,000円/なし:60,000円 | 21,000円 |
6位 | 追い炊き機能付き:85,000円/なし:66,000円 | 19,000円 |
7位 | バス・トイレ別:72,000円/一緒:54,000円 | 18,000円 |
7位 | コンロ2口以上:78,000円/1口:60,000円 | 18,000円 |
9位 | 温水洗浄便座あり:76,000円/なし:60,500円 | 15,500円 |
10位 | 2階以上:73,000円/1階:60,000円 | 13,000円 |
2位、3位には構造や築年数についての条件がランクイン
2位となった「鉄筋系」は、木造の賃貸住宅と比較すると、遮音性・気密性・耐震性・耐火性に優れているため、隣の音が気になる人や、防災面に関心のある入居者には人気の構造といえます。また、階層の高いマンションに採用されることが多い点も、家賃相場を上げている原因かもしれません。
3位の「築5年未満」はいわゆる築浅物件で、室内外・設備ともにきれいで新しいことが特徴。人気が集まりやすく、家賃も高めに設定されています。
4位から9位までは「独立洗面台」や「宅配ボックス」、「追焚機能」など、設備の有無に関する条件がランクインしています。これらは個人の好みや生活スタイルで取捨選択が分かれるところでしょう。例えば、入浴はほぼシャワーを使う人であれば追焚機能は必要ありませんし、料理をあまりしない人はコンロ1口でOK、といった判断をすると考えられます。
家賃の差額が少ない条件は?「南向き」は差額がマイナスに!
さらに、【番外編】として差額の少ない条件についても調べています。結果は以下の通りとなりました。
順位 | 条件と家賃相場 | 家賃の差額 |
1位 | 南向き:66,000円/南向き以外:72,000円 | -6,000円 |
2位 | フローリングあり:71,000円/なし:71,000円 | 0円 |
3位 | 駐輪場あり:70,000円/駐輪場なし:68,000円 | 2,000円 |
1位の「南向き」については、「南向き以外」の方が家賃相場は高くなるという結果になりました。

一般的には、日当たりがよく明るい南向きは人気が高そうですが、夏場は暑く、家具が日焼けしやすいなどのデメリットも。「南向き」人気は過去のものになりつつあるのかもしれません。
これからは方角などよりも断熱性・省エネ性が重視される時代に
最後に、LIFULL HOME’S総研チーフアナリストである中山登志朗氏がランキングについてまとめています。立地条件以外に大きなバイアスとなったポイントが「エントランスの『オートロックの有無』」であったことについて、「オートロックがない場合、賃料を大きく下げないと借り手がつかないという現実が浮き彫りになっている」とまとめています。

ただし、2位以下は生活の利便性・快適性に関わる条件であることから、テレワークによって自宅で過ごすことが増えた賃貸ユーザーが、より快適に生活できる条件を重視した結果が賃料格差に反映していると見ることもできる、と考察。
さらに、「『住宅は南向きが一番』という“方角神話”の崩れが家賃にも表れたことは大きな発見である」として、「これからは方角や借景よりも、住宅の断熱性・省エネ性が問われる時代になる」としています。
空室を作らないためにも、従来の考え方からシフトし、今の入居希望者に選ばれるための仕様・設備を整えていきましょう。
※この記事内の情報は2023年6月7日時点のものです。
取材・文/石垣 光子
【登録はすべて無料】オーナーズ・スタイルでは様々なメディアで情報を発信中!
お役立ち情報を 週2回無料で配信中! |
約100pの情報誌を 年4回無料でお届け! |
||
オーナーズ・スタイル お役立ちメルマガ
|
賃貸経営情報誌 オーナーズ・スタイル
|