入居者同士の騒音トラブルが発生。どう対応するのが正解?

入居者トラブル発生時にどう対応すべきか。成功したオーナーが揃って口にする鉄則は、「迅速な対応」と「共感の態度」です。「苦情の発生は、顧客満足を得るよい機会にできる」とも言います。正しい対応をすれば、入居者とより良い関係を築くことができるからです。

入居者トラブル発生! 問題に真摯に向き合い、迅速な対応と共感の態度を示す

入居者同士のトラブルが起こった時、オーナーはどう対応すればいいのでしょうか? また、トラブルの予防策はあるのでしょうか?

トラブル対応に失敗してしまった、あるオーナーの例を紹介します。

 

ある日、アパートの1階に住む入居者から、「2階の部屋の足音がうるさい」と、苦情が入りました。オーナーは「管理会社に言ってくれ」と返しただけで、自身では何の対応も取りませんでした。

オーナーが何もしないので、1階の入居者は管理会社に苦情を入れました。

しかし、管理会社は、過去にこの入居者との間にあったやり取りを踏まえて、「あの人は神経質な人だ」と偏見を持って決めつけていました。そのため、のらりくらりとかわすだけで、こちらも適切な対応を取りませんでした。

入居者同士の騒音トラブルが発生。どう対応するのが正解?2

そんな状態が続いたある日、業を煮やした入居者は、ついに自ら2階に駆け上がり、問題の部屋に怒鳴り込みました。その剣幕に驚いた2階の入居者は、大慌てで退去していきました。入居して、まだたった数カ月でした。

話はこれだけでは終わりません。「オーナーも管理会社も相手にしてくれない」と疑心暗鬼を募らせた1階の入居者は、2階に次の入居者がくると、早速些細な物音をつかまえて怒鳴り込み、前回同様の剣幕で凄んだのです。

2階の入居者は、恐怖を感じてすぐに退去してしまいました。

オーナーは「もしも新しい入居者を入れて、何か事件でも起きたら」と、それ以降、次の募集を行うのを完全に諦めてしまいました。

 

この例は、どこに失敗の原因があるのでしょうか?

それは、トラブルに対して「迅速な対応」ができず、苦情を入れた入居者への「共感の態度」もなかったことです。

苦情は基本的に管理会社が受ける体制でしたが、入居者にとって大事なのは不満が早く解消されることで、形式は二の次。オーナーは面倒から逃げたかったのか、問題に真摯に向き合う姿勢を見せず、管理会社に丸投げしました。そして、手痛いしっぺ返しを食らったのです。

入居者同士の騒音トラブルが発生。どう対応するのが正解?2

入居者トラブルは入居者の満足度を上げるチャンス

成功しているオーナーがほぼ100%口を揃えて言うのは、「苦情や不満の発生は、顧客満足を得るよい機会にできる」ということです。

そのための鉄則が、「迅速な対応」と「共感の態度」。

入居者の中には神経質な人もいますが、そうであっても相手を区別せず、まずは迅速に動き、共感の態度で接することが何よりも肝心です。そうすることで、入居者との間に信頼関係が生まれ、より良い関係性を築くチャンスにできるかもしれないからです。

 

とは言え、迅速な対応と共感の態度ではどうにもならない、明らかな不良入居者が相手の場合もあるでしょう。そういう人にはできるだけ早く退去してもらわないと、他の入居者がどんどん退去しかねません。

そんなリスクを減らすために予め取れる対策としては、「定期借家契約」があります。借地借家法の規定に縛られずに、契約期間の満了をもって入居者に退去してもらうことができます。

さらに、不良入居者対策には「マナー同意書」も有効です。

契約の際、賃貸借契約とは別に、その物件に暮らす上での生活マナーやルールについて、書面で同意をもらうのです。不良入居者発生の抑制だけでなく、「これにサインをした人が住む物件なら安心」と入居促進にもつながります。

 

また、騒音トラブルの一つの予防策として、「既存入居者への声掛け」があります。例えば、小さな子どもがいる家族が入居する場合、周りの入居者にオーナーから事前にそれを伝えておくのです。

「今度、元気な小さいお子さんのいらっしゃる家族が入居します。少々うるさいこともあるかもしれませんが、ぜひご寛容にお願いします。我慢できない時は、遠慮なく私に言ってください」。

このように伝えておけば、事情を知らずにいきなり騒音を立てられた場合より、周囲の反応は和らぎ、不満も溜まりにくくなるでしょう。

文/木村 元紀

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