フリーランスの約半数が賃貸探しで困りごとを経験!入居審査や選べる物件にも障害あり
LIFULL HOME'Sが、住まい探しが困難な「住宅弱者」に対して開設している『FRIENDLY DOOR』。その対象カテゴリーに「フリーランス」が追加されました。フリーランス・個人事業主は果たして住宅弱者なのでしょうか?その根拠となった実態調査の結果を抜粋してご紹介します。
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年収300万円以上でもフリーランスの46.5%は「賃貸探しで苦労」
住まい探しに関する調査では、収入額ではなく属性による差を比較するため一定の収入(年収300万円以上)がある全国のフリーランスと正社員を対象にしています。
「フリーランス・個人事業主であることで、賃貸物件探しにおいて困ったことや苦労したことがあるか」という質問では46.5%、約2人に1人が「ある」と回答しました。
年収が300万円以上あったとしても、フリーランスの約半分が賃貸物件探しで苦労した経験を持つことが分かりました。
会社員との比較では入居審査や物件の選択肢に課題
次に、賃貸物件探しの各段階において、困ったことや苦労したことを複数回答で質問。会社員との差が大きい順に並び替えたところ、以下のような結果になりました。
・入居審査に通るか不安だった
フリーランス27.3%:会社員20.9% ⇒ 不安の差6.4%
・自分の状況をどこまで開示すべきか分からなかった
フリーランス16.0%:会社員11.2% ⇒ 不安の差4.8%
・自分の条件に合う物件が少ないと感じた
フリーランス32.6%:会社員28.7% ⇒ 不安の差3.9%
同程度の年収帯の正社員と比べると、フリーランスは入居審査や情報の開示に不安を感じている人、条件に合う物件が少ないと感じている人の割合が多くなっています。
「賃貸物件を探し始めてから契約までにかかった時間」についてはフリーランスの17.1%が「賃貸物件を探したものの、契約に至らなかった」と回答。正社員は7.7%であることから、住み替えを希望しながらも断念した人が、フリーランスは正社員の2倍以上いることになります。
「家主さんが不安がる」と不動産会社の担当者に言われたフリーランスの人も
「フリーランスとして賃貸物件を探した際、困ったことや苦労したこと」についての具体的なフリーコメントでは、次のようなものが挙がっていました。部屋探しの段階で「フリーランスOK」の物件が少なく、苦労したという声が多数見られます。
「貸してくれる家主やマンションの管理会社が少なく、希望物件が見つからなかった」
「フリーランスだと、お手頃な物件は何故か契約しにくい感じだった」 「なかなか希望にあった物件がなかった。必須としている条件を無視した物件を紹介された」 「希望の物件が少なかった」 「自分の事をどこまで話すか迷った。フリーランスと分かった途端、不動産屋の担当者の対応が悪くなった気がした」 |
また、ようやく物件を見つけても、いざ契約というタイミングで困難に直面したフリーランスの方も多くいました。
「審査に必要な書類が多かった」
「個人事業主をしていると話すと、具体的な仕事内容や収入についてかなり根掘り葉掘り聞かれた。あまりにしつこいので不安になっていると、『個人事業主の方だと家主さんが不安がるので、どのような人なのか安心して貸すことができるのか調べて教えなければならない』と言われた」 「ダブルワークの場合、合算の収入で評価してもらえるのか、はっきり分からなかった」 「希望した賃貸物件に対して、大家さんが自分たちとは別の希望者を選んだ」 |
調査の結果について『FRIENDLY DOOR』事業責任者である龔 軼群(キョウ イグン)氏は、一定以上の収入があるフリーランスの約2人に1人が「住まい探しで困難を感じた」という実態の一方で、物件の空室率が上昇している現状は「社会構造の歪みといえる」とコメントしています。
1,500万人を超えたフリーランス人口。コロナ禍で市場が大きく拡大
最後に、フリーランスをめぐる市場についてですが、ランサーズ(株)の『新・フリーランス実態調査 2021-2022年版』によるとフリーランス人口は1,577万人、経済規模は23.8兆円。
2020年1月の調査ではフリーランス人口は1,062万人、経済規模は17.6兆円だったことから、コロナ禍でフリーランス市場は大きく拡大したことになります。さらに、2015年と比較すると人口は68.3%(640万人)、経済規模は62.7%(9.2兆円)も増加しました。
また、フリーランスの33.5%にマネジメント経験があり、77.1%が「自身の仕事に対してプロフェッショナルな意識を持っている」と回答。業務経験豊富で仕事への意識が高いフリーランスも増えているようです。
「企業に正社員として勤務する入居者は、家賃滞納などの可能性が小さく安心」…大家さんの立場からすれば、そう感じてしまうことも否定できません。しかし、フリーランス市場がここまで大きくなった昨今、プロとして高収入を得ているフリーランスも一定数存在しています。
フリーランス=不安定と一概に決めつけず、入居希望者の実情をしっかり把握しつつ柔軟に募集チャンネルを開いておくことが、空室対策のひとつとなるかもしれません。
※この記事内の情報は2023年8月2日時点のものです。
取材・文/石垣 光子
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