賃貸入居者が部屋探しでこだわる条件とは?こだわらなくてもよかった条件、実際に問い合わせが多かった条件も調査
住む場所に望む条件には、その時々の流行や、ときには社会情勢が反映されるもの。特に賃貸住宅ではそれが顕著です。例えばコロナ禍では、宅配ボックスアやインターネット環境のニーズが一気に高まりました。最近の賃貸入居者のこだわり条件はどのようになっているのでしょうか?この夏に発表された調査結果を見てみましょう。
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賃貸一人暮らしのこだわり条件1位は「バス・トイレ別」
(株)AlbaLinkが7月に実施したアンケート調査によると、一人暮らしをしたことがある人(全国の男女・10~60代500人)が部屋探しのときにこだわった条件の上位は以下のようになっています。
1位 | バス・トイレ別 | 54.6% |
2位 | 2階以上・高層階の部屋 | 39.4% |
3位 | 交通アクセスの良さ | 35.8% |
4位 | オートロックあり | 23.8% |
5位 | スーパー・コンビニが近い | 23.2% |
6位 | 家賃が予算内 | 10.0% |
7位 | 希望の間取り・広さであること | 9.8% |
8位 | 日当たりの良さ | 6.8% |
9位 | 建物の構造・防音性 | 6.0% |
10位 | 室内洗濯機置き場あり | 5.2% |
1位は「バス・トイレ別」で、以下のようなフリーコメントが挙がっていました。
・風呂に入る際、トイレが近くにあるのが嫌(20代 男性)
・友人を呼ぶことが多かったので、トイレとお風呂は分けたかった(30代 女性)
・衛生面が気になるから(40代 女性)
バスとトイレがまとまっているユニットタイプは、衛生面や来客時に気になるという人が多いようです。
女性は「2階以上」「オートロック」など防犯面を重視
男女別では、5位までは全体と同じですが7位の「希望の間取り・広さであること」が同率6位に、9位に「コンロ2口以上」、10位に「周辺の治安がよい」がランクイン。
また、男性よりも「2階以上・高層階の部屋」が28%ほど、「オートロックあり」が20%ほど高くなっています。やはり女性は治安面を気にする人が多いようで、関連するフリーコメントには次のようなものがありました。
また、男性よりも「2階以上・高層階の部屋」が28%ほど、「オートロックあり」が20%ほど高くなっています。やはり女性は治安面を気にする人が多いようで、関連するフリーコメントには次のようなものがありました。
・友人が1階に住んでいて、下着を盗まれたことがあったので(30代 女性)
・1階の部屋は、賃貸物件の前を通る人や車に覗かれそう(40代 女性)
・女性の一人暮らしだったので、「2階にしたほうがいいですよ」と不動産屋さんにすすめられた(50代 女性)
男性については全体・女性のみでは5位であった「スーパー・コンビニが近い」が2位で、9位に「駐車場あり」、10位に「角部屋」が入っていました。
いざ住んでみたら「こだわらなくてもよかった」条件は?
それでは、実際に住んでみてから、こだわらなくてもよかったと思った条件はなんでしょうか?上位は以下の通りとなっています。
1位 | 2階以上・高層階の部屋 | 12.0% |
2位 | 希望の間取り・広さであること | 8.0% |
3位 | 交通アクセスの良さ | 7.6% |
4位 | バス・トイレ別 | 7.0% |
5位 | オートロックあり | 6.6%(同率) |
5位 | スーパー・コンビニが近い | 6.6%(同率) |
7位 | 日当たりの良さ | 4.4% |
8位 | 新築・築年数が浅め | 4.0% |
「こだわった条件」では2位であった「2階以上・高層階の部屋」が1位でした。2階以上の部屋は階段やエレベーターの移動、引越し作業に手間がかかることもあり、侵入されそうでなければ1階でよかったと思う人が多いようです。
2位の「希望の間取り・広さ」もいざ住んでみると広すぎて使わない部屋ができたり、掃除が大変だったと感じたりした人も。「こだわった条件」1位の「バス・トイレ別」も4位に入っており、やはり掃除の大変さがネックに。「湯船につかりたいときは銭湯や温泉に行けばいいと思った」という意見もありました。
実際に問い合わせが多かった条件 半年前よりも増えているのは?
次に、アットホーム(株)による「2022年下半期 問合せが多かった条件・設備~賃貸編~」ランキングを見てみましょう。条件編・設備編に分けて質問しているのですが、条件編では以下が上位となっていました。
1位 | 通学先・通勤先の近くに引っ越したい | 34.0% |
2位 | 転勤のため引っ越したい | 33.1% |
3位 | ペット可物件に引っ越したい | 32.4% |
4位 | 毎月の家賃を下げたい | 31.6% |
5位 | 今より部屋数を増やしたい | 24.0% |
「通学先・通勤先の近くに引っ越したい」が1位で、2022年上半期の23.7%から10.3%も増えていました。「テレワーク業務が減ってきたので通勤に便利なところに引っ越したいという方が多かった」というコメントの通り、通勤に便利な場所への引越しを考えた人が多かったようです。5位「今より部屋数を増やしたい」も半年前の33.3%より1割近く減っており、仕事場が自宅からオフィスに戻りつつあります。
しかし、一方で「テレワークの企業が増えている」というコメントもあり、多様な働き方が浸透してきているようです。また、コロナで冷え込んだ景気の回復、というにはまだまだですが、「毎月の家賃を下げたい」も前回36.4%から今回31.6%と、少し減っています。
問い合わせの多かった設備は「駐車場」「ネット無料」「オートロック」
最後に、設備編では以下のような結果となりました。
1位 | 駐車場 | 38.1% |
2位 | インターネット接続無料 | 31.3% |
3位 | オートロック | 30.0% |
4位 | 洗面所独立 | 27.9% |
5位 | モニタ付きインターホン | 26.6% |
1位「駐車場」に関しては前回調査時の半年前とほとんど変わらない割合であることから、一定のニーズが見てとれます。
2位の「インターネット接続無料」は前回50.9%から大幅にダウン。これは、今回から新しい項目として「通信速度の速いインターネット環境」が追加され、16.4%で10位に入っていることも要因として考えられます。
「インターネット料金が無料の物件は人気がある」、「インターネット無料がマストという方もいる」といったコメントの通り、無料はもはや必須レベルで、そのうえで、速度の速いネット環境を求める人が増えたということなのでしょう。
こちらの調査はすべての賃貸物件を対象にしているため、先ほどの「一人暮らしでこだわった条件」とはまた異なる結果となっています。
しかし共通する設備(条件)に「オートロック」があり、不動産会社からも「セキュリティーを重視する方が多い」というコメントが多数寄せられているとのこと。間取りや年代に関わらず、防犯に関する設備はニーズが高いことが分かりました。ぜひ今後の空室対策の参考にしてください。
※この記事内の情報は2023年8月16日時点のものです。
取材・文/石垣 光子
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