「家賃の高い駅ランキング」では市場規模が把握できない

まず調査背景として、家賃の高い駅をランキング形式で示しても、居住者が比較的少ない駅が上位を占める傾向があることについて触れています。

例えば、SUUMOに掲載されている家賃相場を見てみると2023年9月25日現在、千代田区の平均家賃は23区で2番目に高い10.3万円ですが、賃貸物件の表示件数は2,204件。一方、世田谷区の平均家賃は7.1万円と、千代田区より3万円以上安いものの、物件数は14,308件と7倍近くもあります。

そこで、リーウェイズ(株)ではエリア別の家賃データに、実際に賃貸住宅に居住している人数のデータを掛け合わせることにより、賃貸マーケットの規模を算出。賃貸市場規模をエリアごとのランキングとして発表しました。

※データ内の賃料平均値は、シングルからファミリー層向けまで幅広い範囲を対象に同社で独自集計したものからの出典、民間賃貸に住む世帯数は2020年の国勢調査からの出典となっています

東京都1位は23区内で2番目に広いあの区。市場規模は2,684憶円

それでは実際にランキングを見てみましょう。東京都の賃貸市場規模の上位5位は次のような結果となりました。

1位は世田谷区で、賃貸世帯数が市場規模に反映した結果となっています。6位以下は渋谷区、板橋区、品川区、中野区、江戸川区。都心3区と言われる千代田区、中央区、港区はトップ10圏外となりました。

市部では八王子市の賃貸市場規模が最も大きく、調布市、府中市が続きます。

神奈川県では横浜と川崎の区部が多くランクイン

「住みたい街」などのランキングで23区をおさえてランクインすることが多い横浜市のある神奈川県ではどうでしょうか。トップ3は以下のような結果になりました。

1位は川崎市と隣接し、横浜市で最も人口の多い港北区。4位以下は川崎市高津区、川崎市川崎区、横浜市鶴見区、川崎市多摩区と川崎市の区が多くランクインしています。3位の藤沢市以外のトップ10は、横浜市と川崎市の区に占められました。

埼玉県は川口市、千葉県は市川市が賃貸市場規模1位に

神奈川県とは違い、市が多くランクインしているのが埼玉県と千葉県の特徴です。ぞれぞれのトップ3は以下の通り。

4位以下はさいたま市南区、川越市、草加市、戸田市が続きます。

4位以下は柏市、千葉市中央区、浦安市、流山市、市原市が続きます。千葉県の賃貸市場規模は大きく、中でも市川市は1,004億円と、東京以外の首都圏3県では最大の市場規模となりました。

駅別ではトップ5に新宿区の駅3つがランクイン

最後に、駅別の賃貸市場規模ランキングを見てみましょう。対象の駅からおおむね10分以内（800ｍ）の範囲を対象に、駅ごとの賃料平均値と民間賃貸に住む世帯数の関係から推計した結果は、以下の通りです。

※平均賃料（円/月）、市場規模（億円）

リニューアルされた大塚駅北口駅前広場

1位に輝いたのは、池袋の隣駅で商店街も充実していて生活がしやすい大塚駅。

6位以下には東中野（JR中央・総武線、中野区）、浜町（都営新宿線、中央区）、森下（都営大江戸線、江東区）、初台（京王線、渋谷区）が続きます。

市区別では世田谷区が1位でしたが、駅別トップ10では世田谷区にある駅は10位に代打橋（京王線）がランクインしたのみ。トップ5のうち3つが新宿区の駅という結果でした。

ランキングではこの他に、主要路線の状況として各路線の駅ごとの市場規模がグラフで示されています。エリアごとのおおよその賃貸市場の需要や規模を把握し、土地活用・不動産投資の判断材料として活用してみてはいかがでしょうか。

※この記事内の情報は2023年9月27日時点のものです。

取材・文／石垣 光子

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