省エネ・耐震などの物件情報を求める入居者の数が過去最高値に。大家さん要注目の『住宅居住白書』
9月23日「不動産の日」にちなんで(公社)全国宅地建物取引業協会連合会(全宅連)と(公社)全国宅地建物取引業保証協会(全宅保証)が「2023年住宅居住白書」を発表しました。全国の20歳〜65歳の男女の住まいに関する意識を調査し、定点で比較したこちらの白書。最新の結果にはどのような特徴があったのでしょうか。
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昨年から10pt以上も減少!持ち家派or賃貸派?
最初に、「不動産の買い時・住み替えのポイントに関する現状調査」として、今の住まいに関係なく「持ち家派」「賃貸派」どちらかを聞いた調査の結果を見ていきましょう。
結果は、持ち家派が67.5%と過半数を超えましたが、昨年度の77.9%から10pt以上減少。調査を開始した2015年から、初めての60%台となりました。ちなみに「賃貸派」は17.4%で、その理由としては「住宅ローンに縛られたくないから」「税金や維持管理にコストがかかるから」「不動産を所有しない身軽さが良いから」が上位3位でした。
持ち家・賃貸にかかわらず、今後住み替えを検討する際に重視するポイントは、半数近くが「購入金額・賃料」「周辺・生活環境がよい」と回答しています。3位は「交通の利便性」で、「間取り」や「日当たり・住宅の向き」などの部屋に関する条件より、その物件のある環境が重要視されているようです。
6割の賃貸入居者がハザードマップを見たことあり。関心は年代と比例
続いては「住まいと天災に関する意識調査」としてハザードマップの認知度を調べています。ハザードマップを「見たことがある」と答えた賃貸入居者は60.6%、「どんなものか知っているが、住んでいる地域のマップは、見たことがない」と答えた人が23.2%で、合わせて8割を超える人がハザードマップを知っていることになります。
しかし、年代別に見てみると、20代のハザードマップを見たことがある人は、60代の半分以下。年代が下がるのに比例してハザードマップを見たことがある人が少なくなります。若い人ほどハザードマップは身近ではないようです。
天災に対する住まいの意識について聞いた質問では、回答のトップ3が「築年数や構造(免震・耐震)について考えるようになった」「緊急避難場所や防災マップ・ハザードマップを意識するようになった」「地盤などの状況を意識するようになった」で、それぞれ3割以上が選んでいました。一方で4人に1人が「特にない」を選択しています。
住まい探しでは住宅性能と防災についての項目の回答割合が上昇
もし物件を購入するとしたら、物件情報の入手の際、基本情報以外にほしい情報についても聞いています。上位回答は以下の通りとなりました。
1位 | 物件の写真 | 55.6% |
2位 | 物件の品質情報(省エネ・耐震等) | 39.1% |
3位 | 周辺物件の相場物件 | 39.0% |
4位 | 周辺の防災情報 | 30.1% |
5位 | 物件周辺の医療機関の情報 | 26.4% |
このうち昨年度から回答割合が増加しているのが「物件の品質情報(省エネ・耐震等)」と「周辺の防災情報」、「物件周辺の医療機関の情報」。特に品質情報は11.6ポイント、防災情報は6.5ポイント増加し、調査を始めてからの最高値となりました。
今後求めていく住まい方については、「介護が必要になっても年金の範囲内で安心して暮らし続けられる住まいの整備」が最多でした。
年代別では40代から「介護が必要になっても年金の範囲内で安心して暮らし続けられる住まいの整備」、30代以下は「職場の近くで住まう職住近接の推進」が最多でした。30代までは通勤のしやすさ、40代からは老後を意識した住まい探しが始まるようです。
住まい探しのパートナーである不動産店に求めることは?
家の売買や部屋の賃貸をするときには、不動産店選びも重要なポイントとなります。不動産店に重視するポイントを聞いたところ、1位は「優秀な担当者」で4人に1人に選ばれています。担当者に期待することを聞いたところ、上位は以下のような結果となりました。
1位 | 分かりやすい説明 | 23.7% |
2位 | メリットだけではなく、 全て隠さず情報を伝えてくれること |
21.7% |
3位 | 丁寧な接客 | 15.3% |
4位 | 取引に関する法律や制度などの 知識が豊富なこと |
8.3% |
住まい探しにおいては、担当者の分かりやすい説明や信頼感、丁寧さや知識が求められています。不安や疑問を解消してくれる接客がポイントのようです。
まとめ
ここまで見てきた通り、「住宅居住白書」によって「持ち家or賃貸」への意識のバランスの変化や、防災や住宅性能に対する意識の高まりが物件選びに反映される傾向が明らかになりました。
入居者にとって住まい選びで重視するポイントの最優先が「購入金額・賃料」なのは変わらなくても、省エネ・耐震等の住宅性能が妥協するポイントからは外れ、それらに対する不満が住み替えの原因となることも考えられます。
来年4月には改正建築物省エネ法が一部施行され、建物の販売・賃貸時の省エネ性能表示が必要となります。不動産情報サイトなどでもZEH水準や目安光熱費などの入った省エネ性能ラベルの表示が始まるため、これらの情報が住まい探しにおいてより重視される傾向は、これからも高まるでしょう。
社会の動きと不動産に対するニーズは常に連動しています。時代に合わせた賃貸経営を続けていくためにも、省エネ改修など住宅性能アップを試みるには、様々な企業が省エネ性能を高める商品を提供しており、ちょうど良いタイミングともいえますので、ぜひご検討ください。
※この記事内のデータ、数値などに関する情報は2023年10月10日時点のものです。
文/石垣 光子
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