【子世代大家さん座談会】親世代からの賃貸経営引き継ぎの成功と失敗

  • 相続、節税、保険

賃貸経営を取り巻く環境の変化とともに、世代交代が進みつつある。今、活躍している二代目、三代目大家さんに、どのように事業を引き継いできたのか、失敗談や成功したエピソードを話し合っていただいた。

水谷紀枝さん

管理物件:遠隔地にある親名義の不動産(駐車場、店舗、レジデンスなど)18件を委託管理。自己所有も2棟あり。一般社団法人日本不動産経営協会所属


越水隆裕さん

管理物件:5棟66室、自主管理。空室対策やDIYリフォームを行う傍ら、町おこしや異業種交流でも活躍。42歳。賃貸UP-DATE 実行委員会・代表


野口裕樹さん

管理物件:3棟25室、駐車場4ヶ所を、自社で管理。不動産仲介管理会社アクトプロパティ(株)代表。39歳。行動する大家さんの会所属


わが家はこうして引き継いだ

――事業を引き継いだ経緯は?

野口 私は5歳頃から、祖父に連れられて「ここにマンションが建つんだよ」と現場を見せてもらっているうちに、自然に建築が好きになりました。不動産会社に就職して売買・管理など、いろんな部署で実務を学び7年前に独立。祖父は100歳まで長生きしてくれて、私が管理を引き継ぎ、一緒に相続対策を考え実行しました。家業で忙しく不動産自体に興味がなかった両親を挟まず、祖父から孫の私へ一世代飛び越えた結果、うまく引き継げたと思います。

越水 27歳の時「早いに越したことはない」と通帳一つ渡されて、親名義の物件管理を任されました。洋裁店を営む父は職人気質で「背中を見て学べ」と何一つ教えてくれず、私は知識も経験もなかったので、初めは嫌でしたね。大家は何でもするものだと、集金から修繕・簡単なリフォーム、滞納家賃の回収まですべて現場で身に付けました。30歳まで管理会社があることすら知らなかったくらい、叩き上げのボンボンです(笑)。様々な工夫をするようになり、ここ4〜5年で賃貸管理の面白みがわかってきました。

水谷 私は一人っ子なので、いずれ物件管理を任されると頭ではわかっていました。いつまでも娘気分でいるうちに、父が85歳を過ぎて弱ってきたことにハっと気付き、やらなきゃと思って腰を上げました。自分名義の2棟を購入して大家業は経験していますが、店舗や駐車場を含む不動産の管理は初めて。半年前に親から管理を引き継いで、あわてて大家さんの会に入って勉強し始めた新米です。私は地元から離れて住まいを構えているので、遠隔での管理をいかに上手くやるか、試行錯誤しています。

経営安定化のため独自の改繕をプラス

――自分の代で改善したことは?

越水 父の代から懇意にしている協力会社の職人さんは60〜70代のベテランで、いろんな技術を教えてくれました。でも、設備トラブルなど緊急対応のために30〜40代の職人さんとのつながりも新たに作っています。単純に時代が違うと思うので、内装デザインも自分のやり方をする。それで赤字になるとしかられるので、利益が出る努力をし続け、父からの信頼を勝ち取っています。

野口 祖父は不動産会社任せの所があったので、私もやり方を全部替え、自分の会社で管理しています。築30年以上の築古物件をフルリノベーションしたとき、祖父の発想にはなかったみたいで「随分と大胆にお金を使うな」と言いつつ、孫の私には寛容でしたね。でも、親戚で長い付き合いの税理士を替えた時は祖父から苦言が出ましたけど(苦笑)。

水谷 父からは建具の調整や簡単な修繕、駐車場の白線引きなどを教わりました。嫁入り道具として工具一式も(笑)。私は、親の代ではしなかった相見積もりをしたり、設備をネットで購入して施主支給をしたり、少しずつ自分のやり方を採り入れています。本格的に取り組むのはまだこれから。遠隔管理だと、地域慣習の違いや温度差にとまどうことも多いですね。良いパートナーを見つけるのがカギだと思います。

引き継ぎは、タイミングとコミュニケーションが大事

――引き継ぎで大切なことは?

野口 早いうちから経験を積ませるのは必要だと思いますが、本人の適性もあるでしょう。若い時は親に反発するケースもあるので、いろんな機会を作って会話をしながら、親子双方がうまく歩み寄れるのがベストですね。

水谷 そう、タイミングが来ないと空回りする。コミュニケーションが一番大切だと思います。

越水 自分の地元でも、子どもに任せると嫌がるから先に売ってから死ぬという大家がとても多い。でも私たちは手放さない努力、ポジティブに継がせるための作戦をやるべきだと思います。5歳の息子と2歳の娘がいますが『お父さんがやっている賃貸管理という仕事はすごく楽しいよ』という価値観を植え付けたい。子どもが就職を考えるときに「好きなことを自由にやれ」と言いながら、自然にウチに戻ってくるようにできれば。

水谷 小さい頃から不動産を継ぐ話に触れて免疫があったほうがいいかも。それがないと相続財産を売却した資金で浪費したり、それに頼る生活になってしまうかもしれません。

越水 これから賃経営を引き継ぐ者として、情報はたくさん入れておくべきです。情報は良い宝物だと思う。そのために大家の会で活動して、経験者や士業の方の話も聞いています。できるだけ多くの人と知り合うことが大切です。

大家さん仲間をつくろう!大家さんが主宰する主な大家さんの会「首都圏エリア」

一般社団法人 日本不動産経営協会(JRMA)

賃貸経営の経験年数25 年以上のベテラン経営者が30%、10 年以上の経験者が80% を占め、全員が事業的規模で経営。少人数のグループ活動も活発。

活動頻度・内容:毎月1回の例会・懇親会と年1回の合宿を定期開催。ほか物件見学会・体験会など
代表理事:山崎和子さん・本橋浩さん・秋田智雄さん
発足:1981 年 会員:100 人
入会金:5 万円 会費:3 万円/年
入会:現在新規申し込み停止

行動する大家さんの会

「賃貸市場の【水(賃貸経営の知識・技術)】と【空気(賃貸市場の諸問題)】を改善し、関わる全ての人々を幸せにする」を理念に活動。「行動」を大事にする。

活動頻度・内容:年1~2回、勉強会や懇親会を開催
代表:廣田裕司さん
発足:2011 年 会員:700 人
参加費:2000 円/回
入会:ホームページから会員登録

賃貸UP-DATE 実行委員会

大家さんと不動産会社さん・賃貸に関わる全ての方々の中から賃貸業界をUPDATEしていこうという志を持った革新者(かくしんもの)達の集まり。

活動頻度・内容:セミナーは年3回程度、勉強会や物件見学会は毎月開催。ほか懇親会やDIY 体験会など
代表:越水隆裕さん
発足:2014 年 会員:735 人
参加費:2000 円/回
入会:メンバーからの紹介が基本

エレガント・オーナーズ

女性不動産投資家・女性大家さんのための交流・勉強会。北海道から沖縄まで、新築・中古・一棟・区分などの賃貸経営をしている様々な女性オーナーが集まる。

活動頻度・内容:月2 回程度、セミナーやワークショップを開催
代表:五十嵐未帆さん
発足:2013 年 会員:600 人以上
参加費:2~4000円/回、懇親会費別途
入会:ホームページから会員登録

スムスム君

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