賃貸住宅が“終のすみか”となる時代へ。増える「高齢入居者」の受け入れを考えてみよう

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公開日:2023年12月26日
更新日:2024年2月2日
賃貸住宅が“終のすみか”となる時代へ。増える「高齢入居者」の受け入れを考えてみよう1

高齢者の賃貸入居に対する“こわい”というイメージが、実態以上に膨らんでいるオーナーや管理会社が少なくありません。実は、リスクの正体を“見える化”すれば、恐れるに足りません。賃貸が“終のすみか”になりつつある今、前向きに取り組む機運が高まっています。

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お話しを伺いました
賃貸住宅が“終のすみか”となる時代へ。増える「高齢入居者」の受け入れを考えてみよう2

株式会社ハウスメイトマネジメント、公益財団法人日本賃貸住宅管理協会 あんしん居住研究会委員 伊部尚子氏

仲介店勤務を経て管理の現場に配属され、約800 世帯の管理業務を担当。高齢者の住まい問題に長年取り組み、公益団体の居住支援関連の研究会委員を歴任。

高齢者マーケットは着実に拡大しているが…

部屋探しの現場が近ごろ変わってきたと、賃貸仲介管理のベテラン・伊部さんは指摘します。

「以前は65歳を過ぎて年金生活になった単身の高齢者は入居できないことがほとんどでしたが、今や80代の方も仲介店舗の店頭まで部屋を探しに来ます。現場も慣れてきて60代なら普通に案内して申し込めることが多いですし、70代前半なら保証会社の審査が通るケースも少なくありません」

地方に住む一人暮らしの親を呼び寄せて、息子・娘の家の近くに住まわせる近居ニーズも増えています。それでも高齢者へ部屋を貸すことに前向きなオーナーは少数派です。

高齢入居者のメリット

しかし、高齢入居者にもメリットはあります。例えば、入居期間が長く、公的年金や民間保険で一定の収入が確保され、安定経営につながる人も多くいます。若い層から敬遠されがちな1階を好む傾向も。元気な70代も増えているだけに、年齢だけで決めつけるべきではありません。

「古くなり空室も長引いていて、リフォームの余裕もないなら、高齢者の受け入れを考えてもいいでしょう。将来、生活保護を受ける可能性に備えて、地域で定められている住宅扶助の上限額ぐらいまでの部屋なら需要は高いと思います」(伊部さん)

リスクヘッジで不安払拭

賃貸住宅が“終のすみか”となる時代へ。増える「高齢入居者」の受け入れを考えてみよう2

「なんとなく不安な方も、リスクの正体が分かれば対応できます」と伊部さん。行政や業界の支援策も整備され始め、具体的な対処法も見えてきました。高齢入居者に関わるリスクは次の4つに大別できます。

①入居中の「滞納」

賃貸住宅が“終のすみか”となる時代へ。増える「高齢入居者」の受け入れを考えてみよう2

リスク:入居中の家賃が支払われない

連帯保証人が必須のケースは減り、家賃債務保証会社を利用して審査が通ればOKというのが主流。

「保証会社も、一律に年齢制限で門前払いせず、収入の有無で審査してくれます。緊急連絡先は、身内か近親者だけでなく、友人・知人でも審査を受け付けてくれる会社が増えました」(伊部さん)

対策|家賃保証が必須

高齢入居者の審査に柔軟な保証会社も増えています。住宅セーフティネット法に基づく居住支援法人に登録された事業者に相談するのも手。近くに身寄りがいない入居者は、「緊急連絡先代行サービス」を利用してもらう方法もあります。

②入居中の「認知症」

賃貸住宅が“終のすみか”となる時代へ。増える「高齢入居者」の受け入れを考えてみよう2

リスク:生活トラブル・近隣トラブルの発生

意思疎通・判断能力を失うと解約など法的手続きができなくなります。

「高齢者に関わる困りごとは、自治体が福祉・医療の対応を総合的に扱っている地域包括支援センターに相談してください。異変を感じたら早めに連絡を」(伊部さん)

対策|速やかに行政につなぐ

認知症が進んでからでは遅いです。普段から地域包括支援センターや行政の担当課とつながりを持ち、少し様子がおかしいと感じたら連絡を取り合います。掛かりつけ医、利用中の介護サービスの施設を把握しておくのも良いでしょう。

③死亡後の解約・残置物処理

賃貸住宅が“終のすみか”となる時代へ。増える「高齢入居者」の受け入れを考えてみよう2

リスク:解約までの家賃・荷物処分費用

入居者が亡くなると借家権と残置物は相続されるため、勝手に処分できません。相続人が特定できない場合は探索する必要があります。

「時間も費用もかかるのが、大きなネック。この課題解消のために、国土交通省と法務省が2021年に『残置物処理等に関するモデル契約条項』を発表しました。賃貸借契約に上乗せする形で、死後事務委託契約を結べるようにした注目すべき仕組みです。現在、より使い勝手が良いものに改定する検討がなされ始めました」(伊部さん)

対策|死後事務を契約時にクリアに

「残置物処理に関わるモデル契約条項」に基づいて、賃貸借契約に併せて死後事務委任契約を結んでおきましょう。受任者に対して契約解除の代理権を付与し、相続人に送付する残置物のリスト化などを取り決めます。

④孤独死

賃貸住宅が“終のすみか”となる時代へ。増える「高齢入居者」の受け入れを考えてみよう2

リスク:原状回復費用の発生・空室期間の家賃収入損失・家賃値下がり

以前は事故物件の範囲や告知期間が曖昧でしたが、2021年に国土交通省が『死の告知に関するガイドライン』を公表。原則的に告知対象は自殺・他殺で自然死・不慮の事故は不要。ただし、発見まで時間がかかり特殊清掃を実施した場合は告知対象になると示しました。

「これを機に『早く見つければ事故物件にならない』というモチベーションが高まって、各種見守りサービスの利用が増えてきました。告知期間は3年という目安が初めて出たのも画期的です」(伊部さん)

対策|早期発見につとめる

特殊清掃が必要でない自然死・不慮の事故は原則として告知不要のため早期発見が重要に。監視カメラのような“見張られ感”のない「見守りサービス」を活用しよう。万一、発生した場合にかかる費用は孤独死保険・少額短期保険でカバー。

賃貸が“終のすみか”に。オーナーも経験値をアップ

オーナー自身が高齢入居者に対して前向きなら、管理会社に受け入れの意思表示をしておくことも大切。何も伝えていないと管理会社側で気を使って高齢者を避ける可能性もあるからです。その際「〇歳までで保証会社の審査が通ること」などの条件を具体的に提示しておきます。

高齢入居者へのリスクヘッジの必要性は、新規入居時の高齢者に対してだけではありません。実は、今はまだ入居者が若くても、高齢入居者対応は他人事ではないのです。長期に入居している間に高齢化するケースもあります。

賃貸住宅が“終のすみか”となる時代へ。増える「高齢入居者」の受け入れを考えてみよう2

要介護認定されて行政の福祉サービス担当がつくまでは健康状態を見守る人がいないだけに、オーナーや管理会社が、入居者の状態に配慮したいところ。契約更新時に健康状態をヒアリングし、緊急連絡先・連帯保証人の更新も重要です。

「賃貸住宅が“終のすみか”になる時代がもう来ています。高齢入居者の対応は、誰もが避けて通れない道。今から高齢者対応の経験値を積んでおくとよいでしょう」(伊部さん)

※この記事内のデータ、数値などに関する情報は2023年11月25日時点のものです。

文/木村 元紀

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