賃貸物件のセキュリティ設備の最新動向!人気の設備や家賃相場の差額、普及率は?
一人暮らしの人が多く住む賃貸物件では留守になる時間も長いため、窃盗や空き巣に対するセキュリティ設備のニーズが年々上がっています。賃貸住宅のセキュリティ設備はどんな設備が人気で、人気設備が導入されていることによる家賃相場の差額はどのくらいなのでしょうか?(株)LIFULLが調査した結果とともに、設備の設置以外に賃貸オーナーができる防犯対策をご紹介します。
セキュリティ人気設備の2強は「TVモニター付きインターホン」「オートロック」
賃貸物件探しのポータルサイト「LIFULL HOME’S」には、物件探しの検索条件を「できれば/必須」で優先順位付けをして検索できる『できれば検索』という機能が搭載されています。
そこで物件を探す際に、「必須」の選択率が高い順にランキングしたところ、トップ3は以下のような結果となりました。
1位 | TVモニター付きインターホン | 75.5% |
2位 | オートロック | 73.8% |
3位 | 防犯カメラ | 49.3% |
1位 | オートロック | 72.4% |
2位 | TVモニター付きインターホン | 71.1% |
3位 | 防犯カメラ | 49.8% |
トップは入れ替わっていますが、上位3位の顔ぶれは同じでした。両エリアとも「TVモニター付きインターホン」と「オートロック」が3位の「防犯カメラ」を大きく引き離しています。
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各設備の普及率はどれくらい?最も高いのは「オートロック」
次に、「必須」選択割合の高いセキュリティ設備トップ3である「TVモニター付インターホン」「オートロック」「防犯カメラ」について、設置されている賃貸物件の割合を調査したものが以下です。
TVモニター付き インターホン |
オートロック | 防犯カメラ | |
東京23区 | 68.0% | 72.2% | 48.0% |
大阪 | 63.3% | 74.9% | 56.1% |
どちらのエリアも「オートロック」の設置率が最も高く、「TVモニター付インターホン」は大きな差はありません。しかし「防犯カメラ」については大阪が56.1%であるのに対し、東京23区では48.0%と半数を下回っています。
設備による家賃の差額は?築年数や物件グレードにも関係あり
各設備について、それぞれの有無は家賃相場にどのくらい影響しているのでしょうか。各セキュリティ設備が「ある」物件と「ない」物件で家賃相場を出し、その差額でランキング化したものが以下となります。
|東京23区
設備名 | あり 家賃相場 |
なし 家賃相場 |
差額 | |
1位 | オートロック | 101,000円 | 73,000円 | 28,000円 |
2位 | 管理人駐在 | 122,000円 | 98,500円 | 23,500円 |
3位 | 防犯カメラ | 105,000円 | 85,000円 | 20,000円 |
|大阪府
設備名 | あり 家賃相場 |
なし 家賃相場 |
差額 | |
1位 | オートロック | 69,000円 | 50,000円 | 19,000円 |
2位 | TVモニター付 インターホン |
69,000円 | 55,000円 | 14,000円 |
3位 | 防犯カメラ | 69,200円 | 59,000円 | 10,200円 |
どちらも1位は「オートロック」ですが、これは相対的に築浅の物件に設置されていることが多いため、それが家賃相場に反映されたのでは、同調査では分析しています。
また、調査対象は賃貸物件全体で、オートロックや管理人駐在は主にマンションの設備であることから、マンション/アパートの区別も家賃相場の結果に影響していると思われます。
入居者が自分でできる防犯対策にはどんなものがある?
セキュリティは必要ですが、予算によってはセキュリティ設備が完備している賃貸住宅に住むことができるとは限りません。賃貸住宅の入居者が自分でできる防犯対策もあります。
例えば、玄関先の表札や郵便受けにフルネームなどの個人情報が分かるものを表示しない、洗濯物が外から見えない工夫をする、郵便物は宛名部分をシュレッダーにかけてからゴミに出すことなどが挙げられます。外から見えるカーテンの色や柄は、性別や年齢などが推測しづらいものを選ぶ方が無難かもしれません。
また、市販の防犯グッズを活用することもできます。壁などに傷をつけずに固定できるタイプの補助錠を付けて、二重ロックにしておくと安心です。
警察庁によると、3階建て以下の共同住宅の窃盗犯侵入経路は、1位は「無締まり」で2位が「ガラス破り」でした。不在時は雨戸を閉める他、窓ガラスに防犯フィルムを貼るなどの対策をしておきましょう。
設備の導入以外で防犯レベルを上げるためにできることは?
セキュリティ設備を設置する以前に、賃貸オーナーや管理会社にもできることがあります。基本ではありますが、築年数が古くても、管理が行き届いた印象を常に保つことです。
管理がされていない、もしくはそのような印象を与える賃貸物件は、入居者の住環境への関心も低く、空き巣や泥棒に狙われやすくなります。共有部分は常に清潔に保つようにしましょう。
自転車置き場に壊れた自転車やホコリをかぶった自転車が放置されていないか、郵便受けにチラシや紙くずが散乱していないか、植栽が枯れていないかなどがチェックポイントです。
また、エントランスを中心に共用部分の照明はなるべく死角ができないように設置することや、電球が切れていないかどうかも重要です。防犯には、犯罪を行いにくい環境をつくることが第一なのです。
自主管理ではない場合も、このような点に配慮のある管理会社を選ぶと良いでしょう。所有物件の防犯レベルを高めるために、ご自身の状況に合った対策を検討してみてください。
※この記事内のデータ、数値などに関して本記事は、2024年5月15日時点の情報をもとに制作しています。
文/石垣 光子
ライタープロフィール
石垣 光子(いしがき・みつこ)
情報誌制作会社に10年勤務。学校、住宅、結婚分野の広告ディレクターを経てフリーランスに。ハウスメーカー、リフォーム会社の実例取材・執筆のほか、リノベーションやインテリアに関するコラム、商店街など街おこし関連のパンフレットの編集・執筆を手がけている。
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