家賃が上昇傾向の首都圏。敷金や礼金も上がっている?「敷金・礼金」最新動向調査からひも解く
物件価格の上昇にともない、賃貸物件の賃料も上がり続けている首都圏。賃貸物件に住み始めるときにかかる敷金・礼金も上がっているのでしょうか。首都圏(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県)の敷金・礼金の動向を調査したLIFULL HOME'Sのレポートから抜粋してご紹介します。
2024年1~3月の繁忙期、首都圏の賃料は?
敷金・礼金の前にまず、2024年の繁忙期の賃料推移を見てみましょう。ワンルーム、1K、1DK、1LDK、2Kを「シングル向き」、2DK、2LDK、3K、3DK、3LDK以上を「ファミリー向き」として、LIFULL HOME’Sがまとめた主要都市の平均家賃は以下の通りです。
全体的に掲載平均賃料は上昇傾向にあり、特に東京23区ではシングル向き物件が初めて10万円を超え、ファミリー向け物件でも2023年3月からの1年間で3万1,967円も上昇しました。
ここで言う掲載賃料とは、新しく入居者募集をするときの募集賃料を指しています。そのため入居中の方にとっては新たに住み替えるときに、同じ条件で探すと賃料が高くなってしまうことになります。
LIFULL HOME’Sによる同月の反響賃料は前年同月比102.6%(+4,303円)。賃料の上昇にユーザーのニーズが追い付いていないことから「今後も募集賃料のみ上昇が続けば、差し迫った事情がない場合の退去が減り、入居期間が長期化する可能性もありそう」と分析しています。
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「敷金0物件」の割合はどう推移している?
賃料の上昇幅が大きいなかで、部屋探しを行った方のイニシャルコストはどのように変わったのでしょうか。まずは敷金ですが、敷金0(ゼロ)の物件の割合を賃料帯別にみると、賃料20万円未満の物件に関しては増加傾向にあります。
特に賃料10万円未満の物件では、2018年に35.6%だったところが2023年には53.2%と過半数を超えました。一方で、20万円以上の物件では、2018年から増加傾向にあったものの、2023年は10.1%と、2022年の10.5%から減少に転じています。減少とはいえ、2018年の3.5%からは約3倍になっています。
LIFULL HOME’S総研チーフアナリスト 中山氏は「敷金は原状回復費用として活用されることもあるが、近年は修繕費トラブルとして注目されやすく、賃貸人(大家)からすると使いにくいお金となっている」と考察しています。
資金の平均値は高賃料帯を中心に減額傾向!
「敷金あり」物件の平均敷金についても、全賃料帯でコロナ禍の2020年から2021年に大きく減り、その後は緩やかに減少し、停滞している状況です。
最も高いのが20万円以上の賃料帯で、平均1.18カ月分。2018年の1.52カ月分から0.34カ月分も減少しました。
他の賃料帯では敷金相場は大きく変わらず、平均敷金は1.06カ月~1.08カ月分です。以前は敷金を賃料の2カ月分に設定する物件が多かったものの、現在は1カ月分とする物件が大多数を占めていることから、最頻値に近づいた結果となりました。
「礼金0物件」の割合は?敷金とは異なる傾向
同様に、礼金0(ゼロ)の物件の割合を賃料帯別に見たところ、敷金と違って直近のすべてが減少となりました。最も「礼金0物件」が多いのは10万円未満の賃料帯で、45.7%と半数弱が礼金なしに設定されています。
「礼金0物件」が最も少ないのは10万円以上15万円未満の家賃帯で、2018年は38.2%あったところが、2023年は24.7%。4件に3件は礼金有りの物件ということになります。
礼金は全賃料帯で1カ月分を超える水準に増額
礼金の平均値についても同様で、「礼金あり」物件の平均額は全賃料帯において上昇。賃料10万円未満が家賃の1.01カ月で、その他の賃料帯は1.13~1.14カ月分が平均です。
敷金と同様に、「賃料の1カ月分」としている物件が最も多いことが分かりますが、2020年~2021年から少しずつ上がっていることから、今後は「賃料の2カ月分」とする物件も増えていくかもしれません。
まとめ
物件の原状回復に使われる敷金については、どの部分をどちらが負担するかといったトラブルになりやすい傾向もあって「敷金0」とする物件が増えているようです。
一方で、入居者に返還されないことが前提の礼金は、徐々に金額が引き上がりつつあることが分かりました。
敷金や礼金が安くなれば入居の敷居が下がり、空室が埋まりやすくなるというメリットがあります。しかし、保証金の役割をもつ敷金がなければ、もし滞納があったときや原状回復が必要なときに大家さんの負担になってしまいます。また、礼金の減額は、そのまま大家さんの収入減になります。
そのような事情を反映してか、敷金を0にする代わりに別途「クリーニング代」といった項目の費用を契約時に求めるケースが増えており、その基準が不明確なことから国民生活センターへの問合せも多くあるようです。
敷金や礼金については単純に「ある/ない方がいい」「高い/安い方がいい」というものではなく、どちらにしてもメリットとデメリットがあります。近隣の物件ニーズや家賃とのバランスを考慮したうえで判断するようにしましょう。
※この記事内のデータ、数値などに関する情報は2024年5月29日時点のものです。
文/石垣 光子
ライタープロフィール
石垣 光子(いしがき・みつこ)
情報誌制作会社に10年勤務。学校、住宅、結婚分野の広告ディレクターを経てフリーランスに。ハウスメーカー、リフォーム会社の実例取材・執筆のほか、リノベーションやインテリアに関するコラム、商店街など街おこし関連のパンフレットの編集・執筆を手がけている。
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