住宅価格高騰のなかで多い住み替え先は賃貸?持ち家?今後3年以内の住み替え意識は20代で半数、30代で3割
物価や光熱費の値上がりに加えて、住居費の高騰が話題になる昨今。過去3年の、また今後3年の人々の住み替え意識はどのようなものなのでしょうか。三井住友トラスト・資産のミライ研究所による「住まいと資産形成に関する意識と実態調査」(2024年)より、令和の住み替え事情の結果がリリースされています。
住宅価格は全国的に上昇傾向。特にマンションが高騰
まずは最近の住宅事情を見てみましょう。国土交通省の「不動産価格指数(令和6年4月30日公表)」によると、2024年1月期の不動産価格は2010年を100として住宅地は115.2、戸建住宅は118.2、マンション(区分所有)は197.9と、全体的に上昇し、特にマンションの値上がりが目立ちます。
売買の影響を受けて、賃貸住宅の家賃も上昇傾向にあります。こちらはアットホーム(株)のデータで、2024年5月のファミリー向き賃貸マンション・アパートの家賃が集計対象の全13エリア※で前年同月を上回りました。50㎡~70㎡以下のファミリー向き物件を中心に最高家賃を更新し続けています。
※対象全13エリア…首都圏(東京23区、東京都下、神奈川県、埼玉県、千葉県)、北海道札幌市、宮城県仙台市、愛知県名古屋市、京都府京都市、 大阪府大阪市、兵庫県神戸市、広島県広島市、福岡県福岡市
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約3割が過去3年で住み替えを実施。20代は半数にも
このような状況のなか、三井住友トラスト・資産のミライ研究所が全国の18~69歳に行った「住まいと資産形成に関する意識と実態調査」(2024年)によると、全体の27.0%が過去3年以内に住み替えを実施。特に20代が最も多く51.7%と半数を超えています。30代ではで約4割、40代で約3割、50代・60代でそれぞれ約1.5割と続きます。
住み替えの選択先について、20代では「持ち家→賃貸」と「賃貸→別の賃貸」が85.8%を占めています。「持ち家→賃貸」は実家からの住み替えも含まれるものと推測されますが、約9割が賃貸への住み替えをしたことになります。
特に30代で16.2%、40代で17.9%と「賃貸→持ち家」に住み替える人が増加。50代・60代では「持ち家→別の持ち家」への住み替えが過半数になっています。
住み替えの理由は、賃貸に住み替えた20代は「勤務先への通勤を考えたため」と答えた人、持ち家に住み替えた20代は「家族構成の変化(結婚、出産、子供の成長等)を考えたため」と答えた人が最も多くなっています。
今後3年以内に住み替えを予定している人は約2割
それでは今後3年以内の住み替え意向はどのようになっているのでしょうか。全体のうち住み替え予定の人の割合は22.0%ですが、20代では約半数にあたる46.9%が住み替える予定と回答しました。
30代で約3割、40代では2割弱、50代と60代では約1割と、年代が上がるにつれて住み替え予定の割合は少なくなっていきます。
全年代で約4割が今後3年の持ち家への住み替えを予定
今後3年間の住まいについては、全体で「賃貸→別の賃貸」の割合が最も多く、54.5%を占めていました。
しかし、住み替え予定者のうち約4割(40.8%)は持ち家への住み替えを予定。このうち、「賃貸→持ち家」「持ち家→別の持ち家」の割合はほぼ半々でした。不動産価格が高くても、持ち家への意向は一定数あるものと思われます。
30代以上では「持ち家→別の持ち家」といった二次取得の割合も増加していきます。一方で、少数ではあるものの「持ち家→賃貸」も40代で5.5%、50代で8.9%となっています。
年代で異なる住み替え理由。50代から「終の棲み処」へ
住み替え理由については、年代や住み替え先でも異なります。
賃貸に住み替える20代は、「勤務先への通勤を考えて」(40.3%)と答えた人、持ち家へ住み替える20代は、「家族構成の変化を考えて」(39.4%)と答えた人が最多に。これは、過去3年間の住み替え理由とも同じです。30代、40代でも同様の傾向が見られ、ライフスタイルの変化に合わせた住み替えを予定していることがわかります。
50代では少し異なり、賃貸への住み替え予定の理由は、「住環境を考えて」(21.0%)が、持ち家への住み替え予定では、「終の棲み処と考えて」(25.9%)が最も多くなります。
60代は賃貸への住み替えは「住居費が高いため」(27.0%)、持ち家へは、「終の棲み処と考えて」(39.7%)と答えた人が最多に。将来を見据えてコストも意識していることが分かります。
まとめ
過去3年の住み替えや今後の住み替え予定からも、2〜3割の流動があることが分かりました。しかし住み替え意向は年代が上がるにつれて少なくなり、年代や住み替え先によって理由も異なります。
住み替えについては初期費用がネックになることも多く、高齢になるにつれて住まい探しや引越しの負担も大きくなっていきます。(株)LIFULLが60歳以上の方を対象に行った「高齢者の住み替え検討調査」によると、「元気なうちに住み替えたい」と考える人はわずか2割以下に留まっていました。
60代以上は他の年代に比べると、持ち家率が高く住み替え意向は低いものの、1人暮らしになったことで賃貸に住み替える人は今後増えるものと思われます。物件のエリアや仕様にもよりますが、来るべき超高齢化社会に備えておきましょう。
※この記事は2024年7月24日時点の情報をもとに作成しています
記事・文/石垣 光子
ライタープロフィール
石垣 光子(いしがき・みつこ)
情報誌制作会社に10年勤務。学校、住宅、結婚分野の広告ディレクターを経てフリーランスに。ハウスメーカー、リフォーム会社の実例取材・執筆のほか、リノベーションやインテリアに関するコラム、商店街など街おこし関連のパンフレットの編集・執筆を手がけている。
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