賃貸物件に住みにくさを感じている人が9割以上⁈入居者に長く住んでもらうために大家さんができることとは

「入居希望者は見つかるけど、定着率が低くすぐ空室になってしまう」―そんな賃貸物件は、入居者に住みづらさを感じさせてしまっているのかもしれません。部屋探しの時は妥協したものの、住んでみて「やっぱり暮らしにくいから引っ越したい」と感じる賃貸物件の条件について、(株)AlbaLinkのアンケート調査をご紹介します。入居者に長く住んでもらうために大家さんができることを把握しておきましょう。
賃貸住宅に住んでいて「住みにくい」と感じたことがある人は96.8%
まず、賃貸物件に住んだことがある人に「賃貸物件で住みにくいと感じたことはあるか」という質問をしたところ、「ある」と答えた人が96.8%にのぼりました。調査に協力してくれた人のほとんどが何らかの住みづらさを感じていることになります。
仮に持ち家だとしても「間取りや設備のすべてが完璧」と思える住まいの実現は難しいもの。ましてや賃貸物件では、自分の好きなようにカスタマイズすることも難しく、住みにくさを感じる場面が多いのでしょう。
住みにくい賃貸物件の設備第1位は?
具体的に、どのような部分に住みにくさを感じているのかをランキングで見てみましょう。上位は次のような結果になりました。
住みにくい賃貸物件の間取りや設備(複数回答) | ||
1位 | ユニットバス | 25.4% |
2位 | 収納が狭い | 25.2% |
3位 | キッチンが狭い | 15.9% |
4位 | ロフトがついている | 7.4% |
5位 | 動線が悪い | 5.9% |
6位 | ワンルーム | 4.7% |
7位 | 温水洗浄便座がない | 3.8% |

「住みにくい賃貸物件の間取りや設備」の1位は「ユニットバス」で、2位が僅差で「収納が狭い」でした。
ユニットバスへの不満としては「掃除がしづらい」「衛生的に不安」「一人の時は気にならないけど、誰かが泊まりに来た時に困る」などの意見が挙がっていました。
収納や一口コンロ、うまく活用できないロフトにも不満

2位の収納については「収納家具を置く必要があるため部屋が狭くなった」「生活スペースに物を置くため散らかって見える」「一軒家からの引越しで荷物が多すぎた」などのコメントがありました。
3位の「キッチンが狭い」は、一口コンロの料理のしづらさや調理器具や食材を置く場所がないことへの不満がほとんど。1人しか入れないことから、家事動線がうまくいかないことに悩む声もありました。
動線に関しては、5位にも「動線が悪い」が挙がっていますが、こちらについては「料理中、居間にいる子どもの様子が分からない」というキッチンの問題をはじめ「お風呂が遠く、冬場は冷えてしまう」などのコメントが。水まわりと居室の位置関係に使いづらさを感じている人が多いようです。
スペースを有効活用できるロフトについては、「収納としては荷物の上げ下ろしが大変」「寝室にしたら寝ぼけて落ちそうになった」「夏は暑くて眠れなかった」という声が挙がっています。最初はかっこいい!と思ってロフト付きの部屋を借りたものの、最終的にはほぼ使っていなかったという人もいるようです。
住んでみて便利さを実感した設備は「宅配ボックス」
逆に、部屋探しの時はそこまで強く意識していなくても、住んでみて「あってよかった」と便利さを感じた間取りや設備にはどんなものがあるのでしょうか。
住んでみて便利だった賃貸物件の間取りや設備(複数回答) | ||
1位 | 宅配ボックスつき | 21.8% |
2位 | 収納が多い | 11.0% |
3位 | オートロックあり | 7.4% |
4位 | 浴室乾燥暖房機つき | 6.4% |
5位 | 1K | 6.1% |

1位は「宅配ボックスつき」で、「宅配ボックスは必需品」というコメントも。「置き配でも盗まれる心配がない」「日中は仕事で荷物を受け取れないため助かる」と、多くの人から便利さを実感する声が挙がりました。
一方で、「宅配ボックスで住民同士が揉めていた」というコメントの通り、物を入れっぱなしにして他の人が使えなかったり、数が足りなかったりすることでトラブルになる可能性もあるようです。
2位は「住みにくい」ランキングを反映するように「収納が多い」という結果に。収納は賃貸物件選びで重視されていることがわかります。
「部屋が狭くても収納があればスッキリ暮らせる」「引越しごとに収納家具を買い替えずにすむ」というコメントも。外ロッカーや玄関収納があったため、とても便利だったという人もいました。
防犯性で支持の高い「オートロック」「浴室乾燥暖房機」

3位の「オートロックあり」と4位「浴室乾燥暖房機つき」については主にセキュリティ面での安心感に対して、女性からの支持が多く集まっていました。
オートロックがあると不審者の侵入も防ぎやすく「セールスや勧誘が来ない」というメリットがあります。浴室乾燥暖房器についても、洗濯物を外に干さずに済むため防犯面で安心です。また、「冬にお風呂の寒さがやわらいだ」というコメントもありました。
5位の「1K」については、「キッチンの臭いや煙が部屋に入りにくい」点を評価する人と、「掃除がラク」「なんでも手が届く」といったコンパクトさゆえの暮らしやすさを評価する人がいました。同じ単身用でも、ワンルームより1Kの人気が高いことがわかります。
入居者に長く住んでもらうために大家さんができること
今回の調査から、多くの入居者が「収納の少なさ」や「ユニットバス」「狭いキッチン」などに住みにくさを感じていることが分かりました。こうした不満は、一度住み始めてからでないと気付きにくいポイントでもあります。
長期的に入居してもらうためには、入居者目線に立った改善が欠かせません。例えば以下のような改善策が考えられます。
最も多くの不満が寄せられたユニットバスは、バス・トイレを分離することで大きな改善が期待できます。費用はかかりますが、若年層や女性を中心に「トイレと風呂は分かれていて当然」と考える人も多く、退去率の低下にもつながります。
押入れの中に棚を増やす、玄関にシューズラックを設置するなど、簡単な改修でも「物がしまえる安心感」を与えることができます。
一口コンロを二口にする、シンク横に調理台スペースを確保するなど、限られた空間でも工夫次第で利便性がアップします。
ロフト付き物件は、初見の印象は良くても実用性に不満が出やすい設備です。あらかじめ使い方の提案(季節家電や布団収納など)を提示しておくと、実際の使用イメージが湧きやすくなります。
上記に加えて、宅配ボックスやオートロックの設置など、安全・利便性を高める設備投資も検討してみてください。特に単身女性や社会人層からの支持が高く、長期入居につながりやすい改善策ですので、試してみる価値があります。
また、新規入居者を呼び込むためにできることとして、設備や間取りに限らず、「安心感」や「快適さ」を感じてもらえる情報発信がキーになります。狭いキッチンでも「一人暮らしにぴったり」とポジティブに打ち出すなど、ネガティブポイントを逆手に取る工夫や、「収納が多い」「防犯性が高い」「在宅ワーク向け」など、物件ごとの強みをターゲット層に合わせてPRしていきましょう。
※この記事内のデータ、数値などに関する情報は2024年4月2日時点のものです。
取材・文/石垣 光子
ライタープロフィール
石垣 光子(いしがき・みつこ)
情報誌制作会社に10年勤務。学校、住宅、結婚分野の広告ディレクターを経てフリーランスに。ハウスメーカー、リフォーム会社の実例取材・執筆のほか、リノベーションやインテリアに関するコラム、商店街など街おこし関連のパンフレットの編集・執筆を手がけている。
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