物件に最適なリノベーション会社、選び方のポイントと段取り

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公開日:2018年9月1日
更新日:2019年11月18日

工事内容が明確な契約を結ぶ

「数百万円を超える工事にもかかわらず、総額と工事期間だけを記載したぺら1枚の『発注書』しかないことも多いです。工事の大小によらず、きちんとした工事請負契約を結ぶべきです」(田中さん)

契約には工事変更や工期遅延の際の取り決めなどを詳細に定めた約款・詳細見積書・仕様書・設計図面を添付する。工事代金をいつ、いくらずつ支払うかを契約書に明記することも大切だ。契約時・着工時・完了時など2~4回に分けて払うのが一般的で、なるべく「出来高払い」にするのが望ましい。

工事変更は必ず記録を残す

話は前後するが、室内の間取り変更、「2戸1合体」など大がかりなリノベの場合、入居者全員に退去してもらい一度に工事する方が、工事自体のコストや手間は軽くなる。ただ、事前準備や立ち退き費用との兼ね合いもある。空室部分から順番にリノベするのと、どちらが有利かは、個別に検討する。

また、入居中に工事を進める場合、退去防止のために、事前の告知、工期中の音や臭いの注意喚起などこまめな配慮が重要だ。パートナー会社選びではこうした対応に慣れているかもポイントの一つ。

「また、工事中の現場を見て仕様を変更する場合もあるので、後で『言った、言わない』のトラブルにならないよう、必ず書面で記録を残しましょう」(山見さん)

アフターサービスも重要

工事が完了すると施主検査を経て引き渡しになる。その際、入居者目線でチェックすることも大切。設備機器の稼働の有無、内装の見栄えなども意外に気にされるところだ。見えない部分や、工事の精度について心配な場合は、専門のホームインスペクター(住宅診断士)に完成検査立ち会いサービスを依頼するのもいいだろう。不良部分の修正工事が終わって納得してから最終代金を支払う。

引き渡しの際には、契約時に定めたアフターサービスに関わる書類をもらい、再度内容を確認する。残金精算が終わると、突然対応が悪くなる会社もある。入居者のクレームに繋がらないよう、引き渡し後も迅速できめ細かなフォローをしてくれる会社を選んでおくことが大切だ。

リノベーション前に確認すべき、費用面のポイント

①リノベーション・建て替え両方の収支シミュレーションをした結果、資金繰りに問題がないか

借り入れの「ある/なし」で試算し、損益と資金繰りの両面をチェック。減価償却費とローン利息の変化による税負担の増減、赤字経営の危険性を検証。

②リノベーションの投資額を5年後までに回収できるか

資金回収の期間は、借り入れなしで5年以内、借り入れありで10数年以内が目安。例えば9坪の部屋を坪単価20万円でリノベーションすると、工事費は180万円。この投資額をその後の賃貸経営3~5年で回収できればよい。

リノベーションの基本的な段取り

  • 段取り1(工事完了の約1年前) 建物診断、リノベーションか建て替えかの判断

    建物の劣化状態、設備配管類の傷み具合を調査し、補修の必要性・時期・費用を明らかにする。耐震性などの構造面、法規制の問題を含め、どうするかを決める。

  • 段取り2 市場調査、リノベーションのコンセプト検討

    地域の賃料相場・空室率、競合物件の状況、入居者ニーズを調べ、賃貸住宅経営が今後も成立するかを判断。続ける場合、競合に勝つためのコンセプトを検討する。

  • 段取り3 パートナー企業の選定、相見積もり

    デザインの提案力がある大手企業、小回りの利く地元リフォーム会社など複数の会社から相見積りを取って比較。賃貸住宅の施工に慣れた会社がベター。

  • 段取り4(工事完了の約3カ月前) パートナー企業と契約、工事開始

    金額の多寡に関わらず、工事契約を結んで約款・見積書・図面を受け取る。代金の支払い方法、設計・工事の変更、工期遅延に関する規定を明確にする。

※この記事内のデータ、数値などに関しては2016年3月7日時点の情報です。

取材・文/木村 元紀

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