木造アパートの防音対策! 簡単リフォームで壁・床の音の問題を解決
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一般的な木造の賃貸アパートの防音対策に、頭を抱える大家さんは多いかもしれません。しかし、簡単なリフォームで防音効果を上げることも可能です。今から防音対策なんて無理」と諦めていた大家さんも必見の、手軽にできる木造賃貸アパートの防音対策をご紹介します。
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木造賃貸アパートの防音対策は不可欠。防音対策の基本を抑える
賃貸入居者へのアンケートで、住んでいる部屋に対する不満のトップは、常に「上下階、隣の部屋の生活騒音」です。建物の種類の割合は、賃貸マンションより賃貸アパートの比率の方が高くなっています。
「賃貸だから仕方がない」「共同住宅のマナーの問題」と放っておけばトラブルや退去の引き金になり、入居率の悪化や収入ダウンに直結しかねません。
長期安定経営には快適な住環境の提供が不可欠。生活騒音は建物に基因する面も大きいと自覚して、大家さんが早急に取り組むべきポイントのひとつです。
生活騒音への防音対策の基本は、音源の特性を踏まえて「吸音」「遮音」「制振」を適切に組み合わせることです。
建物の構造や内装材の仕様によって、どの周波数の音がどう伝わるかが違い、同じ防音材を使っても効果に差が出てしまいます。それぞれの特性と相性を知った上で、もっとも効果的な防音材を選び、正しく施工することが重要になります。
効果を高めるための防音対策3つのポイント
音の侵入や漏出を防ぐこと。質量が大きくて厚い素材ほど遮音性能が高い
音を反射させずに吸収することで、通過する音を減らす。多孔質の素材が向く
固いモノを伝っていく音を抑えること。クッション材などで音の伝道を遮断
なぜ木造は音が響くのか? 住宅の生活騒音は、大きく2種類
そもそも、なぜ木造賃貸アパートは騒音の不満が多いのでしょうか。
それは構造的な要因が大きく影響しています。防音対策の基本を抑えたところで、生活音の種類と遮音性能について知っておきましょう。
(1)空気で伝わり壁を通る「空気伝播音」
「空気伝播音」は、話し声やテレビなどの隣室の音源が空気で伝わり、壁を通り抜けて聞こえる音です。
空気伝播音の遮音性能は、壁の透過損失を示す「D値」で表し、数字が大きいほど性能が高くなります。隣戸との戸境壁(界壁)については、マンションが「D45-50」程度なのに対して、一般的な木造アパートは「D30以下」(壁内が空洞の場合は「 D20-25」程度 )。
「共同住宅としては、D40程度の性能は欲しい」と専門家は指摘しています。
(2)床が振動して響く「床衝撃音(固体伝播音)」
上階の足音や落下音のように、直に床が振動して下階に響くのが「床衝撃音(固体伝播音)」です。
床衝撃音は、下の階の音圧レベルを示す「L値」で表し、数字が小さいほど性能が高くなります。マンションは「L40−50」、一般的な木造アパートは「L70−75」。これまた後者が低く、「L60」 程度まで高めたいところです。
原状回復とあわせて簡単!「壁」と「床」の防音対策リフォーム
本格的な防音対策をするには、壁の石膏ボードを剥がすなど大掛かりな工事となりコストもかかります。賃貸経営としての費用対効果を考え、今回は、原状回復とあわせたリフォームで行える対策を紹介します。
「壁」は相性の良い材質を併用すると効果
木造賃貸アパートの戸境壁は、比較的軽微な工事で防音効果を高められます。日曜大工の心得があるオーナーなら、自分でDIY作業することでも対応可能です。
一般的にローコストな対策として、 単価の低い石膏ボードを二重張りするケースがよくあります。しかし、石膏ボード自体は高音と低音に弱点があり、2枚重ねてもその弱点は解消できません。
むしろ、遮音制振ゴムのような違う材料を合わせたほうが、その弱点を補いあって効果が出ます。
防音材は周波数ごとの性能に違いがあります。そのため、相性の良いものを併用することで、相乗効果で優れ遮音性能を発揮することができます。
例えば、2枚の石膏ボードの間に遮音制振ゴムを挟むと、遮音性能が10dB(デシベル)ほど向上します。わずか10dBでも、人間の耳には音が半減したように聞こえるので、ためしてみる価値は十分にあります。
「床」は仕上げのリフォーム材で、高く軽い落下音の対策可能
床については、スプーンや玩具が落ちる「コン」「カン」のような高く軽い落下音は、床仕上げのリフォームで改善することができます。
例えば、既存フローリングの上に吸音材と遮音材を組み合わせ、新規のクッションフロア(CF)を敷けば、15mm厚程度で対策が可能です。
一方で、音の種類によっては対策に限界があります。木造アパートの場合子どもが飛び跳ねる「ドスン」「ガタン」のような鈍く重い音は、建物の構造自体を変えないと防音対策の効果が出ません。
上下階で効果を出すには、天井工事は費用がかさむため、上階床の防音対策を優先するのが賢明です。窓の外部騒音対策は、防音サッシは高価なので、内窓を付けて二重サッシにするほうが費用対効果が高くなります。
木造アパートを、手軽なリフォームで防音対策するポイント
● 単価の低い石膏ボードを二重張りにする際は、2枚の間に遮音制振ゴムのような違う材料を合わせる。
●スプーンや玩具のような、高く軽い落下音は既存フローリングの上に吸音材と遮音材を組み合わせ、新規のクッションフロア(CF)を敷く。
●子どもが飛び跳ねる「ドスン」「ガタン」のような鈍く重い音は、建物の構造自体を変えないと防音対策の効果は上げられない。
施工方法を間違えると防音効果は半減! 実績豊富な会社に相談を
防音対策する際に注意したいのは施工方法です。よくある失敗は、いくら性能の高い防音材を使っても、材のつなぎ目に隙間があると防音効果が発揮されないこと。
周波数の波長ピッチが短い高音は、1mm足らずの小さな隙間でも簡単に抜けて遮音欠損が出てしまいます。コーキング材で充填しても、遮音性の面では強くありません。隙間なくピタリと付けるか、一部を重ねテーピングすることが大切です。そういう意味では、防音工事の施工実績が豊富で、かつ効果の検証をきちんとしてくれる会社に依頼することが重要です。
全住戸を対策するとなると費用負担が重く感じる方もいるでしょう。まずはクレームが出た部屋から対処し効果検証してみてください。1住戸ずつ飛ばして施工すれば、少ない費用で遮音効果を出すことができます。
防音対策は奥の深い世界です。間取り変更をして、戸境壁に収納を挟んで音源を遠ざけるなど、多様なアプローチができます。その一方で、音の感じ方は十人十色。住人によって気になる周波数も違うだけに、誰にでも効果的な「完全防音」はあり得ません。入居者のマナー向上、管理会社との連携も大切です。様々な角度から総合的に検討する必要があります。
※この記事は木造在来工法に対応する防音対策で、ツーバイフォーなどの木造枠組壁工法では異なる対策が必要です。
※この記事内のデータ、数値などに関しては2017年9月5日時点の情報です。
取材・文/木村元紀 イラスト/アサミナオ 監修/防音職人(東京)現場の体験を反映させ、生きた防音設計・対策をモットーに取り組む職人集団
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