築古ワンルームを劇的に変える!差別化デザインリノベーション

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木製のキッチンカウンターと漁船ランプでカフェ風に。玄関部分の壁には塗装をしたスギ材を使用

築古ワンルームのリノベーションは、デザインが差別化の切り札となる。入居者の心を射止めるリノベ術とは?デザイン物件で人気の高いリズム(株)に話を伺った。

リズム株式会社 アセットソリューション事業部部長 公認不動産コンサルティングマスター 寺内 直哉さん

本物の素材にこだわり、経年劣化しないデザインに

年間約100戸の中古マンションをリノベーションし、「REISM(リズム)」ブランドで販売、賃貸管理を行うリズム(株)。「リノベーション・オブ・ザ・イヤー2016」 の500万円未満部門で最優秀賞を獲得するなど、デザイン力には定評がある。また、近年オーナー 向けの投資用サービスにも力を入 れている。

同社では20代後半〜30代の入居者をターゲットに、約30タイプのデザインシリーズを展開。自社サイトではウェイティング機能を付けて入居中の物件もすべて掲載しているが、数十人が空室待ちをする人気物件も多い。入居者に「絶対にこの部屋に住みたい」と思わせる魅力的な空間づくりの秘訣はどこにあるのだろうか?

「弊社では長期的に支持されるデザインを分析し、アーバン志向の新築と対極にある『クラシック・レトロ』のデザインを中心に展開しています。気をつけているのは、安っぽくならないようにすることです。そのためにレンガや無垢材、足場板など手触り感のある本物の素材を選び、住むほどに愛着の増す空間づくりにこだわっています。また、高さを出して開放感を生むために、天井を抜いて構造躯体を現しにすることも多いですね」と同社の寺内さんは語る。

画一的なワンルームでは短期回転を前提に安価な素材が使われることが多く、経年劣化するとチープな印象を与えてしまう。天然素材を活かす設計にすれば、経年変化が味となり、長期にわたり良質なデザインが維持できるのだ。

物件の立地から、入居者ターゲットを想定する

また、エリア特性から入居者層を見極めるのも重要なポイント。

「例えば、住むのは会社員か学生か。繁華街の物件なら男性向き、住宅街で治安が良く、オートロックの物件なら女性向きなど、まずターゲット層を想定します。次に彼らはどんなライフスタイルで、 どんな生活空間を求めているのかを掘り下げ、マッチした住空間づくりをするのです」(寺内さん)

リノベ費用は、一戸あたり平均約350万円。リノベ後は約2万 円の家賃アップが図れるという。

入居者獲得の施策はデザインだけに留まらない。リノベ後の広報も重要だ。同社では部屋の魅力を伝えるため、リノベ後の写真をプロのカメラマンに依頼してしっかりと撮影し、自社サイトに掲載する。部屋の雰囲気や特徴を引き立 てるために、家具を入れた状態で撮影するのもおすすめだそうだ。

人気物件のデザインのポイントをチェック!

では、同社で人気の4物件を取り上げて、差別化デザインの工夫ポイントを具体的に見ていこう。

CASE1 ヴィンテージ感のあるカフェ部屋

ヴィンテージ感のあるカフェ風の部屋に改装し、都会的なライフスタイルを満喫したい入居者のニーズをとらえた事例だ。天井を抜いて梁を現し、内装に足場板の古材を採用。漁船ランプや木製キッチンカウンターでカフェの雰囲気を出している。足場板のようなダメージ感が魅力の中古素材は汚れも味になるので、退去時のメンテナンスの必要性が少なく、先々のコストが抑えられる利点もある。

天井を抜いて高さを出し、むき出しの梁をインテリアに活かしている

木製のキッチンカウンターと漁船ランプでカフェ風に

キッチン裏面に仕切られたベッドスペースを設けて、寝食を切り分けた住みやすい部屋に

物件DATA

・物件名/「iCafe 019 余丁町」 ・所在地/新宿区余丁町 ・構造/鉄筋コンクリート造(8 階建の6 階部分) ・築年/ 1984 年 ・リノベーション年/ 2015年 ・専有面積、バルコニー面積/35.04m²、5.7m² ・賃料/12 万7000 円 ・管理費/ 9000 円

CASE2 大きなキッチンが主役の部屋

閑静な住宅街の管理の行き届いたワンルームの事例。自宅に友人を招いてお酒や料理を楽しみたい女性単身者が多いことから、4口コンロの多機能でお洒落なタイル貼りキッチンを主役にしている。椅子を置けばバーカウンターとしても使えるよう、カウンターはワイドに造作。33m²と広めの部屋なので、大型キッチンを据えても住空間に圧迫感が生まれない。

ワイドな天板なので、手前に椅子を置けばダイニングとしても使える

キッチンは4口コンロで作業スペースも広々

居室空間にはハンガーラックの収納も

物件DATA

・物件名/「Kitchen 016 西落合」 ・所在地/新宿区西落合 ・構造/鉄筋コンクリート造(5 階建の5 階部分) ・築年/ 1983 年 ・リノベーション年/ 2016年 ・専有面積、バルコニー面積/ 33.09m²、12.42m² ・賃料/ 9 万9000 円 ・管理費/ 8000 円

CASE3 壁一面を本棚&ギャラリーに

公園や美術館があり、古本屋も点在する街「上野」の物件。読書好きの入居者を意識して、「本棚」をコンセプトにデザインしている。蔵書の日焼けを防ぐために、本棚は窓から遠い壁に設置。壁一面の本棚は知的なインテリアとしても機能する。一方、窓際には8階の眺望の良さを生かしてベンチ風のカウンターを造り付け、腰掛けて読書ができるスペースに。

キャメルブラウンの本棚を壁にして居室と水まわりを仕切り、使い勝手の良い住空間に

キッチンは本棚と同色の木製カウンター

眺望の良い窓辺にベンチを造作

物件DATA

・物件名/「Hondana 017 上野」 ・所在地/台東区東上野 ・構造/鉄筋コンクリート造(9 階建の8 階部分) ・築年/ 1992 年 ・リノベーション年/ 2016 年 ・専有面積、バルコニー面積/ 30.29m²、11.91m² ・賃料/ 10 万5000 円 ・管理費/ 1 万円

CASE4 海外ホテルのような上質空間

雷門に近い浅草のワンルーム。ホテルをイメージした落ち着きのある演出が特長だ。34m²と広いので、キッチン+居室スペースで13畳大を確保。石タイル貼りのフロアから一段高くして、フローリングの寝室スペースを設けている。木とタイルで緩やかに生活スペースをゾーニングした上質な空間は、まさに海外のホテルのよう。二人暮らしのニーズにもマッチする。

キッチンのある居室は13畳大で収納も十分確保。寝室スペースは一段床を高くして別空間に

石タイルと木の温もりが調和。高くした天井にレールライトがオシャレに映える

寝室は低い木製天井で落ち着きを

天板だけのシンプルなキッチン

物件DATA

・物件名/「Organic 008 浅草雷門」 ・所在地/台東区寿 ・構造/鉄骨鉄筋コンクリート造(11 階建の4 階部分) ・築年/ 1996 年 ・リノベーション年/
2014 年 ・専有面積、バルコニー面積/ 34.65m²、5.33m² ・賃料/ 11 万9000 円 ・管理費/ 9000 円

このように、4つの人気物件はいずれもコンセプトが明確で、他に2つとない部屋となっている。入居者を想定してテーマを決め、ここにしかない暮らしを提案できるデザインリノベーションで、魅力的な差別化を図りたい。

 

※この記事内のデータ、数値などに関しては2017年9月5日時点の情報です。

取材・文/菱沼 晶 人物撮影/阿部 栄一郎

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