【賃貸経営】「個人事業主」と「法人」違いとは?「法人化」検討のポイントも解説
- 税理士
賃貸経営が順調なオーナーの中には、法人化を考えている方も多いのでは? 公認会計士・税理士である益本正一さんに、「個人事業主」と「法人」の主な違いと、どんなオーナーなら法人化を検討した方がいいか、ポイントを伺いました。
公認会計士試験合格後、大手監査法人で上場会社の会計監査、IPO支援を行い、中堅会計事務所で法人や個人資産の税務を担当した後に開業。法人化の提案案件を数多く手がけている。
著書に「不動産管理会社の設立・運営・移行」(日本法令出版)等多数。
「個人事業主」と「法人」の違いとは?
株式会社などの法人を設立し、その法人に所有する賃貸物件を移行して賃貸経営を行うのが、一般的な法人化の仕組みです。個人事業主との違いは、大きな節税効果が見込めること。個人の場合、所得税・住民税は累進課税方式が適用され、最高税率は56%となりますが、法人税は最高でも30%前後。この差を節税できるというわけです。
次に、個人だと家賃収入は全額オーナー一人に入ってきますが、法人化をすると、家族や親族を役員や社員にして、役員報酬や給与として支払うことができます。
これらは経費として計上できるため、法人税を抑えることができます。また、所得を分散することで各人の累進課税率が低くなり、全体として所得税も安くなるのです。
さらに、経費の範囲が広がります。個人だと経費として認められる項目が限られ、事業利用に応じて按分になります。ですが、法人だと、自宅兼事務所を借りた場合は社宅扱いで全額経費にすることができます。車の購入も経費計上が可能です。
また、生命保険控除の額が大きく、最高で半額計上できます。個人だと保険の種類や条件にもよりますが、最大控除額は年間12万円となっています。
「個人事業主」と「法人」、通常の確定申告にかかわる違い
法人税の最高税率は最高で30%前後。個人の所得税は所得が低いと税率も低いが、累進課税方式で住民税も含めると最高で56%になる
個人事業主は自分ひとりに所得が集中する。法人は社員にした家族等に支払った給与を経費にできるため、各人の所得税を抑えられる
どちらも事業に必要なものは経費計上できる。個人事業主は事業用とプライベートの区別を厳密に分ける必要があり、法人に比べると範囲は狭い